荒瀬ダム問題

2012年8月 1日 (水)

ダム撤去とウナギの増加(荒瀬ダムとアメリカのダム撤去の場合)

2010年4月にゲートが全開されて、球磨川は確実に変化しつつありますが、川以上に変化を見せているのが、干潟です。今回はウナギに関する部分についての報告です。

ゲート全開後のウナギの増加

Photo_22002年の冬季から毎年約2ヶ月ほど土砂除去や護岸修復工事のためにゲートが全開されていましたのが、その数年経過したころから漁業者から、少しアマモ場が増えている感じがするという報告を聞いていました。2010年にゲートが全開されるころにはそれは顕著になり、漁師さんからは今年はアマモ場に休憩しに来るウナギを狙ったタカンポ漁師が数十年ぶりに8人復活したと聞きうれしくなりました。

更に2011年度は更に増え、それまでは毎日30kg程市場に入ってきていたのが、1日150~200kgと実に5~7倍に増えました。私が八代に来て依頼初めて、スーパーの店頭に並んでいるのを見た時は本当に驚きました。

今年は去年ほどではないようですが、それでもウナギ漁は順調なようで、他所が減少している分、市場価格キロ6000~7000円の高値で取引きされているようです。

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↑地元のスーパーに並んだ地元産ウナギ

確実に増えているアマモ場

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↑国交省の調査によっても、2009年と比較して2011年には河口のアマモ場は3倍程度に増えていることが分かります。

アメリカでもダム撤去でウナギが急増

バージニア州のダム撤去で、ウナギが急増したというニュースがありました。それによると撤去2年後から急激に増え始め、その後も順調に増えているとのことです。

以下、そのニュースのウナギに関する部分の要約です。

「ダム撤去でアメリカウナギが上流に戻る」 http://bit.ly/Oj9hLK  

American Eels Return to Mountain Streams After Dam Removal 

 アメリカウナギの生息域は少なくなっているが、バージニアの大型ダムの撤去後その数が増えつつある。

 米国地質調査研究所、米国野生動物庁、および国立公園庁の研究者が発表したばかりの研究報告書によると、ラッパハノック川のエンブレイダム撤去で、アメリカウナギの数が100マイル上流の水源地域で増えている。 

アメリカウナギは、産まれたサルガッソー海から大西洋の沿岸に沿った南アメリカの北部からグリーンランドまでの川にたどり着くまで長距離を移動するがダムはウナギの移動を遅らせたり、阻害したりする。 

この研究以前には、アメリカウナギにダム撤去がどう影響するか殆ど知られていなかった。研究では、2004年の大型ダムの撤去の前と後にシェナンドア国立公園の川の中でウナギの量を調べた。それによると、ダム撤去の2年後にウナギの数が急激に増えており、その後殆ど毎年増加しているのが分かった。

 

シェナンドア国立公園でウナギが戻ってきたということは、他の生息域において減少しているというという事実と著しく対照的だ。 

「私達の研究は、ダム撤去の恩恵が遠く上流にまで及ぶということを示している」「アメリカウナギは数十年も減少していたので、それが故郷の川に沢山戻り始めているは嬉しい」とナサニエル・ヒット博士(USGSの生物学者、及び主執筆者)は話す。 

アメリカウナギは現在米国野生動物庁が絶滅危機種保護法で絶滅の恐れのある種としてが指定しようと考えている。ダムなどの移動を阻害する構造物は、この50年の間に、広い範囲においてウナギ減少の原因と認識されるようになった。 

報告書の著者たちは、ダム撤去は、源流域において観察されるように、メスの成熟を促し、ウナギ保存のために長期的な利益をもたらすだろうと仮定している。

 

米国野生動物庁研究所の生物学者、及び共著者であるシーラ・エイラ‐は「この研究は、ダム撤去のアメリカウナギの数にとって直接の恩恵があることを示すと共に、東海岸の川の再生事業の継続の重要性を示している」と話す。

 

シェナンドア国立公園におけるアメリカウナギの回復はまた公園資源の管理のためにも重要な意味がある。「公園のウナギの数は、回復を示し続けている」「この研究は、公園の生態系は公園の外まで広く繋がり、下流域のの保存が上流に重要な恩恵を与えるという事実を明確に示している」と研究者ジェブ・ウォフォードは話している。 

※エンブレイダムは1910年に建造された、高さ22フィート、幅800フィートの発電ダムで、2004年に撤去されました。 

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羨ましいのは、アメリカでは、ダム撤去による影響について、流域全体を視野にいれるのに対し、日本ではまだダムの上下流の限定された範囲に限られていることです。また、荒瀬ダムのゲート全開でウナギが増えていると漁業者や私達が言っても、日本では「ダム撤去との因果関係は認められない」で片付けられるのに対し、ハッキリとダム撤去との関係を認める結果となっていることです。

ともあれ、9月から始まるダム撤去と撤去後のウナギの生息数や生息域に注目していきたいと思います。

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2012年7月 7日 (土)

荒瀬ダム撤去工事、9月スタート-住民説明会開催

7月6日、坂本において住民説明会がありました。主に本年度の具体的な工事計画とモニタリング調査の結果報告と質疑です。

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雨の中地元の方を中心に多くの方が参加されています。請負業者のフジタ・中山建設の担当者も参加されており、いよいよ工事がはじめるのだなという実感をよりいっそう強く感じます。
240706_2←9月からの撤去開始を報じる地元紙です。報道関係者もいつもより多いように思いましたが、全国への情報発信もほしいところです。

本年度の工事予定について

本年度の主な工事は、①9月から洪水吐きゲートの右岸側の一枚の撤去開始、②水位を下げるための低下設備の設置工事開始です(赤矢印)。そのために堰堤は、9月1日から堰堤一般通行禁止となりますが、国道219号線と対岸の県道の交通規制はありません。どちらも車の利用が多いため、事業者も対応に大変神経を使っているようです。また、後の質疑応答でも、安全に関する関心がとても高いように思いました。

水位低下設備

Photo
工事前にダム上流の水位を下げるために設置されるもので、中央付近の2箇所に設置されます。これにより、水位は約8m下がり、ほぼ撤去後の水位になるという説明でした。設置後は基本的に常時開放ですが、流速は2~3m/秒と早いため、アユ等の遡上には無理があるとの説明でした。来年の3月から2週間程かけて徐々に水位は下げられる予定です。

工事の様子はライブカメラで

工事の様子は、下流側に2台、上流側に1台設置予定のライブカメラで配信予定です。また工事の進捗状況や現場内のトピックス等を紹介するためのホームページの開設が予定されています。

住民からの意見

説明後、質疑応答の時間がありましたが、もう念願かなって工事開始が待ち遠しいという気持ちが強いのでしょうか、以前のような喧々諤々の質問・意見は少なく、ただただ全然に配慮して、できれば工事計画を前倒ししてでも早く終了させてほしいという思いが強いように思いました。出された主な意見・質問は次のようなものです。

・県道の離合場所設置については、交通の渋滞を起こさないように作ってほしい。

・河川内の工事期間は下流のアオノリの採捕時期と重なるので、濁水対策を十分にしてほしい。

・出来ればライブカメラを、撤去現場だけでなく、河川内の変化が見える場所にもう一台付けてほしい。

・現場を見たいという人も増えると思うので、見学場所等は?→見学会の開催なども予定している。また、八代市が道の駅内に見学場所の設置を考えている。

・上流側の土砂除去計画は?→出水後の土砂情況を把握して検討していく。

・アユがどのくらい増えたということもモニタリングしてほしい。漁民の聞き取りなどもしてはどうか?→ やりたくても、予算と人員の確保に限度があるので、理解してほしい。

・情報公開をもっとしてほしい。→情報公開は十分に考えてやっていくつもり。

・国交省、電源開発関係の工事もあるので、十分に連携ととってやってほしい。例えば本年度は利用するトラックが5台と少数にしても、合計が多くなる可能性があり、安全度の問題も出てくる。

・説明会を今日の一箇所だけでなく、地区でもやってほしい。

・生物多様性再生回復モデル地区に指定されたことを今後にどう反映させていくか?→モニタリング調査などの実施においても、その視点でやっていく予定。

・現場だけでなく、下流の要所(坂本橋や中谷橋など)にも交通誘導員をおいてほしい。

・河川内の立ち入り禁止区域は(川遊びや釣など)?→時と場所によるので、そのとき時に判断したい。

・魚道とあゆみ館の撤去はするのか?→魚道は道路を支えている側面もあるので、そのままに。あゆみ館については決まっていない。

※水位低下設備設置に関する質問も多くありましたが、上の報告に集約されています。

-ともかくも、9月からいよいよ始まります。前例のない大型ダムの撤去です。企業局も試行錯誤しながらの実施になることは仕方ないように思います。企業局もすごく慎重に進めようとしていること、情報公開にも積極的に実施していこうと努力している姿勢は評価されていいものと思います。住民や全国からの感心も高まることと思います。そこから出される多くの意見をまたフィードバックさせて、企業局とともにこの撤去を成功させようという姿勢が、住民にも求められているような気がします。起こった失敗も躊躇することなく公表し、一緒に対応を考えて行けたら、素晴らしい前例となるような気がするし、球磨川の再生にも繋がっていくものと思います。

本当にその日が待ち遠しいものです。

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2012年2月 3日 (金)

「荒瀬ダム」感謝の会 開催

2月3日、熊本県主催の「荒瀬ダム感謝の会」が開催

今春から撤去工事が開始されるのを前に、熊本県が「荒瀬ダム、55年間ありがとう」と感謝の会を開催しました。内容は、建設時の事故による犠牲者への献花、地域代表者に対する感謝状の交付、知事や八代市長による挨拶などです。

55年ダムにより苦労の歴史を強いられてきた住民からすれば、撤去を祝う会を欲したこともあり、この会に参加するかどうか思案した方もおられたようですが、そこは一つの区切りとして参加したというのが、素直な気持ちだと思います。

前日の昼間から雪が降り、真っ白な雪化粧の中、式典は行われました。

雪の中の荒瀬ダム

P1060353s上流からみた荒瀬ダムです。今日は、まず、このダムの左岸にある慰霊碑の前で、建設当時、事故等で犠牲になった工事関係者に対して献花が行われる予定です。

P1060351ss 荒瀬ダム傍にある荒瀬ダムの管理棟の壁には「荒瀬ダム、55年間ありがとう」と書いた大きな横断幕が張ってありました。事業者にしてみたら、当然の気持ちを書いてあるのでしょうが、地元住民の目線ではないようにも感じます。

P1060370s 会場の道の駅坂本から見た荒瀬ダムです。雪の中で物言えないダムを見ていると、撤去を待ち望んでいる気持ちは間違いなくても、やはり、「お疲れ様でした」と声をかけたくなりました。

P1060380s 会場である大きなテントも、雪にすっぽり覆われています。午前10時間からの開始予定ですが、この雪のため、熊本県知事など参列者の到着も遅れているようです。

式典の前に

P1060411s 式典が始まる前の5分程度、蒲島知事は道の駅の中で、これまで撤去運動を続けて来られた住民の方と面談の時間を取られ、「今まで、迷惑をかけてすみませんでした」という趣旨の発言をされたようです。

式典

P1060418s まず、蒲島知事からの挨拶で始まります。延80万人という人が工事に関わったこと、12名の方が犠牲になったこと、荒瀬ダムが果たした役割、荒瀬ダムの記憶を忘れないでほしい、と荒瀬ダムに対する感謝の辞が述べられました。

その後、国会議員、県会議員、市会議員、八代市長など主な招待参列者の紹介がありました。その他、この日の招待参加者は、企業局OBや荒瀬ダム地域対策協議会委員の皆様方です。

P1060438s 八代市長の挨拶です。「ゲートが全開されて、水が本当にきれいになりました」で始まった八代市長は、荒瀬ダムが県内で果たした役割を評価しながらも、地区住民には水害や振動被害などの苦難、またアユの激減を招いたこと、住民の反対運動の末、平成14年に潮谷前知事が撤去を決定し、蒲島知事の時代になって撤去工事開始までこぎつけた運動の歴史などを踏まえながら、挨拶をされました。市民の苦悩をきちんと受け止めた発言に、住民からは拍手がありました。

P1060443s 校区会会長、地域振興会会長など、住民代表への感謝状の授与です。これには、一般参加していた地域の住民からは、「顔も知らん、見たこともない人も多いのに、何で住民代表なのか」「ダムにどんな貢献したのか知らん」という声があちこちから聞こえてきました。確かに、荒瀬ダムに感謝の会であれば、ダム建設に積極的に尽力されたとか、ダム撤去運動を引っ張ってきた方たちに、立場の違いはあれ、ダムの歴史に大きな影響を与えた方たちにこそ、感謝状を送ってしかるべきだという思いがしました。現在、荒瀬ダムの評価がどうであれ、建設当時はバラ色のダム計画として、地元も期待しており、そのために奔走された方の苦労を否定する人はいないのではないかと思われます。

P1060428s テントの周りは、大勢の取材陣で取り囲まれていました。日本初のダム撤去、今後はますます全国の注目を浴び、現地を訪れる報道関係者も増えていくのだと思われます。

P1060450s 終了後、地元の新聞の取材を受ける住民Hさん。これまで住民運動の代表として表に立ってこられました。また、Hさん以外にも、ダム撤去運動の原動力になった旧坂本村村長さんや漁業の反対運動を引っ張ってこられたKさんなども参列しておられましたが、「荒瀬ダム、55年間ありがとう」と書く主催者企業局からすると、彼らは感謝の対象から外れるのも仕方がないことだと思ったりしました。

参加者の感想

終了後、参加していた一般の住民の皆様の感想を聞いてみました。当然とは言え、荒瀬ダムに感謝の言葉は聞かれないものの、「やはり一区切りには間違いない。知事も本当にほっとされた顔をされていた」「しかし、今からが始まり。みんな一区切りで終わったと思ってほしくない」。一番多かったのは、やはり、住民代表とされた地区代表への感謝状授与への不満です。

ある参加者は、「知事選を前にした知事のパフォーマンス」ときっぱり。それと言うのも、やはり、この住民代表への感謝状授与にあるようです。「招待したのが、議員や企業局OB,地元代表とされる町内会長など、選挙に役立つ人ばかり」「代表の80%は、これまで、推進反対関係なく、ダムに対する発言も行動も何もなかった人。ダム問題では顔も見たことがない。こういう人に感謝状を送るのは、選挙があるから。それ以外理由がない」と。

蒲島知事の意図がそこになかったにせよ、感謝状はダムで苦労して来た人ー作るのに苦労した人であれば、それはそれで納得する、という彼の言葉は説得力がありました。

これは、知事も企業局も、今後の撤去工事をスムーズに進めるためにも、少し配慮があれば、「荒瀬ダムのこれまでに感謝する会」として相応しい式典になっただろうという思いがしました。

ともあれ、一つの区切りとなった1日でした。

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2011年12月 5日 (月)

荒瀬ダム撤去の許可申請許可証、交付される

12月5日、待ちに待った撤去許可書交付

知事が撤去を表明し、撤去に向かって準備が進められていたものの、地元にしてみればなかなか安心できないのが事実です。今日、9月に申請を出していた撤去許可申請に対し、国から許可証が交付され地元はホッとしています。

Kabasima_2 今日の県議会冒頭に、来年4月に予定されている知事選挙への出馬の意向を問われ、知事は出馬の意向を表明しました。荒瀬ダムの撤去決定に至る経過には、潮谷前知事が決定した撤去を翻し、その後水利権更新が困難となり撤去決定を行うなど、二転三転あったものの、続投して、責任持って撤去工事を進めてほしいというのが、地元の正直な気持ちだと思います。

自民党の村上寅美県議からは、「12月県議会に提案されている、来年度の撤去予算一七億円を認めれば、国からの補助がでなくなり、県民の理解が得られないのでは」旨の質問がありました。蒲島知事は、「今後も国への要望、コスト削減、企業局の運営努力を行う。また環境省の交付制度の利用も期待している」と撤去費用削減に努めると説明しました。

一昨日3日に開催された県と県選出国会議員の意見交換会において、民主党の松野頼久衆議院議員も、荒瀬ダム撤去費用について「荒瀬ダムは環境省の事業として、自然回復型の公共事業として確保したい」と述べています。

ともかくも、日本初のダム撤去に向けてまた大きく一歩前進しました。

■■NHKニュースから■■

荒瀬ダム撤去 正式に決定

八代市にある県営荒瀬ダムについて国は5日、熊本県に対してダムの撤去工事を許可する許可書を交付し、既存のダムとしては全国で初めて撤去されることが正式に決まりました。
八代市にある県営荒瀬ダムは熊本県が昭和29年に一級河川の球磨川に建設した水力発電専用のダムです。
その後、ダムは老朽化し、平成14年に県はダムによって流域の環境が悪化しているという地元の声を受けていったんダムの撤去を決めましたが、平成20年には財政難から撤去計画を凍結していました。
しかし、撤去凍結に対する地元の反発や、川の水を使う権利「水利権」の更新に地元漁協の同意が得られなかったことから、去年2月、再び県はダムの撤去を発表し、ことし9月に河川管理者の国に撤去工事の許可を求めて申請書を提出していました。
国は今月2日付けでダムの撤去工事を許可することを決め、5日、国土交通省の八代河川国道事務所で熊本県に許可書が交付されました。
これで荒瀬ダムは既存のダムとしては全国で初めて撤去されることが正式に決まりました。
県では来年度から6年かけて荒瀬ダムの撤去工事を行うことにしています。
国から荒瀬ダムの撤去工事の許可が下りたことについて、蒲島知事は「国をはじめ関係者に感謝を申し上げる。地元や県民との約束である来年度からの荒瀬ダム撤去に向け準備を進めていきたい」というコメントを発表しました。

12月05日 18時28分

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2011年10月 6日 (木)

ゲート全開後2年目の河原の植物

  荒瀬ダムのゲート全開後、1年半が過ぎました。2度目の夏も過ぎ、肌寒くなってきた10月2日、西鎌瀬の河原の植物を調べてみました。ここは、ダムがゲートを全開して、河原の上流には瀬も復活しているところです。

ゲート全開前と現在の景観の違い

( ↓ ゲート全開前の満水時)

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(↓ゲート全開後1年半)

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大幅に種類が増えていた河原

去年の夏と比べて、植物の種類数は大幅に増えていました。気がついた主な変化をまとめてみました。

観察できた草本は約52種。去年はヤナギタデが優先していた斜面部分はオオブタクサやヨモギ、オオケタデ、オオオナモミなどで占められ、ヤナギタデはかなり減少しています。

P1070604s (↑去年8月末)

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(↑H23年10月2日)

アカメガシワやヤナギ(オオタチヤナギと思われる)、ホソバイヌビワなど5種類の樹木の幼木が侵入していた。去年は全く観察できなかったものです。

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↑アカメガシワ              ↑ヤナギの仲間

(↓優先している植物種)

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↑(写真左上から右に)オオケタデ、ブタクサ、ヨモギ、オオオナモミ、カナムグラ、ソナレムグラ)もともと、ソナレムグラは球磨川の河口域でしか見られなかったものですが、護岸の緑化のため植栽され流域に広がったと言われています。

石河原の部分は、去年はハマスゲがところどころに見られたが今年は河原には殆ど見られなかった。ツルヨシが根茎を伸ばしつつある。

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(↑ハマスゲ、ツルヨシ)    

その他、多く観察された種

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(↑アメリカセンダングサ、ジュズダマ、イヌビユ、ヤナギタデ、センナリホウズキ、エノキグサ、ノゲイトウ、トダシバ)

その他、オヒシバ、メヒシバ、カヤツリグサ、マルバツユクサ、カラムシなども多く見られました)

1~2株のみ確認できた種

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(↑ラセンソウ、マメアサガオ、マルバルコウ)

確認できたのは、草本が52種と樹木5種です。草本のうち、外来種と在来種の割合は種数にして、半々ですが、多くの面積を占めているのは外来種です。ツユクサの仲間もツユクサとマルバツユクサの2種がありましたが、ツユクサは一株のみでした。また、去年観察できたカワラケツメイは今年は確認できませんでした。また、他の護岸では多く見られたヒメムカシヨモギはここでは見られませんでした。

今後ダムが撤去されることによって、種の構成がどのように変化していくかは不明ですが、注意深く見ていきたいと思います。

関連記事:ゲート全開4ヶ月後の河原の植物

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2011年9月22日 (木)

9月県議会にみる荒瀬ダムの今

Photo今日から、9月県議会の代表質問、一般質問が始まり、代表質問に立った自民党西岡勝成議員、及び民主・県民クラブの平野みどり県議それぞれから荒瀬ダムに関する質問が行われました。両議院とも、撤去資金の30億円を心配する質問がありました。平野県議からは、日本初のダム撤去に向けて、県の積極的な取り組みを促す質問もなされました。

下記は、その質問と回答のポイントのみの紹介です。

■西岡勝成議員の質問

議員:撤去資金の不足を、これまでの経緯も踏まえ、どのように対応するのか?

知事:民主党は支援を約束した。堤防嵩上げや護岸補修については、交付金の一部活用が認められ、技術的支援で縮減の可能性も高まっているが、老朽化した河川工作物をどうするかなど明らかでなく、財政支援は不十分である。管さんも支援を言及してこられ、新体制政権にも働きかけた。2日に楢床大臣に会い、経緯も含め説明した。理解してもらえたと思う。言ったことを実行するのは政治家の責任であり、具体的な支援策を示してほしい。来年度予算編成で具体的に示されるよう働きかけていきたい。

・・・この回答に対し、西岡議員も「一緒になって言葉の重みを(民主党に)追求していきたい」と述べられておりました。

■平野みどり議員の質問

(質問1):費用削減のために、住民の意見を聞いたらどうか(住民はには、この部分の工事はいらないとか、この部分の事業は我慢するとか意見があるのではという趣旨)。

知事:国に経費削減のための技術支援も求め、撤去計画に反映し、地元にも説明して意見を頂いた。今後も必要に応じ国と協議し、地元にも説明していく。

(質問2):荒瀬ダムについて、WEBの利用や展示所設置も含めて、広く情報を公開していってはどうか。

知事:全国初のダム撤去であり、記録を残すことは必要。八代市でも道の駅を活用して、資料等展示していくと聞いているので、関係資料の提供など行いたい。

(質問3)祝賀会等の開催を考えられないか。

知事:撤去費用とも照らしわせて、今後考えたい。

・・これに対して、平野議員からは、「ささやかでもいいので、祝賀会は開催してほしい」と意見追加されていました。もっともです。地元目線での質問はとてもうれしいものです。

これまで1000近くのダムを撤去してきたアメリカにおいてさえ、初の大型ダム撤去となるエルワ川の二つのダム撤去では、9月17日大規模な祝賀会が開催されました。日本発のダム撤去の現場となる荒瀬ダム撤去の現場として、熊本県、八代市はもっと積極的にこの機会を利用して、熊本県及び八代市の存在をアピールしてほしいものです。

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2011年9月17日 (土)

荒瀬ダム撤去開始に向けた八代市の取り組み

9月八代市議会の一般質問に応えて

Photo 9月議会の一般質問の4日目9日に一般質問に共産党の笹本サエ子議員が荒瀬ダム撤去に向けた八代市の取り組みについて質問を行いました。質問内容は、撤去記念事業などのイベント実施に関する予定についてです。

以下、質問に対する答弁です(要約)。

撤去記念事業などのイベント開催について

答弁:荒瀬ダム撤去という日本国内初めての歴史的な出来事を契機とした取り組み等に関しましては、地元の市として、可能な事業を実施することとしており、更に民間のイベント等に対しましては、公的な助成制度の適応があるような内容であれば、積極的な活用を促すとともに、場合によってはアドバイスを行うなど、市民活動の一助となるよう併せて努めて参りたいと考えております。

撤去記念事業の公的な助成制度について

答弁:昨年度、坂本町において、地域住民の方々が荒瀬ダム撤去による球磨川の再生が、地域活性化に寄与すると大きな期待が寄せられ、球磨川水系地区を中心としてイベントを実施したり、昔から地域に伝わる伝統食が味わえるような里を作りたいということがあった。これに、「高齢者が活躍する地域コミュニティづくりアドバイザー派遣事業」を活用しました。

また、県で今年から、定住や雇用、交流拡大に資する取り組みなどへ総合的な支援を目的にした「地域づくり夢チャレンジ推進事業」が総説されました。このような助成事業に関して情報提供を行い、地域団体の方々と積極的に関与し、地域活性化のために努めていきたいと考えています。

撤去工事の展望所設置について

この質問に対しては、展望所設置することを前提に現在、具体的な設置場所を検討しているところだということでした。現在の道の駅と荒瀬ダムの間の区間で、工事車両の進入路や資材置き場の場所確認後決定するというような答弁だったと思います。

・・・ともかくも、八代市として撤去開始に向けて、積極的に取り組んでいくという趣旨の回答でした。後、撤去開始まで半年余りです。予想される全国からのビジターに対応するためだけでなく、今後の地域活性に繋がっていくよう、積極的な取り組みを期待したいものです。

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2011年9月 4日 (日)

熊本県企業局、荒瀬ダムの撤去許可を申請

荒瀬ダム撤去に向けた法的手続き開始

熊本県は荒瀬ダム撤去を決定し、すでに撤去に向けてゲートを全開しています。しかし、撤去工事を開始するためには、河川法に24条、26条に従って除却申請を河川管理者である国土交通省に提出、許可を受けなければなりません。

今までは、住民からすれば、いくら県が「撤去する」と約束してくれても、またひっくり返るのではないかとの不安が消えませんでしたが、これでやっと撤去されるという実感が沸くというものです。

P9020364s 9月2日午前10時、県企業が国土交通省八代河川行動事務所に申請書を提出するのを見届けたいと、坂本町住民が同事務所に駆けつけました。(↑写真:溝口隼平氏撮影)

P9020388 この日、提出されたのは、ダムの除去行為に関する許可申請書、撤去完了するまでの6年間の河川の専有許可申請書、及び撤去工法の詳細を記した資料等のようです。(↑写真:溝口隼平氏撮影)

マスコミの報道紹介

この除却申請については、多くの報道機関が取り上げてくれています。その幾つかを紹介します。

くまにちコム:「荒瀬ダムの撤去許可を申請」http://goo.gl/QHkjh

asahi.com:「費用確保なお課題」http://goo.gl/N5eDp

読売新聞:「川再生の第一歩」http://goo.gl/DGRT3

マスコミや住民と企業局のやり取り

提出後、企業局に対しマスコミや同席していた住民から多くの質問が出されました。仕事同席できませんでしたので、そのやり取り内容に関して、同席された坂本町の溝口隼平氏に記録メモを提供していただき、下記の簡単な要旨の報告です(言葉通りではありません)。※長文です。

Q:今日の許可申請の意味は

A:24年度着工に向けての手続きの第一歩。今後審査を受けて許可をもらい準備をすすめる。

Q:タイミングとして、秋頃と言っていたが早くなった理由は

A:特に早めたというわけではない。当初のスケジュール通り。準備ができたので提出した。Q:

Q:今後の予定は

A:許可がいつになるか分からないので、なんとも

Q:許可は最後の法的手続きになると思うが、残された課題は?

A:財源の確保と地域の課題。

Q:30億円捻出の目処は?

A:国に対する要望、コスト削減、企業内の努力で捻出できるようにしたい。

Q:その目処は立っているのか?

A:年度内に提示したい。

Q:目処がたたない場合は、どうするのか?

A:そうならないようにしていく。

Q:試算計画は、30億円が用立てられ、プラスマイナス・・・(不明)

A:今の試算にはいろんな事情があるので、その手直しや削減に向けて努力していく。県としては約束したので、一生懸命やる。

A:詳細については、今日の配布資料を見て下さい。

Q:今日の許可証は誰に渡したのか。

A:八代河川国道事務所 出張所所長

Q:今後国とは?

A:協議会を開いて、コスト削減と技術的な支援のお願いをしている。この会議は今後も行う。

A:撤去費用の国支援要望については、国に対する熊本県全体の要望の中の一つとしてやっている。

Q:資金計画は年度内と言われたが、いつ頃か。

A:年度内にということで、ご理解を。来年度予算に向けて精査していく必要がある。情報は随時報告していく。

Q:来年度工事が始まる。30億円賄えなくてもするのか。

A:皆さんに理解が得られる資金計画にしていきたい。どういう形になるのかも時期をみて判断したい。

Q:クレスト撤去とか穴をあけるという工事の具体的なところは?

A:川の中に入れるのは11月。道路の通行止の問題もあるので、地元と詰めていく。

Q:11月から2月までの工事期間というのは県が決めたのか?川の中は11月からしかできないのか。

A:そうだ。穴をあけるためには、土砂排出や騒音の問題もあるので、工程的なものも今から詰めていく。

Q:(不明)

A:92億円という総工費は維持管理費など諸経費も入っている。それは変わってないが、今後コスト削減等が入ってくると下がってくると思う。

Q:工期が短くなる可能性は?

A:はっきり分からないが、現在の考えで6年。

Q:撤去工法について企業から意見募集したが、それらも取り入れるのか?

A:意見が(見直しの)対象になればそういうこともある。基本的なことは変わらないが、施工の中で変わることもある。

Q:総事業費92億円の中で、残金が73億円ということですよね?

A:道路の嵩上げ、護岸補修などすでに支出して、残金が73億円ということ、土砂の搬出や護岸の補修あたりでは、すでに執行済み。

Q:撤去自体はもう始まっていると?

A:平成14年に潮谷知事が撤去を決定してから、始まっている。土砂の除去などは進めていた。

Q:92億円というのは潮谷知事の時も含めてか?

A:そうだ。

Q:今後のコスト削減にも影響してくると思うが、自然流下した土砂などは勘案するのか?

A:相対として土砂はそう動いていないという認識。測定して、次のフォローアップ委員会で報告させてもらう。

Q:予算計上の時に、そのデータは参考にされないということか・

A:去年掘ったところも、また溜まったところなどもあるので・・・・。

Q:自然流下でどれだけ流れたのかの試算は?

A:土量計算は毎年している。年度末に毎年測定して、5月頃報告を・・・。

Q:コスト削減に、その変化は反映されないのか?

A:今回のには土砂は入ってない。本体の計画だけ。土砂は流れているのか、逆に溜まっているのか不明。

Q:(今日の申請書を)審査するのは、九州整備局になるのか。

A:基本的に河川の管理・許可機関は九州整備局なので、そこでの判断になる。

Q:水面から上の工事は、4月1日から始まる可能性はあるのか・

A:あると思うが、機器の問題もあるので。業者からすると、同じ機器を利用するのであれば、連続して施工したいということもある。いつから着工になるかも今詰めている。

Q:次の地域対策委員会は?

A:まだ、決まっていない。

Q:(申請書等の)公開は考えてないのか?

A:今はまだ整理ができていない。これを審査する中で、中身が変わることもある。その結果お墨付きが出たところで地元に説明したい。こんなやり方では安全ではないとかいう話も出てくるかもしれないし・・・。

Q:隧道(発電所までの導水トンネル)はどうするのか?

A:利用について募集したけど、要望がなかったので、コストの縮減を考えて、撤去工事で出たコンクリなどを詰める。

Q:藤本発電所は?

A:河川の中についての申請を早くしないといけないので、いまのところしていない。

Q:発電所下の、放流路下流の排土はどうするのか?

A:今、検討中。防災との関連もあるので国とも協議していきたい。

Q:地元の要望を国は知っているのか・

A:国も私も知っている。

Q:今、護岸工事もしているので、あそこの部分については放水路をどうするのかという問題とも絡んでくる。

A:国と協議していく。護岸工事に合わせてできるようにする。

Q:ゲートは来年度撤去するのか?

A:全部じゃないけど、一部外すことで考えている。1門になるのか、2門になるのか・

Q:情報開示や閲覧は?(と、今日の資料を開示すべきだと頑張っていた方がおられました)

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やり取りを聞いて、面白いなと思ったのは、マスコミの質問は30億円の不足金など資金に関することが殆どで、住民からはそれ以外のものが殆どであったことです。土砂の除去は自然流下などで不要であるなど、コスト削減はできるはずだと、これまでも多くの意見を出してきた住民からすると、30億円という金額の不足は不思議で問題に見えないのかもしれません。ともかくも、大きく踏み出した手続きに、地元が以下にホッとしているか、その歓迎ぶりが伺えます。

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2011年8月29日 (月)

もうすぐダム撤去開始ー荒瀬ダム待ち望む声看板に

荒瀬ダム撤去まで、あと7ヶ月

荒瀬ダムの撤去工事が始まる平成24年4月まで、残すところ7ヶ月となりました。地元はその日を指折り数えて待っています。地元では、その気持を表現したいと、村内8カ所に看板を掲げました。デザインから色塗り、設置作業まで結構な作業量となりましたが、住民の待ち遠しい気持ちが素直におふれる看板になりました。

キャッチコピーも、「待ちに待ったダム撤去」「私たちの球磨川が戻ってくる」「待ち遠しいな、きれいな球磨川」等々です。本当に待ち遠しいです。

Nec_0039s 荒瀬ダムが見えるところに大きな看板が設置されました。

P1020608s 作業の第一段階は、看板のデザインを写すところから始まりました。

P1020622s みんなで、色塗り作業をしました。畳2~3枚大の大きさなので、大変でした。

P1030453s 鎌瀬橋の手前に立てました。立てるのも大変でした。

Photo 色塗り作業より、炎天下の中の設置作業が大変でした。台風が来ても倒れないようにと頑丈に設置します。

立てた看板の前で記念写真撮影です。Photo_2

Nec_0053 すべての看板がイラスト入りです。ここも土壌が硬くて、穴掘り作業は大変でした。

Photo_3中谷橋の突き当たりにも立てました。

P1020727s 本田ディリーストア前の一枚。お客様の評判も上々だとか。

Nec_0059s やっと、8枚目の設置が終了しました。

坂本を通られる時は、皆さん見て下さいね。

ダム撤去が待ち遠しい気持ちが伝わることと思います。

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2011年6月20日 (月)

荒瀬ダム撤去フォローアップ専門委員会第1回会議開催

5月24日、第1回荒瀬ダムフォローアップ専門委員会が県庁AV会議室で開催されましたので、傍聴してきました。遅ればせながらの報告と感想です。

荒瀬ダム撤去フォローアップ専門委員会の目的と問題。

目的は「荒瀬ダムの撤去にあたり、治水面及び環境面のモニタリング調査結果について評価・検証を行いながら、より安全かつ環境に配慮したダム撤去を実施するため、荒瀬ダムフォローアップ専門委員会を設置する」(設置要領より)となっています。

確かに撤去を安全に進めるために、このような委員会は不可欠です。しかし、あくまで撤去だけが目的になっており、その後の球磨川をダム建設前の状態に持っていく、すなはち球磨川の再生をどうするかという視点がないために、地元からすると、その調査の方法・検討過程は満足がいくものとはなっていません。

また、今回の委員の構成は殆どが県内の専門家で構成され、荒瀬ダムの問題を身近なものとして、かつ客観的にみている方たちが多いということで評価はされると思います。しかし、現場を知っているもののは少なく、現場の感覚とかけ離れたところでの説明や質疑になっている部分もあることは否めません。少なくとも現場に詳しい地元委員の参加が必要です。また、少なくとも傍聴者にも意見が言える機会が求められます。

第1回目の今回では、ゲート全開後BOD,底生生物や付着藻類において、かなり環境が改善されたと思われるデータが報告されました。

荒瀬ダム撤去フォローアップ専門委員会 第一回配布資料及び議事録

今回の報告で分かったこと

①BOD、PHはゲート全開後下がっている。

②ダム湖が流水区間にでは底生生物ではトビゲラ目、カゲロウ目が種類、量とも大幅に増えるなど、水質や底質が改善されたことを裏付ける結果となった。

③底生生物の貴重種と位置付けられているウスイロオカチグサ、モノアラガイは撤去による影響があると予測されたたま、移植を試みているが、移植先での確認は全くないか、著しく減少している。移植先に以前から生存していたかの確認がないままの移植は問題である。

このことについては委員会からも、「頼むから、これ以上いじらんでそっとしておいてくれ」と意見があった。

④付着藻類では、硅藻、緑藻が大幅に増加していた。

今回の報告で疑問に思ったこと

①濁度の調査報告があったが、出水時の濁度のみの調査に終わっている。平常時の濁度について連続した調査が必要である。

②水質定期観測においても、報告は「環境基準を満たしている」「出水に伴い上昇」などの記述が多いが、私たちはダムゲート全開前との比較やゲート全開後の変化を知りたいのである。

③堆積物の粒度分布は、ダムゲート開放後の今後の検討のための基礎データとするとして、60%代表粒径で比較検討しているが、この調査の結果をどう分析するのかとても分かりにくい。→これについては、大本委員からも「このデータだけからだったら、物理的考察が全くできない」という意見があっています。これも、住民が何を知りたがっているか、そしてそのためにはどのような調査が必要になるのかという事前の検討が不十分なため起こるものです。

④植物の調査は、メハジキ、カワジシャ、ミゾコウジュなど、「重要な種」についてのみの調査に終わっている。これは委員からも、「生物相とその生育環境の調査が必要」と指摘されている。

このメハジキ、ミゾコウジュの確認地点は、ダムの下流であり、建設前とはその景観は大きく異なっている。地元からすると、ダム建設前の植物の繁殖状況について、聞き取りやデータの収集を行う必要がある。

その他、委員からでた意見

このメハジキ、ミゾコウジュの確認地点は、ダムの下流であり、建設前とはその景観は大きく異なっている。地元からすると

●佐藤:球磨川にはクマガワリンドウだとか、クマガワナンテンハギとか幾つか固有の植物があり、こういう重要な植物などは、ここではなくなる、もうないという状況になりかねない。そういうことも含めて、今後は十分配慮していあtだきたい。

●西野:元々そこにこの種がいたのかいなかったのかという調査をしないで、移植されてしまっているのか問題。

●大本:礫上で、微細土砂がどういうふうな堆積状況にあったかということについて、データが取られていない。

●大本:付着藻類でクロロフィルあの量がでていない(→調査してなかった)。

●大本:(「BODについては、球磨川全体で良かったので、ゲート全開でこうなったということは言えない」という事務局の説明に対し)同一の条件下でどういうふうな変化があったか見ることができるようにしてほしい。

●河床材料を取るところと、生物相を取るところが必ずしも一致していない。物理環境と生物環境の調査場所が少し違う。

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この委員会は2時間しかありませんが、その半分が事務局による資料の説明です。事前に資料は渡して、個々の委員で十分検討してもらって、当日は議論してもらうということにすると、十分な質疑ができるのではないかと感じました。

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