路木ダム

2010年11月13日 (土)

杜撰な路木ダム計画②

建設するために、いろんな嘘を重ねた路木ダム計画

Photo_4 路木川は、球磨川が流れ込む八代海を隔てた天草の羊角湾に流れ込む長さ6kmの小さな川です。ここに建設が計画されるているのが路木ダムで、目的は下流の路木地区の治水と対策と飲料水確保のための利水が目的になっている多目的ダムです。

路木ダムが建設される天草には、もともと水が不足しがちという地域の事情がありました。しかし、その水需要予測は過大でした。しかし、多目的ダムにして、地元負担をできるだけ軽くしようとした意図がありありのダムです。何故なら、路木ダムによる治水の受益地とされる路木地区では、過去路木川の氾濫で水害にあったことはなく、建設のために利用したデータや写真は他の河川や他の水害被災地のものであることが明白になっています。

治水目的は破綻しているのではなく、虚偽の報告の上に作られたものであることが分かった以上、治水目的は除外し、飲料用水のための利水が必要であるかどうかを検討すべきです。

しかし、その利水目的についても、様々な事実が明らかになっています。

路木ダムの問題を数回に分けて、報告したいと思います。

one計画は他の河川の水害を利用したものだった

Photo 路木ダムと路木川及び受益地とされる路木地区の地図です。路木ダムの治水は路木地区を水害から守るためです。その根拠として、路木ダム事業計画書には「昭和57年7月等の豪雨による洪水時には、下流宅地において約100棟の床上浸水、中流部水田において約8haの農作物被害等が発生している。」と説明されています。

しかし、住民団体が調べてみると、その被災した約100軒はすべて、路木川流域ではなくて、一町田川流域のものであることが分かりました。

また、住民が路木地区の住民を一軒一軒訪ねて、過去の水害について聞き取り調査を行っていますが、全員、過去路木川の氾濫による水害はないことを証言しています。

two「当時の記録は保存されてない」と主張する熊本県

Photo_2 上はそのないはずの被害調書です。住民が昭和57年の水害は一町田川流域の主に河浦町の水害であることを主張すると、熊本県は「当時の記録は残ってないが、聞き取りから水害はあったと思う」と述べています。しかし、上記の通り記録は存在していて、住民も入手していますが、県は「ない」の一点張りです。

three国への説明にも別の川の写真を利用した県

Photo_5 唯一県が、路木ダムが必要だと主張する証拠は、この昭和57年と平成○年の時の川の氾濫の写真です。国への報告書や再評価委員会の時に利用されています。しかし、平成15年の再評価委員会を取材したマスコミによって、この写真は別の川の写真ではないかという指摘があり、その後の調査で、全く別の川の氾濫時の写真であることがはっきりしました。

four仮に路木川が氾濫しても、路木集落は被災しない

Photo_3 路木川は羊角湾に流れ込んでいます。また、路木川と路木集落の位置関係をみると、山によって隔てられていることが分かります。従って、仮に路木川が増水や氾濫した場合、増水した水はまず羊角湾に流れます。従って、羊角湾があふれない限り、標高がより高いところにある路木集落が浸水することはあり得ません。過去、路木集落に水害被害がないことも、この位置関係をみれば納得がいくものです。

five仮に増水しても、右岸には越流しない

Photo_6 上は路木川の河口付近を上流から見た写真です。赤●が破堤地点とされています。路木集落は右手の山の向こうにあります。また、左岸の方が右岸堤防より低いことが写真でも分かります。すなはち、増水すると破堤するまえに、左岸側が溢れ、そのまま羊角湾に流れ込んでしまうことは、現場を見ると素人目にも明らかな場所です。

路木ダム問題は今

次々明らかになる路木ダムのごまかしに、現在住民は裁判「路木ダム公金支出差し止め訴訟」を起こし、口頭弁論が開催中です。

一方熊本県は再評価委員会の継続妥当の結論を縦に、強引に事業を進めようとしています。また、前原大臣誕生で国の補助ダム見直しの対象になりましたが、すでに本体着工まで進んでいるダムは除外するとしたために、熊本県は駆け込み入札を行い、予算を付け、工事をどんどん進めています。路木ダムに関しては、前原前大臣が「建設の是非は熊本県の判断に任せる」としたために、新基準による見直しからも免れています。

日本で一番酷いダム計画と今本健博先生が言われるように、嘘のデータを元にダムが建設されるようなことは許されません。最近、路木ダムを阻止するため全国連絡会もできました。

【参照】過去の路木ダムに関する過去ブログ記事

http://kumagawa-yatusirokai.cocolog-nifty.com/blog/cat33333817/index.html

===>続く

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2008年12月 6日 (土)

杜撰な路木ダム計画①

造ることが目的としか言えない路木ダム(治水)

cancer否定しようがない路木ダム計画の嘘

 羊角湾に流れる路木川は、長さ6㎞、流域面積わずか10㎞2の2級河川です。ここに計画されている路木ダムは治水・利水を目的とした多目的ダムです。しかし、その治水目的の根拠になっている過去の被害記録を11月に市民団体が天草市に求めたところ、「明確な資料がない」ことが明らかになっています。また、路木ダムの治水の対象となっている路木地区59軒に一軒一軒、過去の水害について市民団体が聞き取り調査をし他結果、過去水害にあった家は一軒もないことが分かりました。

今、路木ダムは熊本県の公共事業再評価監視委員会で審議中です。5年前も再評価の対象になっています。どうして、この嘘を見抜くことができなかったのか、疑問です。その時すでにできていた「路木川河川整備計画」を見ても、すぐ分かるぐらいの杜撰な計画なのです。

cancer「河川整備計画」にみる「路木ダムの必要性」

路木ダムは平成4年に計画されたダムです。河川法改正に従って平成13年に河川整備計画が策定されています。それには路木ダムの危険性について以下のように記述されています。

◆昭和57年7月等の豪雨による洪水時には、下流宅地において約100棟の床上浸水、中流部水田において約8haの農作物被害等が発生している。そのため沿川地域の生命・財産を洪水被害から守る治水計画の立案・実施が急務となっている。

◆路木川は、川幅が狭小で急流なため、古くからたびたび被害を受けており、このため、局部的に改修工事が行われ、治水安全度の向上が計られている。近年では、昭和60年7月の梅雨前線豪雨により浸水家屋4戸、浸水農地10ha、総被害額2600万円、昭和61年7月の梅雨前線豪雨により浸水家屋4戸、浸水農地8ha、総被害額2400万円等、毎年のように河岸の決壊、氾濫を繰り返してきた。さらに、洪水被害は増加の傾向にあり、地元住民は抜本的な治水計画を望んでいる。

・・・とあり、「既往災害額調書」を見ると、確かに昭和50、54、55、56、57、58、59、60、61、63年と毎年洪水被害が出たようになっています。これだけの被害があるのに、地区住民はみんな「被害にあったことはない」と証言し、天草市にもデータがないとは、どういうことか。河川整備計画は県が策定するにも、地元との要望や意見を踏まえて、県が検証した結果の策定であることは間違いありません。また、こんな近年に水害にあったことを、地域住民が忘れているわけはありません。整備計画が策定された平成13年に、地元住民が「抜本的な治水計画」を望んだことは、忘れたわけでもなく、ましてやしてもないというのが事実だとみて間違いないでしょう。

また、「本河川の沿川は、耕地として高度に利用され、用地の取得は極めて困難で、河道拡幅による改修は不可能に近い」とあるのを見ると、もう笑うしかありません。流域面積が僅か10km2です。沿川にわずかにある田の総面積はどう見ても、10分の1もありません。あっても20分の1程度です。その用地取得より、90億円の路木ダム建設の方が妥当だと判断するのですから、1ha当たり2億にもなるの路木川沿いの田圃の価格は日本一です。川幅拡幅のために沿川だけを買い取る面積は、ずっと少ないでしょう。沿川には民家はありませんので、浸かった時だけ、その遊水地としての代賞を出せば、もっと安く済みます。

また、路木ダムの年平均被害軽減額は1億9400万円です。被害も出てない59軒への被害軽減額となると、もうその意味すら分かりません。

ずさんな路木ダムの計画には県にも天草市にも責任はあります。しかし、こういう問題を起こさないために再評価監視委員会の存在があります。その委員会は、11月7日、重要な事業として路木ダムの継続を決定しています。

しかし、路木ダムに関する問題がこれだけはっきりしている今、「ゼロベースで県の事業をすべて見直す」と公言している蒲島知事が、そのまま目をつむってこのダムを推進するようでは、県民の理解は到底得られるものではありません。

Rogigawa2 ↑路木川・・・この上流に路木ダムが計画されている。(河口近く)

diamond路木ダムに関する資料http://kumagawa-yatusirokai.cocolog-nifty.com/blog/rogidamu-siryou.html 

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2008年11月23日 (日)

もう一つのダム問題ー県営路木ダム

見直すことなく進められる路木ダム建設の整合性は

 蒲島知事は、選挙中より「すべての事業をゼロベースで見直す」と公言されていました。このこと自体は政治家として正しいと言えます。その見直すべき事業の一つとしての荒瀬ダム撤去凍結宣言であるなら理解もできます。しかし、その後の検証・説明はすべて「存続ありき」のものになっているのはやはり問題です。そして、その一方で、ゼロベースで見直されることなく進められようとしているダムがあります。県営路木ダムです。この問題点については、現場を見てみれば、すぐに分かります。荒瀬ダムの撤去費用と同じくらいの建設費用がかかる同じ県の事業について、片方は見直し、片方は検証しないというのでは、蒲島知事の「ゼロベースで見直す」という発言は、整合性がなく、また信念ではなく感情であるという非難があるのも仕方ありません。

cancer路木ダムと過去の水害の実態Rogidamuiti

天草の下島南部、羊角湾にそそぐ路木川の中ほどに建設予定の高さ53m、堤長180mの治水・利水目的のダムです。川沿いには田圃だけで、民家はありません。河口から北側に数十戸ほどの路木集落がありますが、過去水害にあった記録もありません。仮に路木川が増水しても、河口より高いところにある路木集落に水は押し寄せることなく、羊角湾の方に流れることは、現場をみれば一目瞭然なのです。

では、ダムの目的にある水害対策が必要な地区とはどこなのでしょう。それは、路木川とは水系も違う葛河内川沿いにある河浦地区で、ここが度々浸水しています。路木ダムの河川整備計画に「昭和57年7月等の豪雨による洪水時には、下流宅地において約100棟の床上浸水、中流部水田においては約80haの農作物被害等が発生している。そのための治水採択が急務になっている」と書いてあります。これが事実でないことは、現場の方に聞けばすぐ分かることですが、つい最近データーを改ざんしていたことも明らかにされています。

cancer破たんした水需要予測

もう一つの目的は水道用水です。計画された1993年当時は給水人口は2002年に16,600人になり1日平均8340トンが必要になると見込まれていました。そのためにダムから4600トンの水を供給することになっています。しかし、実際は現時点で人口2600人減、平均供給量約4000~4500トンです。計画時点より人口が減少した現在、水が不足しているという現実はありません。現在、河浦町は簡易水道で1日約1500トンの給水能力がありますが、もしダムが建設されると、これは廃止される見込みです。

Hatikubosaboudamu

また、3年ほど前、河浦町に取水設備を備えた八久保川砂防ダムの存在が明らかになりました(左写真)。1000トンの取水が可能なこのダムの存在を地元住民は全く知りませんでした。河浦町は「鉄分が多いため、飲料水には適さない」と答えているようですが、住民が専門の分析機関に水質検査を依頼いたら、何の問題もありませんでした。ダム建設前提のために、他の施策を講じようとしないのは、ダムに共通した問題のようです。安く早くできる事業をきちんとやって、それで足りない時に、ダムを考えることが、財政の面からも、当然のことのように思えます。Rogigawa_2

cancer守りたい路木川の自然

上の写真は、河口から僅か100m程度のところの路木川です。川沿いに民家がないことや、流域の山が荒れていないこともあり、河口まで清冽な水が流れています。夏ともなれば、子供たちの良き水遊び場となっています。

cancer貴重な洋角湾の自然

ダムができると海にまで影響がでるのは、これまで建設された多くのダムが証明するところです。Youkakuwann_2

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羊角湾の干潟には80種を超える絶滅危惧種の貝やカニ、植物が今なお確認される全国でも例をみない貴重な干潟です。また、群生するアマモは日本の南限となっており、魚介類の産卵場となっており、羊角湾の漁業を支えています。しかし、ダム建設の費用体効果を考えるときに、これらの自然や漁業が生み出す経済効果は試算されないのも他のダムと一緒です。

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