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2012年5月31日 (木)

エルワ川のダム撤去に日本も学ぼう!

artエルワ川のダム撤去はエルワ川再生プロジェクトの一環

1000近くのダムが撤去されているアメリカにおいても、大型ダム撤去に突入したのは、去年の9月から撤去工事が始まったエルワ川の2つのダム-エルワダムとグラインズキャニオンダムが初めての事例となります。(詳細は過去ブログをご参照下さい)

川の規模も撤去された2つのダムの規模も、球磨川と撤去予定の荒瀬ダム、及び上流の市房ダムの規模とそう変わりません。しかし、エルワ川のダム撤去と球磨川のダム撤去を比較すると、その目的や撤去の過程、撤去に関する関心の高さなどについては大きな開きがあります。

一番の違いはエルワ川のダム撤去が、ただ単に老朽化したダムを撤去するという撤去だけを目的としたものではなく、エルワ川の再生のためにはダム撤去が必要だと判断していることです。そのためにダム撤去がその費用の5~6倍を再生事業に費やすというエルワ川再生計画の一環となっています。

そのために、モニタリング調査も河口域も含めたエルワ川流域全体に及んでいます。サーモンの追跡調査やカワウソの生息域の変化の調査など生物のモニタリング調査の対象や範囲も多岐にわたります。このタム撤去で得られた様々なデータが、今後のダム撤去を含む河川政策に大きな影響を与えるだろうと、行政のみならず多くの研究者が注目する現場となっています。

こういう調査以上に荒瀬ダム撤去の現場からみて、羨ましいのは、このダム撤去が貴重なデータを得る機会だという視点だけではなく、住民や行政が全米初のダム撤去をどれ程楽しみにしているのかをうかがい知ることができる多くの取り組みです。

そのいくつかを紹介です。

art展示会「River Story」開催

6月1日から9月末まで、4ヶ月にわたって、エルワ川の再生をテーマに絵画や彫刻、写真、様々なアート作品の展示会が開催されます。ダム撤去の工事と並行して、明日からの開催に向けて地元はその準備に全力をあげてきました。地元や国内の有名なアーティトの作品が展示される予定です。詳しくは、HP:River Story on Exhibit をご参照下さい。

1↑昨年9月11日の撤去祝賀会の会場のスタージに利用された作品や多くのアーティストの作品が展示される予定です。2

xmasダム湖後の裸地への緑化事業

ダムの撤去作業と並行して、水位が下がって出現する裸地を緑化するための準備が2006年から進められてきました。オリンピック国立公園のスタッフだけでなく多くのボランティアの手によって、在来植物の種の採取や播種作業、ポット苗づくりを実施してきました。

今年植えた植物が根付いたという出来事がニュースで取り上げられていましたが、水位が下がって外来植物の侵入を好き放題に許している荒瀬ダムの現場からみると、とても羨ましく思うと同時に、自然を再生することに対する両国の姿勢の違いを改めて認識せざるをえませんでした。そのニュースの内容を簡単に紹介です。 Peninsula Daily News 2012 April 1

=ダム湖だったところに在来の植物が根付く=

去年の11月から3月、植物の休眠期間中に植えられた種が秋に成長を始めると、いろんな調査が実施され、どこにどのような植物を植えるのがいいのか、緑化に必要な種を決定するのに役立てられる。地元のワシントン大学や他の大学の大学院生たちが、植物名のタグつけ作業をしながら、再生計画をたて実行しているが、同時に観察や学習の機会となっている。

4月になるとエニシダやヒメフウロ、日本原産のタデの仲間、外来のブラックベリーなど、歓迎されない外来種が侵入を始め、除草作業や除草剤の散布が必要になる。これらの作業がエルワダムのダム湖、及びグライン図キャニオンダムのダム湖だったっところ、及びその中間地点で続けられている。

libra環境教育の場としての利用

エルワ川は現在、川の再生に関する環境教育の場として様々なプログラムが企画され、国内外の学生たちを受け入れています。

=学生たち、エルワ川研究所で調査= 

Students explore Elwha River 'laboratory'

先週、シアトルの高校2年生30名がオリンピック公園に付随している科学ハンズオンラボで週を過ごした。河川生態学に関係する科学技術を学べる施設である。学生たちはクララム族の養殖サーモンに関するフォーラムに参加したり、水質の測定方法を学んだり、カヌーでの探検を経験したりする。

また、ダムサイトトから河口、またクラインズ・キャニオンダムとそのダム湖だったところに行く機会も与えられる。エチオピアから参加していた15歳の交換留学生は故郷に帰ったら、ここで学んだ河川生態学の知識を役立てたいと話した。諮った溶存酸素の値が、魚にとっていい状態ではあるが、理想的ではないこと、また、ダム湖に堆積した100年分の土砂がどのように排出されるかなどについて説明を受けた。

インストラクターのミラー氏は 「エルワ川の再生プロジェクトが、どの程度成功するか、またそれがはっきりするまでどの程度の期間がかかるのか誰にも分からない。それだけに科学の教育者にとってはまたとない機会になるだろう」と言う。

活動の休憩時間に二人の学生が熱心に議論をしていた。クララム族の人工孵化場が長期的にみて、川の将来にいいのか悪いのかということについてだった。一人の学生は、それで生計を立てている職業漁師のために早く数を増やす必要があると主張。もう一人の学生は「野生のサーモンが時が経てば、川にとってだけでなく、漁師にとっても長く良い結果をもたらす」と主張した。

それを見て、インストラクターのミラー氏は、学生たちが自分たちの意見を発展できる程に河川生態系について十分学ぶことができたと微笑んだ。

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これらの取り組みはエルワ川だけで可能というわけではなく、荒瀬ダム撤去の現場にも同じように与えられたチャンスに他なりません。折角の機会を十分に生かそうという発想が行政や事業者にないのは、大変残念ですが、住民レベルでも企画できるプログラムも十分考えられます。日本初の大型ダム撤去の機会を是非全国の皆様に生かした様々なアプローチを考えてほしいものです。

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