球磨川

2011年11月10日 (木)

球磨川のアユの1年と放流事業

球磨川は尺鮎で知られた1級河川です。昔は本当に沢山のアユがいたようです。春になると川を真っ黒に染めて遡上してくる稚鮎の群れは今も流域の人の心の中に刻み込まれているようです。ダムが出来て、減少の一途をたどるアユを取り戻したいという強い思いも、川辺川ダム反対・荒瀬ダム撤去行動の大きな原動力でした。

今は、球磨川漁協の手による掬い上げ・放流・孵化事業等によって、天然アユは何とか守られています。今年の実績は天然遡上が約129万尾、人工孵化事業等合わせて合計約248万尾です。その事業についての紹介です。

P1040987s ①球磨川の河口から約5kmのところにある球磨川堰です。冬季を八代海で過ごした稚鮎は春3月頃に遡上してきます。この球磨川の魚道を登ってきたところを捕獲して、放流しています。

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P1030455s②魚道を登ってきた鮎は、左にあるプールに誘導されます。掬い上げ事業は3月の中旬頃から5月の中旬頃まで行われます。この頃のアユの大きさは、一番子で8cm前後、大きいのは9~10cm程、二番子、三番子と小さくなり、3~5cm程です。この一番子が尺鮎まで育つといいます。

P1030516s ③プールに張ったネットをたぐり寄せて、稚鮎を網で掬います。

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P1000320s ④バケツリレーで、待機しているトラックの水槽に移します。このトラックで、流域の30数カ所の放流場所に運びます。迅速に放流する必要があるので、鮎に最大の配慮もしながら、トラックのスピードはかなり早いようです。

Dscf1531s ⑤トラックからホースで川に放流します。時には、地元の子供達対象にした放流体験イベントなども実施しています。

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2003_05290018 ⑥6月の解禁を過ぎると、あちこちで鮎掛をする人たちの姿を見ることができます。また、全国からも尺鮎狙って多くの太公望が集まります。

P1020317s⑦7月初旬頃のアユです。大きいものはすでに20cm程に成長しています。

S ⑧海から遡上してくるだけの鮎では足りないので、人工孵化作業も行なっています。秋になると、木枠の箱(写真)にシュロの葉を引いて、その上で受精させた卵が発眼するのを待ちます。

P1050087s ⑨2週間ぐらいで発眼しますので、その前に、河口の球磨川堰に移動させ、そこで孵化を待ちます。付加した仔魚は魚道を下って、不知火海にたどり着きます。生まれたばかりの仔魚は遊泳能力はないために川の流れ任せです。

Photo_2 ⑩落鮎時の婚姻色が出たアユでサビアユと呼ばれます(上メス、下オス)。22~23cmから27~28cmという大きさに成長します。30cmを超えるアユの体型は、サバに近い感じです。産卵を終えると、一年という短いアユの一生は終わりになります。

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Photo  ⑪産卵の季節は、落鮎漁の時期でもあるため、下流では投網や刺し網をする漁師さんの姿を見ることができます。八代の投網漁師の中でも、海でも投網をしている千反の漁師さんの投げ方は、舟の上から5~6mの海の底で開くように投げるという投げ方で、とても豪快です。

漁協の努力にも関わらず年々鮎は今も減り続けています。荒瀬ダムの撤去で瀬や淵が再生され漁場は増えるかもしれませんが10km上流にある瀬戸石ダムにより鮎は遡上できず、また鮎が産卵のため下降できないという現状は変わりません。球磨川漁協は平成26年の瀬戸石ダム水利権の期限が切れるため、水利権の更新に反対を表明しています。

荒瀬ダム撤去を実現した流域住民からも、瀬戸石ダム撤去を求める声がでるのは当然の成り行きだと思います。住民にとって荒瀬ダム撤去は目的ではなく、球磨川再生の第一歩なのです。

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2011年1月24日 (月)

球磨川の天然・天日干しアオノリ、格別な逸品!

寒さの中のアオノリ採取…生育順調!

球磨川河口近くでは、今アオノリが順調に伸び、極寒の中、採取作業が行われています。アオノリは養殖もしていますが、やはり天然・天日干しアオノリは、味・色、香りともに違います。毎年の天候や水質に大変左右され、採取量も少ないため、なかなか入手困難ですが、球磨川を守る活動を続けている「やつしろ川漁師組合」では、今年なんとか販売こぎつけることができました。

是非、球磨川の春の恵みを味わい下さい。

注文用紙はこちらから。もしくは、mouri.sy@sepia.plala.or.jp まで。

※このアオノリの売り上げはすべて、球磨川を守るための活動に使用されています。Photo_2

Photo 球磨川でのアオノリ採取風景です。球磨川のアオノリは3種類が確認されていますが、採取されているのは、スジアオノリが殆どです。寒い中、腰まで水に浸かっての作業です。今年に入って、急に寒い日が続き成長は良くなったのですが、天候が悪いため、天日干しに拘る漁師さんは採取作業ができない日が続きました。天日干しと機械乾燥では、風味、香りが全く違います。

Photo_3アオノリ採取ができるのは干潮の時間帯です。しかし、冬のこの時期は、昼間の干潮時はあまり潮が引きません。そのため、漁師さんによっては、深夜に採取を行います。採取をしたら、何度も洗い、日に干しますが、洗ってしまったら、すぐ干さないと商品価値はなくなります。採取する日が晴れていても、翌日が雨だと折角のノリが無駄になってしまいます。翌日が晴れると思ったら、前日は雨天でも採取をする場合もあります。いつでも乾燥できる機械乾燥に、比べ手間・暇が驚くほどかかっています。

こうやって出来上がった天然・天日干しのアオノリは、本当に希少で、たぶん八代市外の店頭に並ぶことはないと思います。この季節、わざわざ求めて、食卓に乗せて味わう価値のある逸品だと思います。

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2010年8月11日 (水)

球磨川流域エコーツアー

2泊3日の球磨川流域をめぐる“いきものバンザイツアー”

8月の6日からの3日間、自然保護協会主催、パタゴニア共催の企画「もり・かわ・うみ・いきものバンザイツアー」の案内してきました。メニュー盛り沢山のよくばり企画でしたが、参加者には大変喜んでいただきました。一つ一つを紹介するだけで、大変ですので、とりあえず、写真だけでコースを紹介します。

1)五木村で、村長さんからお話を聞くPhoto_15頭地の昔の集落があったところです。現在民家は一軒のみ。すぐ下の建物は新しい中学校。 Photoかやぶき民家で、和田五木村長さんから、川辺川ダム計画に翻弄された歴史や、現在五木村が抱える課題や将来についてのお話をお伺いしました。その後、五木ピーアール隊の豊原さんに五木村の歴史や現状についてお話を聞かせてもらいました。

2)ダムサイトを見るPhoto_16

3)川辺川(境田橋)で遊ぶPhoto_2

境田橋下の河原で水遊び、水生昆虫の観察会をしました。ここは、小学校から高校生まで付近の子供たちが大勢遊んでいます。参加者は一緒に泳いだり、岩の上から飛び込んだりと、すっかり川ガキになっていました。Photo_3

4)川辺川(廻り観音)を見る

5)アユを食べながら漁師さんの話を聞くPhoto_4人吉旅館で一風呂浴びて、夕食です。アユ漁師の吉村さんのお話を聞きながら、アユをいただきました。今年はあまりアユが採れていないとのこと。

6)青井神社に詣でる(オプション)Photo_5 早朝から旅館のすぐ前にある青井阿蘇神社を散策・見学しました。

7)球磨川下り(急流コース)を体験するPhoto_6渡から球泉洞までの急流コースの球磨川下りを楽しみました。急流に差し掛かると、船頭さんも真剣です。思った以上のスピードです。やっぱり球磨川観光の目玉だけあり、楽しめました。

8)荒瀬ダムを見学するP1070083 荒瀬ダムのダムサイトで、地元の本田さんからダム建設前後の坂本町の様子についてお話をききました。

9)地元の方の話を聞くPhoto_7 昼食予定していた「和嶋」の福嶋さんから、食事前に昔の球磨川の様子やアユの話を聞きました。

10)河口の干潟を観察するPhoto_8 暑い盛りの午後2時30分。暑さが心配でしたが、干潟を歩く感触や生き物の観察を楽しんでいただけたようです。

11)舟出浮きを体験するPhoto_9 舟出浮きは漁師さんの舟に乗って、漁を見学し、捕獲した魚を料理していただく観光レジャーです。しかし、この日は夕立や雷が心配されたため、漁の様子だけ見学すると、引き上げて室内で漁師さんが準備してくれて海の幸を頂くことになりました。

12)不知火海の幸を頂くPhoto_10 いろんな種類の魚の刺身やハマグリの酒蒸し、カニ、たこ飯など、食べきれないほどのご馳走です。また、漁師さんを囲んでのお話が何より楽しい時間になりました。

13)夜市に出向く(オプション)Photo_11 この日はたまたま「球磨川祭り」と土曜夜市が重なって、本町アーケードは大変な人出です。

14)朝市見学Photo_12 蛇籠港では毎週日曜日の早朝6時から朝市があっています。漁師さんが採れたての魚を搬入する前に人々が集まります。トラックがくると、それぞれのトラックの周りに人が集まります。売り切れるまでの30分ぐらいの間、一番安くなるタイミングをみて買います。余るような時は、売り切ってしまいたいので、3分の1ぐらいになったりします。どちらにしてもみんな新鮮で安いです。

15)ツアーの振り返りPhoto_13

二泊3日のツアーで参加者が感じたことなどを発表する振り返りの時間です。「他の観光旅行では味わえない体験ができました」「多様性の意味を肌で感じた」などエコツアーならでの感想をいただきました。

16)「鮎屋三代」をお土産に解散!Photo_14

「鮎屋三代」は九州の駅弁大会で毎年1位、2位を争う名物弁当です。皆さん、帰りの電車や飛行機の中で、この球磨川流域を思い浮かべながら、召し上がって下さったことでしょう。

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2010年7月29日 (木)

球磨川の魚ーサナボリ

球磨川の瀬戸石ダムから遥拝堰まで、現在27種の魚が確認されています。もちろん、アユが最もよく知られた魚ですが、その他に市民になじみの深い魚がサナボリです。サナボリというのは、ヨシノボリの八代地方における俗称です。現在、この区域にはヨシノボリは、オオヨシノボリ、トウヨシノボリ、シマヨシノボリの3種が生息しているようです。昔は護岸や岩などに一面ににべったり張り付くサナボリが観察できるほどたくさんいたようです。現在はすっかり少なくなってしまいましたが、それでもかなり見ることができます。

今の時期、そのヨシノボリの稚魚をかなり見ることができるようです。その稚魚を「食べて下さい」とたくさんいただきました。

Photo

球磨川の最下流の堰を上ることがことができず、いっぱい集まってきているところを網で掬うのだそうです。下流で生き残って、大きくなったの場合にのみやっと遡上できるということのようです。稚魚も遡上できる魚道の改良が待たれます。

小さい(1.5~2cm)ので種類は分かりませんが、小さいながら縞がありますので、シマヨシノボリかなと思っているところです。Photo_2

みんな上流に遡上してほしかったと思いながらも、せっかく頂いた恵み、食してみることにしました。もちろん食べるのは初めてです。まず、真水でよく洗って、生姜を入れて、二杯酢で食してみました。微妙な、初めての食感です。美味しいような美味しくないような・・・でもそんなには食べられません。その次にかき揚げはいけるのではないかと思い、小麦粉を溶いて、サナボリ稚魚、アオノリ、シソの葉を加えて、揚げてみました。これは、結構おいしかったです。聞くと普通佃煮にすることが多いようですが、あまり一般受けしないのか、採る人は少ないようです。Photo_3

昔の人は、アユやウナギ、川ガニなど以外にも、こうした様々な自然の恵みを頂いていたのだろうと、また荒瀬ダム撤去後にどれだけの恵みが戻ってくるのだろうと、球磨川に思いを馳せながら、いただきました。もちろん、冷えたビールを片手に・・・・。

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2010年7月 3日 (土)

球磨川と不知火海の恵みを味わうエコツアー

「もり・かわ・うみ・いきものバンザイ!ツアー 」

(財)自然保護協会が、ダム問題を抱える全国の4つの現場で、その問題点と自然の恵みを味わう「もり・かわ・うみ・いきものバンザイ!ツアー」を計画しています。その一団は8月6日から2泊3日で企画された川辺川(五木村・ダム建設予定地)→球磨川(人吉・荒瀬ダムサイト)→八代海をめぐる球磨川流域ツアーです。川辺川ダムや荒瀬ダムの問題点を学習すると同時に、川辺川でのシュノーケリング・アユ料理・球磨川下り・河口干潟観察会・船出浮(不知火海の幸堪能)と流域の自然を余すとこなく楽しめる、ちょっと贅沢で、自然の仕組みも学べるエコツアーです。個人ではなかなか計画できない企画ですので、この機会にどうぞご参加ください。

※日程の詳細、申し込み用紙等はこちらから

※参照:舟出浮き球磨川下り五木村

紹介>川辺川・球磨川(熊本)編

「尺鮎 宝あふれる清流、豊饒の八代海」

Photo

川辺川ダム計画中止と荒瀬ダム撤去・・・、全国から注目される最前線の現場です。ダム計画に翻弄された五木村から、荒瀬ダムゲート開放でさっそく変化のきざしが現れた八代海。この流域の全体を、知りつくした地元NGO のガイドによって川を楽しみ、美味しいシーズンを迎えた「天然鮎」を味わい、生物多様性の重要なキーワード「生態系サービス」を実感していきます。

この夏、本物の自然や生きものの営みにふれ、自然をつぶさない“ 人と自然の関係” を学んでみませんか。

期 間:2010年8月6日( ) ~8日(日) 2 3

定 員:20名(最小遂行人数18名)

参加費: 43, 000円(2 3 日、食事代、乗船代、バス代、保険料等)

集 合:JR 新八代駅東口(九州新幹線・鹿児島本線/熊本空港から連絡バスで約1 時間)集合6日12時45分、解散8日11時ごろ

案内役:つる詳子(環境カウンセラー)、田畑清霧(熊本県自然観察指導員連絡会)

主なプログラム:

・ダム計画で水没予定地とされた五木村を訪れ、現状を知る。

・趣きある老舗温泉「人吉旅館」の一夜、天然鮎を食べ、温泉につかる。

・急流名物「球磨川下り」で川のダイナミックさを体験する。

・河口干潟で、生きものから川と海の連続性を観察する。

・遊漁船「やつしろ船出浮(ふなでうき)」で、獲れたての海の幸を楽しむ、八代海の夕べ。

・「川辺川・球磨川・八代海のこれまでとこれから」をともに考える。

主催・企画: 日本自然保護協会(NACS-J

日本の自然を子どもたちに受け渡すため、自然のしくみを調べ・守り・価値を広める活動を全国2 万人の会員と行っています。半世紀以上の実績をもつ日本生まれの自然保護NGO。

共催:熊本県自然観察指導員連絡会

協賛・協力:パタゴニア日本支社

お申し込み方法

<申し込み先、申込に関する問い合せ先>

株式会社バカンスプロジェクト 担当:原口

860-0845 熊本市上通9-26-1FTEL096-212-6010 FAX096-322-5320 ricavp@me.com

営業時間:平日10:00 19:00 ( 土・日・祝日は休業)

<お申し込み方法>

別紙お申込書に必要事項をご記入の上、FAXまたはメール添付でお願い致します。トラブル防止の為、お電話での受付は致しませんのでご了承下さい。お申込後の変更等のご連絡も、FAXまたはメール添付でお願い致します。<申し込み締め切り>2010年7月20日(月)必着 (定員に満たし次第〆切

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2009年4月 8日 (水)

今年の球磨川の天然アユ遡上

3月12日から始まった掬いあげ作業

Sozyouayu 八代海で冬を過ごした稚アユは、毎年3月初めに遡上を開始します。今年は例年より早い3月12日に球磨川漁協による遡上が開始しました。球磨川本流の一番下流にある球磨川堰が掬いあげの現場です。魚道を上ってきた稚アユを網に誘導し、トラックで上流に運ばれ放流します。今年は八代海でかなりな稚アユの群れが確認されていました。しかし、最初のうちは、なかなか上ってきませんでした。水量が多すぎで、上れないとのことです。稚アユの遡上にとって、良い条件が整った3月24日、大量の遡上がありました。1日で215kg、53750尾。順調な遡上が数日続きましたが、また、まったく遡上しなくなりました。水温が低すぎるとのことです。寒い日が続き、花見も出かける人も少ない今年の花見シーズンだったようですが、稚アユの遡上も水温にも大きく影響されます。

4月7日、「大量の遡上があっている」という電話を受け、仕事をほったらかしにして出向きました。本当に、上る上る!元気よく跳ねる稚アユに現場も活気があります。

球磨川の放流事業について

球磨川に53年前に荒瀬ダムが建設されるまでは、鮎は自力で上流まで遡上していました。しかし、ダム建設によって、人間の手を借りなければ遡上できなくなり、球磨川漁協による放流事業が始まりました。

Kumagawaseki Gyodoupool_2 球磨川本流の一番下流にある球磨川堰で作業は行われます。魚道を上ってきた稚アユを網が張ってあるプールに誘導します。

Sukuiage 網を手繰り寄せて、手網でバケツに移します。

Tiayuaminonaka 網は稚アユで真っ黒です。

Baketurire バケツリレーでトラックの水槽に移されます。

Houryuu トラックで上流に運ばれ、放流されます。球磨川のアユ解禁は6月1日です。

放流事業費は5000万円

春の天然アユの遡上量は年々少なくなっています。球磨川漁協は産卵場の造成やカワウ駆除など行い、なんとか天然アユを守っています。

荒瀬ダムが撤去されると、ダム湖に瀬がよみがえると、多くの産卵場ができるると、球磨川漁協の方たちも、この前まで、2年後の荒瀬ダム撤去を本当に楽しみにしていました。蒲島知事はダム存続の決定をしましたが、漁協も住民も納得しているわけではありません。荒瀬ダムの利益は毎年2000万円にもなりません。一方アユの放流事業には、毎年5000万円が費やされています。財政を理由に存続を決めた蒲島知事には、企業局の財布だけでなく、県民の利益とは何か考えてほしいものです。

今日の天気:

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2009年2月12日 (木)

球磨川の天然青ノリ

天然、天日干しの良質の球磨川青ノリ  ※入手方法を最後に紹介しています。

荒瀬ダムと瀬戸石ダムのゲート全開で良質の青ノリが

毎年冬になると、球磨川の河口では青ノリの採取が始ります。内水面漁協である球磨川漁協の組合員は川底の石に生えている青のりを採取しています。

青ノリの生育は気温や水質などに影響されます。荒瀬ダム撤去が予定されていましたので、平成14年から毎年冬季にゲートを全開してきました。全開前と比べると青ノリは大変生育が良くなっています。特に今年は水温が低いせいもあってか、とても良質のノリがとれています。下流の八代市でも水の透明度が高く、採取後に水洗いをする必要もないぐらいきれいです。香りも味もとてもいいものが採れています。Aonori

荒瀬ダムの撤去が決まり、冬季にゲートを全開するようになった平成14年は、それまでダム湖に貯まったヘドロが一気に流され、青ノリは全滅しました。しかし、あらかたヘドロが流されてしまうと、上流からのきれいな水が河口まで届くようになり、青ノリはぐんぐん成長しました。その時のことは漁師さんも「これまで青ノリは30cmぐらいしか伸びないものと思とった。しかし、今年は2mにもなった。こんなことは初めて」と述べていました。その後2~3年は、上流の山腹崩壊もあって、球磨川の濁りがひどくなり、青ノリの生産にも影響がでましたが、その後だんだん元に戻り、今年はとてもきれいな水が流れています。荒瀬ダムが撤去されると毎年こんなにきれいな青ノリが取れるのにと、蒲島知事のダム存続の判断をうらめしく思いました。Norisaisyu2Aonorihune

天然青ノリの採取は主に、船から採取する方法と、水に入って採取する方法があります。また、もっと河口では海面漁協が養殖も行っています。しかし、いくら良い青ノリが採れても、採取後の処理の仕方によって、品質には大きな差がでます。採取後できるだけ早く乾燥させる必要がありますので、翌日の天気が晴れることを予想して、採取をします。また、干潮時に採取しますので、採取時間は昼であったり、夜中であったりまちまちです。太陽に干すことによって、香りも味も更に良くなります。Aonoritennpibosi_3

天然の青ノリの入手方法

球磨川を守るための活動をしている「やつしろ川漁師組合」では、球磨川漁協の組合員が採取し、天日干しした天然の青ノリを販売しています。ご希望の方は下記までご連絡l下さい。Aonorisyouhinn

★連絡先:やつしろ川漁師組合 毛利正二

電話090-8834-1533

FAX:0965-32-7140

E-mail:crane938@yahoo.co.jo

★価格 25g 750円、50g 1400円

※郵送の場合送料は別です(25g 120円、50g 140円)

おいしい青ノリの利用法

★粉末にして、焼そばやお好み焼き、グラタンなどにかける

★醤油を少量たらして、ご飯と一緒に食べる

★味噌汁や中華スープ、吸い物に加える

★2~3cmに切って、他の材料と卵とじにする

★他の材料とともに、カキ揚げにする。

★天ぷらの衣に混ぜる。

★5cmぐらいの束にして、薄く衣をつけて、天ぷらにする。

※その他、いろいろ工夫してご利用ください。

===今日の天気:

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2008年11月21日 (金)

昔の球磨川・・・漁師さんの証言(1)

昔の球磨川は鮎がいっぱいいた

昔の球磨川について、流域の人は良く知っています。特に鮎の話になると、漁をしない人でもよく知っています。「鮎が本当にたくさんいた」という話を最初聞いた時は、宮崎の街育ちの私には、にわかに信じられない話ばかりでした。しかし、多くの人の話を聞くと、みんな話が一致しています。一人一人の話が違うなら、失ったものを懐かしむ気持ちが、話を大きくさせているのかもしれません。しかし、みんなが同じ話をするとなれば、信じないわけにはいきません。その共通した話とは以下のようなものです。

  1. 春になると、稚鮎がまるで川幅いっぱいの黒帯のようになって、川を遡上していた。
  2. 橋の上や舟の上からみると、澄んだ川は鮎でいっぱいで、川底は見えなかった。
  3. 川に石を投げると、鮎にあたった。
  4. 水面を棒でたたくと、鮎が数匹プカプカと浮いてきた。
  5. 夜川に行き、川岸で水の中にそっと手を入れると、鮎を抑えることができた。
  6. 子供も、アユ釣りで稼げたので、小使いをもらったことはなかった。学用品もみんな自分で買っていた。
  7. 鮎漁師は、半年の漁で、サラリーマンの1年分を稼いでいた。

共通したものだけですが、その他の話になると枚挙にいとまがありません。熊本県は失った球磨川の価値について、データがないので試算できないといいますが、聞き取りが立派なデータになることがあります。一つには、聞き取りや観察回数の数が多いこと、もう一つは継続性があることですが、それがきちんと記録してあれば、立派なデータであり証拠です。そういうこともしないで、「データがない」として片付けるのであれば、検証する気がないと言ってるのを同じです。

球磨川の昔について、漁師さんのお話を少しづつ紹介していきたいと思います。

友釣り名人、塚本昭司さんのお話Tsukamotosann  

塚本さんは友釣りの名人として、よく釣り雑誌にも取り上げられる球磨川の有名人です。球磨川のすぐ近くで生まれ育ちました。お父さんは、国鉄勤務の傍ら、4,5反歩程の畑作をしていましが、夜はアユ漁をしていました。昔の塚本さんは、まさに川ガキそのものだったようです。************

生家から野原を挟むと球磨川があり、塚本さんは子供のころから、その周辺の球磨川を遊び場にしていました。対岸まで泳いで戻ってくることが、子供のほこりでした。遥拝の堰を下るイカダを見つけると、船頭さんの両手がふさがったスキを狙って、イカダに誰が一番に乗り込むことが出来るかを競いあっては、怒られたそうです。喉が乾くと、球磨川の水をすくって飲みました。

小学生の塚本さんにとって、球磨川は遊び場と同時に稼ぎの場でもありました。5月~10月頃まで、学用品代になる位の金額を、鮎とさなぼり(ゴリ)、ウナギなどを売って得ていました。家庭でも、お祖父さん、お父さんとも鮎漁をしていましたが、落ち鮎の頃は、舟に足場がない程の漁獲があり、お祖母さんが天秤棒で、桑カゴに入れた鮎を売りに行く姿を見て育ちました。漁協組合員だったお父さんは、仕事を終えて、夜近所の人と投網に出かけるたびに、2、3時間で4~5kgの鮎を取ってきては、頼まれた人たちへ配り、生活の足しにするのが当然のこととなっていました。Tukamotokodomozidai

 塚本さんが鮎の友釣りを始めたのは、昭和39~40年(二十歳の頃)ですが、現在の県立南高校の前付近の球磨川で、地元名人と呼ばれる老漁師に混ざり鮎釣りをすると、一度の漁で当時の給料の1割程の収入が得られたといいます。

 ここ数年は、夏の鮎漁が主体です。漁場は下流のダムの影響で、八代に友釣り場がなくなった為、今は主に球磨郡内球磨川水系で鮎がいそうな場所です。10年ぐらい前までは、春はヤマメ、冬はハエ釣りと川の恩恵に預かっていましたが、今ではヤマメの漁場もなく、漁も努力次第で、やっと生活の足しになる程度の量しか取れません。

 塚本さんは、釣りインストラクター協会員や全国釣り振興会等の大きな組織に所属している立場から、全国に釣り友達がいます。鮎釣りシーズンには、遠来の客から球磨川のガイドを頼まれることも多いといいます。ここ数年は鮎の減少にアユ釣りに訪れる人もめっきり減りました。

 「人間や動植物、生きとし生ける物すべてに恵みを与えるべくして、太古から受け継がれた造形物として、球磨川の豊な水量、美しさを誇りに思います。現代に生きる人間だけの財産ではありません。」と塚本さんはダム問題にも積極的に取り組んできました。球磨川で川辺川ダム反対の声が強いのは、荒瀬ダムができてからの川をよく知っていて、昔の川を取り戻して、未来に手渡したいという気持ちがみんなに強いからに他ありません。

今日の天気:時々

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