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2011年4月

2011年4月23日 (土)

球磨川沿いを歩く(2)葉木駅~坂本駅

桜の季節到来。球磨川沿いの坂本町には国道沿い、荒瀬ダム湖岸とあちこちに桜が植栽してあって、この季節車で通っていても、桜に目を奪われてしまいます。

そんな3月27日、葉木駅から坂本駅までの約5km、球磨川の右岸を葉木ー佐瀬野ー大門ー藤本ー松崎と歩いてみました。桜はほぼ満開です。

one葉木駅

Photo 葉木駅です。小さな駅で構内は少し殺風景ですが、ホームから見る景色は、懐かしい昔を思わせる雰囲気で、SLがとても似合いそうです。駅の向こうに見えるのは、ボートハウスです。Photo_2

葉木という地名は川の合流点を意味する「ハキ(吐く)」から来たとされていますが、対岸にも破木と集落があります。昔八代に来た時、葉木の方に効くと、「あっちは破れはぎたい」という説明を良く受けていましたが、こちらは「はき」ではなくて、「はぎ」と濁るようです。どちらも、肥薩線が開通するまでは舟運の要所で、多くの住民が舟運に従事していたようです。人吉から八代まで舟で下るのに3日、その一日目の行程の終点だったようですから、宿泊施設もあったに違いませんが、今はその面影は殆どありません。

twoSL撮影のスポット

Sl 川沿いに並行してずっと線路が走る球磨川沿いは、SLファンにとって格好の撮影場所のようです。特にSLが走る土日・休日は大きなカメラを抱えてた人たちをたくさん見かけます。上りのSLが通るのは午後4時頃ですが、まだ2時だというのに、すでに待っている人たちを結構見かけました。

他の方のブログを見ると、「来年からダム撤去が始まるので、桜の季節にダム湖沿いを走るSLを撮るラストチャンス」というSLファンの写真がアップされていましたが、そういうこともあって、この季節ことさら多く感じたのかもしれません。このあたりの川沿いにはツクシイバラも自生しています。散歩や写真撮影を楽しむには、もう少し分布を広げてほしいなと思いながら歩きました。

three葉木橋

Photo_3対岸の破木とを結ぶ橋で、昭和53年に竣工されました。それまでは両集落間には渡し船が利用されており、その渡し船乗り場は現在も葉木橋の上流側に見ることができます。

Photo_4葉木橋から下流の右岸には、ダムのゲート全開後出現した河原が500m程、ずっと佐瀬野集落まで続いています。昔はこのあたりは深淵や多くの瀬があったようです。初めてゲートが全開された時には、おびただしい堆積物がありましたが、除去作業と自然流下により、今はきれいな砂地の河原に変わっています。川沿いに砂の上を歩いても心地よさそうです。しかし、ダムが撤去された後はずっと水位が下がりますので、また昔ながらの淵や瀬が復活し、急流が出現するのかもしれません。

Photo_5 葉木橋から続く佐瀬野の河原です。右岸から上流をみたところで、葉木橋が見えます。このあたりもSLの撮影ポイントのようで、休日には多くの人がカメラを抱えて待機しています。

four佐瀬野のお堂

Photo_6 何が祀ってあるのか分かりません。名前の表示がどこにも見当たりません。坂本には観音様や薬師様など沢山のお堂があります。どこも大事にされているようです。植栽木の手入れも良くされています。日曜日ともなれば、隣接するゲートボール場でゲームを楽しむ人の良き休憩場となっています。

five荒瀬ダム

Photo_7上流側の佐瀬野から見た荒瀬ダムです。全開したゲートから向こうが見えるのはいつ見ても、明るい未来を見るようでうれしいものです。来年の今頃は撤去が始まります。撤去後の景観を想像しながら歩きます。

Photo_8 荒瀬ダムの下流です。1年前までは流れが殆どなかったところです。今はごうごうと音を立てて流れています。右手にある岩には、「一の岩」「二の岩」「亀岩」と名が付いています。どうして「三の岩でなく、亀岩なのだろう」とその形に亀を探しましたが、見つけることができませんでした。ダムが撤去されて水位が下がると、亀が姿を現すのかもしれません。

ゲート全開後のこのあたりでは、いつもコサギやコガモ、カイツブリなどの水鳥を見ることができますが、この日はカンムリカイツブリも来ていました。

six神田工業横の桜

Photo Photo_4 荒瀬ダムを背にしながら、南に進むと、少し川沿いから離れます。神田工業横の桜がきれいです。右手のアラカシやヤブツバの木陰下の土手にはスミレやキランソウ、タツナミソウも春が来ていることを、控えめに、それでもしっかりと主張するように咲いています。カワラヒワも「春は俺のものだ」と言わんばかりです。コゲラやウグイス、シロハラの声を聞きながら、気分爽快です。

seven大門の河畔の桜

Photo_2 神田工業を過ぎると、再度川沿いに歩くことができます。いつも対岸から車を走らせながら見ているこの大門の川沿いの桜。対岸からみるのと、その下を歩くのでは全く違います。お勧めの散歩路です。橋が出来るまではここにも、渡し船の発着場がありました。Photo_3 日曜日だというのに、誰も歩いている人もなく、ウグイスのさえずりと川のせせらぎの音をBGに、一人でこの贅沢な空間を楽しみながら歩きました。

eightおやくさん

Photo_4Photo_5 川沿いの道を離れ、藤本小学校(今は廃校)の後ろを通って県道に戻る途中に、「大門の薬師堂」があります。地元の人は「おやくさん」と呼んでいます。お堂の中には天井から鰐口がかけてあります。鰐口というのは金属製の音響具で、鰐の口の形をしていることから鰐口と呼ばれるようですが、もともとは神社等に奉納されるために作られたようですが、合戦の時の合図に使われたり、戦利品として持ちだされたりすることが多かったとその説明板にあります。坂本にはことのほか、この鰐口がかけられているお堂が多いようです。

nine懐かしい里の風景

Photo_6 まるで、「小さな時に故郷のお婆ちゃんを訪ねてきたことがある」と思いたくなるような懐かしい故郷の春がそこにありました。「ただいま~」と声かけたくなります。

五社宮

Photo_7 藤本地区にある「藤本五社神宮」です。大きな杉の木が仁王様のように、お宮を守っています。杉だけでなく、クスやイチイガイカシなど他の木もみな巨木で、太古の昔からそこにあったように立っています。ここの森は八代市指定の天然記念物に指定されています。裏手は球磨川がすぐ傍に流れていて、昔は船頭衆がイチイガシの根元に開いた祠で休憩をしていたといいます。桜満開の坂本町の中で、ここだけは凛とした空気に包まれています。

藤本発電所

Photo 荒瀬ダムで取水された水は、約600mm下流にあるここ藤本発電所に送水され、発電機を回してきました。今は人影もなく、ひっそりとしています。ダム撤去に関連して、この施設も撤去される予定となっています。

いんぎゃりの瀬

Photo_5 219号線と坂本の中心部を結ぶ坂本橋が見えるともう坂本です。右手に見える建物が昔の坂本村役場、今は八代市坂本支所です。球磨川のこの場所は広い中州を挟んで左岸側には「う瀬」と「いんぎゃりの瀬(犬返りの瀬)があり、昔は舟下りの難所だったようです。右岸側は昔は緩やかな流れだったそうですが、今は左岸より大きな瀬が出来ています。昔は右岸は広い河原があり、舟に積み下ろし場で「江子の舟留まり」と呼ばれていました。

これらの瀬を見ながら川に沿って歩き、道が川傍から少し離れると、そこはもう坂本駅です。

今日のこのコースは、桜の季節にお勧めの散歩コースです。4時頃坂本駅に到着すると、ちょうどSLが停まっていました。熊本方面に帰るのであれば、SLを予約しておくと、楽しい旅の終わりとなりそうです。

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2011年4月 5日 (火)

賑わったゲート全開1周年イベント「荒瀬で遊ぼう!」

桜満開の季節。ダムゲート全開から1周年を迎えた荒瀬ダム下流の桜は例年にも増して美しく、流れ始めた目の前の球磨川に対する喜びのメッセージを発しているようです。そんな4月3日、ゲート全開一周年を記念して、イベント「荒瀬で遊ぼう!」が開催されました。

東北の震災で自粛ムードもあり、開催についても議論がありましたが、ダム建設に翻弄されて50年苦難を強いられた地元住民にとって、球磨川の再生は長年の願いであり特別な思いがあります。ここは素直に喜びたいというのももっともです。会場にも募金箱が設置されてた中での開催となりました。

fish流れが戻った川で遊びたい

Photo_6 場所は、荒瀬ダムから約500m下流の道の駅「さかもと館」横の堤防です。ゲートが全開された荒瀬ダムがはっきり見えます。

ダム運用期間はここは減水区間になっており、殆ど水は流されないためにたまり水同然の区間で、水量も殆どありませんでした。それが、今は昔の河原こそ戻っていませんが、流れのある川が蘇っています。とにかく、「ここで遊びたい」「遊べる川が戻ったことを知ってほしい」と企画されたものです。

fish盛り沢山のイベント

準備期間が1カ月そこらでしたので、どれだけの人が参加されるのか予想はできないままのの発信になりました。また、やりたいことが多すぎで、河童おもちゃの川流し、ダム湖周遊ツアー、石切り、魚釣り、カヌー遊び、俳句大会、写真展と盛りだくさんの内容になりました。結局自分たち50年間ここでやりたくてもやれなかったことをして遊びたい・・地元住民の自然な思いのイベントとなりました。

参列した福島八代市長により、荒瀬ダム撤去に対する強い決意が述べられました。また、カヌーイスト野田知佑さんから、「川に子供の歓声を!」と、また、潮谷前県知事からは「今日のイベントが、生命への畏敬・感謝の再確認、また撤去に向けた強靭で持続的な歩みを共に進める意思の確認に」という趣旨のメッセージが紹介されました。

広い会場に400人を超える人がこの日のイベントを楽しみました。1h230403173

fish河童おもちゃが流れに乗って

Photo_4河童のおもちゃ130個を舟から一斉にスタートさせ、その順番を競う単純な遊びです。川にものを流して遊ぶ・・・こんな単純な遊びがこの地域ではできませんでした。最初子供だけに流してもらう予定だったのですが、大人からも次々に「私も流したい」と申し出があり、大人も子供もなくなりました。川幅広い球磨川では130個の河童もほんのちょっとに見えます。しかし、自分の河童の番号で「○番の河童頑張れ」の声援が飛びます。

ダムの下流でカヌーが浮かぶという光景も、以前は考えられなかったことですが、すっかり風景の一部になっているようでした。

Photo_3 上位10番までは賞品、及び外れた番号から20名ぐらいに残念賞が準備してありました。子供対象の賞品しか準備してなかったのですが、当たった大人も大喜びでした。司会のFさんも河童の扮装で楽しそうです。近くのおばちゃんたちの「面白かった~」という顔は、子供のようでした。

fish石切りって難しいけど、止められない、はまる遊びだ!

Photo_5 河原では子供たちが石切りをしています。なかなか難しいようです。コツを習って、少しづつ上達していきます。うまくできないからって、「面白くない」とあきらめる子供はいません。これが石切りの魅力なのですね。今後こういう子供が川沿いで見られていくだろうと思うだけで楽しくなりますが、残念なことにまだ元に戻っていない河原で、石切りに適した石を見つけるのは至難のようです。

fish地元の手作り模擬店で楽しい昼食

Photo_2 この日は地元の方たちによる模擬店もありました。猪汁が飛ぶように売れています。地元の福祉施設が作ったパンの美味しさはもう皆さん知っているようで、こちらもほぼ完売です。

Photo_7 また、この日は地元の民宿森屋さんが作ったお弁当「里のみち草弁当」のデビュー販売もありました。赤米などのおにぎりや地元食材のあえ物や天ぷら・・・手間暇かけた心こもった手作りのお弁当です。大きさもバックに入れて持ち運びやすい大きさです。容器もゴミとして捨ててほしくないと、思わず持って帰りたくなる竹皮のものです。味も申し分ありません。これで500円(税別)とは、大変得した気分です。(予約申し込みは民宿「森屋」さんまで 電話0965-45-3406)

fish釣果は今一つも楽しい魚釣り

Photo 午後からは魚釣り大会がありました。前の日に地元の方が竹竿を準備してくれました。小さな子どもたちが多く、釣りは初めてのようです。一人一人に地元の方が付き添って丁寧に教えます。しかし、なかなか釣れません。ダム建設前は「なんでんかんでんいっぱいおった」という魚も、ゲート全開して1年程度では戻ってくるのは難しいようです。しかし、こうやって釣竿を流れに投じるという風景は、故郷そのものです。子供たちが自分たちで仕掛けを作り、釣りをする・・・そんな日が待たれます。

その他、ダム湖周遊のミニツアーや俳句大会、球磨川の今昔の写真展もあり、みなそれぞれに楽しんでいました。この日は道の駅も1日中賑わっていました。

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ダムが出来て、何度も酷い水害に遭い、アユを基盤とする生業を失った坂本町です。その50年という長い歳月も忘れさせてくれたかのような1日でした。本格的なダム撤去開始まであと1年です。「1年なんてすぐだよね」という希望に満ちた声が聞こえてきました。

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