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2012年7月

2012年7月 7日 (土)

荒瀬ダム撤去工事、9月スタート-住民説明会開催

7月6日、坂本において住民説明会がありました。主に本年度の具体的な工事計画とモニタリング調査の結果報告と質疑です。

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雨の中地元の方を中心に多くの方が参加されています。請負業者のフジタ・中山建設の担当者も参加されており、いよいよ工事がはじめるのだなという実感をよりいっそう強く感じます。
240706_2←9月からの撤去開始を報じる地元紙です。報道関係者もいつもより多いように思いましたが、全国への情報発信もほしいところです。

本年度の工事予定について

本年度の主な工事は、①9月から洪水吐きゲートの右岸側の一枚の撤去開始、②水位を下げるための低下設備の設置工事開始です(赤矢印)。そのために堰堤は、9月1日から堰堤一般通行禁止となりますが、国道219号線と対岸の県道の交通規制はありません。どちらも車の利用が多いため、事業者も対応に大変神経を使っているようです。また、後の質疑応答でも、安全に関する関心がとても高いように思いました。

水位低下設備

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工事前にダム上流の水位を下げるために設置されるもので、中央付近の2箇所に設置されます。これにより、水位は約8m下がり、ほぼ撤去後の水位になるという説明でした。設置後は基本的に常時開放ですが、流速は2~3m/秒と早いため、アユ等の遡上には無理があるとの説明でした。来年の3月から2週間程かけて徐々に水位は下げられる予定です。

工事の様子はライブカメラで

工事の様子は、下流側に2台、上流側に1台設置予定のライブカメラで配信予定です。また工事の進捗状況や現場内のトピックス等を紹介するためのホームページの開設が予定されています。

住民からの意見

説明後、質疑応答の時間がありましたが、もう念願かなって工事開始が待ち遠しいという気持ちが強いのでしょうか、以前のような喧々諤々の質問・意見は少なく、ただただ全然に配慮して、できれば工事計画を前倒ししてでも早く終了させてほしいという思いが強いように思いました。出された主な意見・質問は次のようなものです。

・県道の離合場所設置については、交通の渋滞を起こさないように作ってほしい。

・河川内の工事期間は下流のアオノリの採捕時期と重なるので、濁水対策を十分にしてほしい。

・出来ればライブカメラを、撤去現場だけでなく、河川内の変化が見える場所にもう一台付けてほしい。

・現場を見たいという人も増えると思うので、見学場所等は?→見学会の開催なども予定している。また、八代市が道の駅内に見学場所の設置を考えている。

・上流側の土砂除去計画は?→出水後の土砂情況を把握して検討していく。

・アユがどのくらい増えたということもモニタリングしてほしい。漁民の聞き取りなどもしてはどうか?→ やりたくても、予算と人員の確保に限度があるので、理解してほしい。

・情報公開をもっとしてほしい。→情報公開は十分に考えてやっていくつもり。

・国交省、電源開発関係の工事もあるので、十分に連携ととってやってほしい。例えば本年度は利用するトラックが5台と少数にしても、合計が多くなる可能性があり、安全度の問題も出てくる。

・説明会を今日の一箇所だけでなく、地区でもやってほしい。

・生物多様性再生回復モデル地区に指定されたことを今後にどう反映させていくか?→モニタリング調査などの実施においても、その視点でやっていく予定。

・現場だけでなく、下流の要所(坂本橋や中谷橋など)にも交通誘導員をおいてほしい。

・河川内の立ち入り禁止区域は(川遊びや釣など)?→時と場所によるので、そのとき時に判断したい。

・魚道とあゆみ館の撤去はするのか?→魚道は道路を支えている側面もあるので、そのままに。あゆみ館については決まっていない。

※水位低下設備設置に関する質問も多くありましたが、上の報告に集約されています。

-ともかくも、9月からいよいよ始まります。前例のない大型ダムの撤去です。企業局も試行錯誤しながらの実施になることは仕方ないように思います。企業局もすごく慎重に進めようとしていること、情報公開にも積極的に実施していこうと努力している姿勢は評価されていいものと思います。住民や全国からの感心も高まることと思います。そこから出される多くの意見をまたフィードバックさせて、企業局とともにこの撤去を成功させようという姿勢が、住民にも求められているような気がします。起こった失敗も躊躇することなく公表し、一緒に対応を考えて行けたら、素晴らしい前例となるような気がするし、球磨川の再生にも繋がっていくものと思います。

本当にその日が待ち遠しいものです。

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