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2011年12月29日 (木)

ダム撤去工事により川に戻りつつあるエルワ川(アメリカ)

アメリカのエルワ川において、今年の9月に開始された二つのダム撤去開始から3ヶ月が過ぎました。エルワダムとグラインズキャニオンダムのダム本体は半分程が撤去され、上流の堆積物もかなり下流に流されました。その現在の様子を12月25日のシアトル・タイムズが記事にしていますので、紹介したいと思います。

20111228 ↑撤去開始から3ヶ月が過ぎた現在のエルワダム

   ※撤去の経過については、こちらをご参照下さい。

川に戻りつつあるエルワ川(シアトルタイムズ記事)

Lake Aldwell Reservoir starting to resemble a river from dam removal work on the Elwha River system

Photo (↑アドウェル湖)

オリンピック半島の上の東フアンデフカ海峡に注ぐエルワ川にある2つのダムの撤去について、エルワクララム族からニュースがアップされていた。

アドウェルダム湖は、再び川に戻りつつある。しかし、これは魚の遡上を妨げていた二つのダムの撤去が9月に始まってから、エルワクララム族が、大きな期待を持って見てきた、エルワ川の変化の一つにしか過ぎない。

11月1日までに、高さ108フィートのエルワダムは48フィート、高さ210フィートのグラインズキャニオンダムは32フィートの高さまで撤去された。

ダム湖からの水は、ダム下流とダム湖の水文地質を変えながら、撤去中のダムから溢れ出している。ダム撤去が始まる前には、自由に水が流れているのは、ほんの5マイルだけであった。

「エルワダムは約40%が壊され、背後のアドウェル湖は、もうダム湖ではありません」とクララム族の生息地プログラムマネージャのマイク・マックヘンリー氏は話す。
「川のようになりつつある。南端のデルタは更に露出し、堆積物は下流に流されています。」と。

更に、作業員は、100年間存在していた残骸ををアドウェル湖から取り除き、ボートがダムに近づかないように設置されていた防止柵も取り除かれた。流木は、川の下流の鮭の生息場所に役にたつであろうという理由で、下流に流されてきた。

「11月末に大きな降雨があったので、川のある地点においては、10,000立方フィート/秒の流量があり、それがタイナミックな変化をもたらしたのです」とマクヘンリー氏は語る。

クララム族は、河口近くでは、干潟に良質な砂の堆積がわずかながら増えているのに気が付いている。クララム族の環境コーディネイターのマット・ビーネ氏は「河口から海峡に吐き出される良質の堆積は、撤去工事中と比較してずっと顕著で、その形状も一日のうちに変わります」という。

「私達は、干潟に重要な土砂の堆積はまだ確認してないけれども、小さな粒子により濁りの程度が高くなっているのに気が付きます。」「ダムの撤去は、予定より進んでいるようであるけれども、川により、より大きな流れが発生するまで、干潟に重要な土砂堆積を見ることが出来るとは思っていません。」とのことである。

約100年の間、魚は 魚道のない二つのダムによって、上流に遡上することができなかった。

2000万立方ヤードを超える沈殿物がダムの背後に堆積したが、その殆どは、今後下流に流されて、河床に変化を与えることになると思われる。

二つのダムは連邦政府によって所有されており、オリンピック国立公園は撤去の先頭に立っている。

3億5000万ドルと見積もられているダムの撤去ととエルワ川の生態系復元プロジェクトは、米国における過去最大のダム撤去プロジェクトである。プロジェクトは、2013年までに終了予定。

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エルワ川で起こっている河川や河口の変化は、荒瀬ダムのゲート全開により現在起こっている球磨川や河口干潟の変化とほぼ同じようなもののように思えます。ただ、エルワ川は二つのダムを、川の再生のために撤去するのに対し、球磨川は荒瀬ダム撤去そのものが目的になっており、上流には瀬戸石ダム、下流には遥拝堰を抱えていることから、今後の川の再生においては、双方に違いが出てくるように思います。

日本発のダム撤去が、川の再生にどのような影響を与えるのかを考える上において、今後共日米の二つの川に注目していきたいと考えています。

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