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2011年6月 3日 (金)

エルワダム発電停止・・・エルワ川再生へ向けて

20040601 6月1日、アメリカのエルワ川に建設されたエルワダムの発電機が止められました。これまで約700基のダムが撤去されたアメリカですが、エルワダムとグラインズキャニオンダムの撤去は最も大きなダム撤去になります。

heartエルワ川と二つのダム

Photo_3 ←川と二つのダムの位置をしました図です(ネットから拝借)

これら二つのダムがあるエルワ川はオリンプック国立公園の中にあり、球磨川より長さは短いのですが、約32mのエルワダム(1913年)が河口から5マイルのところに、またそこから8マイルのところに高さ約64mのグラインズキャニオンダムが建設されてから、荒瀬ダムと同様に洪水や河口の海岸線後退、太平洋性マスの生息域減少などの影響を与えてきました。

しかし、この二つのダム撤去が荒瀬ダム撤去と大きく違うのは、荒瀬ダムは撤去することそのものが目的になっていますが、この二つのダム撤去は「エルワ川再生のために」ということを目的としたダム撤去であるということです。再生プロジェウト予算はなんと二つのダムの撤去の約5倍の324万ドルと言われています。

エルワダムが出来たために、5種類の太平洋性マスと降下性のサケは大打撃を受け、39万尾いたといわれるこれらの魚類数は、2005年には3000にまで減少しています。球磨川のアユの放流量が毎年300万匹が目標ですが、アユとマスではわけが違います。1匹のスチールヘッド(マス)は、時には100ポンドにも成長し、その経済効果は1匹で8000円から3万円にもなるという試算もあります。

何よりダム撤去を切望したのは、古来よりこれらのマスの恩恵に預かって生活を営んできたElwha Klallam族です。そして、今この撤去及び再生計画はElwha Klallam族やオリンピック公園、行政などが一緒になって立案、実行されています。撤去方法や工期について、地元の意見が全く考案されることがない荒瀬ダムとなんという違いでしょう。

Photo_2 (↑エルワダム)

heart撤去方法

撤去の手順がネットにアップされていますこれによると左岸のクレストから撤去が開始され、その次に右岸クレスト、それから中央に設置されている水圧菅と撤去されていく予定になっています。今年の秋から工事が始まり約3年で終了予定です。

  ◆エルワダムの撤去手順  撤去手順PDFファイル

 ◆エルワダム 撤去シミュレーション

 ◆グラインズキャニオンダム撤去シミュレーション

heartエルワ川の再生計画

エルワ川の詳しい再生計画はまだ把握できていませんが、マスやサケの再生はただ単にダム撤去だけに任せるのではなく、人口孵化場がすでに建設され積極的な計画が立てられています。また、800エーカーにも及ぶ裸地の復元のために、地元の植物の種採取が、植物研究家やボタンティアによって2002年から行われ、9月の撤去開始と共に、浸食防止や外来種の浸入を防ぐために1万5000株が植栽される予定です。最終的に40万株の植栽を計画されています。

撤去により鮭や鱒がどのように戻るのか、また、それらか熊やイヌワシにどのような影響をあたえるのか、更にはダム湖の堆積物の放流が河口にどのような影響を与えるのか、エルワ川再生計画における試みが他のダム撤去に大いに役立つだろうと研究者は注目しています。.

heartこの秋から工事がスタート

6月1日の発電停止のニュースは全米の新聞が大きく取り上げてありました。ダムがあるオリンピック公園当局は、9月17日に盛大な祝賀会を計画しています。国内で人気があるミュージッシャンや政治家など大物を招待されるといわれています。

荒瀬ダムは日本で初めてのの、それも大型のダム撤去です。ダム撤去が球磨川にどのような影響があるのかは、全国のダムの現場でも関心が持たれているものと思いますが、行政や事業者の取り組みには雲泥の差があるようです。

荒瀬ダム撤去まで、残すところ1年。国が30億を急きょ支出することになり撤去が前倒しされたエルワダム撤去は先行して、今年の9月から始まります。今後ともこのダム撤去及びその再生計画に注目していきたいと思います。

※下記動画は、エルワダムの建設経緯だけでなく、昔のElwha Klallam族の生活やポートアンジェラスの開拓の経緯、エルワダム建設当時の様子から、エルワ川に生息するマスや自然の紹介など、貴重な写真を利用した動画です。私たちが見てもとても参考になると共に、懐かしさをも感じさせるものとなっています。是非、見て下さい →The Elwha dam

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