熊本県企業局、荒瀬ダムの撤去許可を申請
荒瀬ダム撤去に向けた法的手続き開始
熊本県は荒瀬ダム撤去を決定し、すでに撤去に向けてゲートを全開しています。しかし、撤去工事を開始するためには、河川法に24条、26条に従って除却申請を河川管理者である国土交通省に提出、許可を受けなければなりません。
今までは、住民からすれば、いくら県が「撤去する」と約束してくれても、またひっくり返るのではないかとの不安が消えませんでしたが、これでやっと撤去されるという実感が沸くというものです。
9月2日午前10時、県企業が国土交通省八代河川行動事務所に申請書を提出するのを見届けたいと、坂本町住民が同事務所に駆けつけました。(↑写真:溝口隼平氏撮影)
この日、提出されたのは、ダムの除去行為に関する許可申請書、撤去完了するまでの6年間の河川の専有許可申請書、及び撤去工法の詳細を記した資料等のようです。(↑写真:溝口隼平氏撮影)
マスコミの報道紹介
この除却申請については、多くの報道機関が取り上げてくれています。その幾つかを紹介します。
くまにちコム:「荒瀬ダムの撤去許可を申請」http://goo.gl/QHkjh
asahi.com:「費用確保なお課題」http://goo.gl/N5eDp
読売新聞:「川再生の第一歩」http://goo.gl/DGRT3
マスコミや住民と企業局のやり取り
提出後、企業局に対しマスコミや同席していた住民から多くの質問が出されました。仕事同席できませんでしたので、そのやり取り内容に関して、同席された坂本町の溝口隼平氏に記録メモを提供していただき、下記の簡単な要旨の報告です(言葉通りではありません)。※長文です。
Q:今日の許可申請の意味は
A:24年度着工に向けての手続きの第一歩。今後審査を受けて許可をもらい準備をすすめる。
Q:タイミングとして、秋頃と言っていたが早くなった理由は
A:特に早めたというわけではない。当初のスケジュール通り。準備ができたので提出した。Q:
Q:今後の予定は
A:許可がいつになるか分からないので、なんとも
Q:許可は最後の法的手続きになると思うが、残された課題は?
A:財源の確保と地域の課題。
Q:30億円捻出の目処は?
A:国に対する要望、コスト削減、企業内の努力で捻出できるようにしたい。
Q:その目処は立っているのか?
A:年度内に提示したい。
Q:目処がたたない場合は、どうするのか?
A:そうならないようにしていく。
Q:試算計画は、30億円が用立てられ、プラスマイナス・・・(不明)
A:今の試算にはいろんな事情があるので、その手直しや削減に向けて努力していく。県としては約束したので、一生懸命やる。
A:詳細については、今日の配布資料を見て下さい。
Q:今日の許可証は誰に渡したのか。
A:八代河川国道事務所 出張所所長
Q:今後国とは?
A:協議会を開いて、コスト削減と技術的な支援のお願いをしている。この会議は今後も行う。
A:撤去費用の国支援要望については、国に対する熊本県全体の要望の中の一つとしてやっている。
Q:資金計画は年度内と言われたが、いつ頃か。
A:年度内にということで、ご理解を。来年度予算に向けて精査していく必要がある。情報は随時報告していく。
Q:来年度工事が始まる。30億円賄えなくてもするのか。
A:皆さんに理解が得られる資金計画にしていきたい。どういう形になるのかも時期をみて判断したい。
Q:クレスト撤去とか穴をあけるという工事の具体的なところは?
A:川の中に入れるのは11月。道路の通行止の問題もあるので、地元と詰めていく。
Q:11月から2月までの工事期間というのは県が決めたのか?川の中は11月からしかできないのか。
A:そうだ。穴をあけるためには、土砂排出や騒音の問題もあるので、工程的なものも今から詰めていく。
Q:(不明)
A:92億円という総工費は維持管理費など諸経費も入っている。それは変わってないが、今後コスト削減等が入ってくると下がってくると思う。
Q:工期が短くなる可能性は?
A:はっきり分からないが、現在の考えで6年。
Q:撤去工法について企業から意見募集したが、それらも取り入れるのか?
A:意見が(見直しの)対象になればそういうこともある。基本的なことは変わらないが、施工の中で変わることもある。
Q:総事業費92億円の中で、残金が73億円ということですよね?
A:道路の嵩上げ、護岸補修などすでに支出して、残金が73億円ということ、土砂の搬出や護岸の補修あたりでは、すでに執行済み。
Q:撤去自体はもう始まっていると?
A:平成14年に潮谷知事が撤去を決定してから、始まっている。土砂の除去などは進めていた。
Q:92億円というのは潮谷知事の時も含めてか?
A:そうだ。
Q:今後のコスト削減にも影響してくると思うが、自然流下した土砂などは勘案するのか?
A:相対として土砂はそう動いていないという認識。測定して、次のフォローアップ委員会で報告させてもらう。
Q:予算計上の時に、そのデータは参考にされないということか・
A:去年掘ったところも、また溜まったところなどもあるので・・・・。
Q:自然流下でどれだけ流れたのかの試算は?
A:土量計算は毎年している。年度末に毎年測定して、5月頃報告を・・・。
Q:コスト削減に、その変化は反映されないのか?
A:今回のには土砂は入ってない。本体の計画だけ。土砂は流れているのか、逆に溜まっているのか不明。
Q:(今日の申請書を)審査するのは、九州整備局になるのか。
A:基本的に河川の管理・許可機関は九州整備局なので、そこでの判断になる。
Q:水面から上の工事は、4月1日から始まる可能性はあるのか・
A:あると思うが、機器の問題もあるので。業者からすると、同じ機器を利用するのであれば、連続して施工したいということもある。いつから着工になるかも今詰めている。
Q:次の地域対策委員会は?
A:まだ、決まっていない。
Q:(申請書等の)公開は考えてないのか?
A:今はまだ整理ができていない。これを審査する中で、中身が変わることもある。その結果お墨付きが出たところで地元に説明したい。こんなやり方では安全ではないとかいう話も出てくるかもしれないし・・・。
Q:隧道(発電所までの導水トンネル)はどうするのか?
A:利用について募集したけど、要望がなかったので、コストの縮減を考えて、撤去工事で出たコンクリなどを詰める。
Q:藤本発電所は?
A:河川の中についての申請を早くしないといけないので、いまのところしていない。
Q:発電所下の、放流路下流の排土はどうするのか?
A:今、検討中。防災との関連もあるので国とも協議していきたい。
Q:地元の要望を国は知っているのか・
A:国も私も知っている。
Q:今、護岸工事もしているので、あそこの部分については放水路をどうするのかという問題とも絡んでくる。
A:国と協議していく。護岸工事に合わせてできるようにする。
Q:ゲートは来年度撤去するのか?
A:全部じゃないけど、一部外すことで考えている。1門になるのか、2門になるのか・
Q:情報開示や閲覧は?(と、今日の資料を開示すべきだと頑張っていた方がおられました)
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やり取りを聞いて、面白いなと思ったのは、マスコミの質問は30億円の不足金など資金に関することが殆どで、住民からはそれ以外のものが殆どであったことです。土砂の除去は自然流下などで不要であるなど、コスト削減はできるはずだと、これまでも多くの意見を出してきた住民からすると、30億円という金額の不足は不思議で問題に見えないのかもしれません。ともかくも、大きく踏み出した手続きに、地元が以下にホッとしているか、その歓迎ぶりが伺えます。
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