第3回荒瀬ダム撤去技術研究委員会
第3回撤去技術研究委員会が開催されました。
平成22年7月23日(金)県境の2回多目的AV会議室において、第3回技術研究委員会が開催されました。この日で審議は終了、報告書としてまとめられ、これをもとに今後撤去計画が作成される予定です。
以下、翌日の新聞を紹介します。
県営荒瀬ダム:撤去技術委、工法や土砂処理法まとめる
◇県、12年度から作業開始へ
県営荒瀬ダム(八代市)の撤去を河川工学などの面から専門的に検討していた「荒瀬ダム撤去技術研究委員会」(委員長=福岡捷二中央大教授)は23日、最終会議を県庁で開き、撤去工法や土砂処理方法などを取りまとめた。県はこれを基に撤去計画案を年内に策定し、12年度から撤去作業に入る。
撤去工法は、06年3月に県が作った荒瀬ダム撤去方針を踏襲し、流水量の多い右岸側から順に6年かけて橋脚やコンクリート部分を撤去する「右岸先行スリット撤去工法」を採用した。また撤去や土砂除去が生態系や自然環境に与える影響を追跡調査する環境モニタリングの実施計画もまとめた。
最終会議で委員からは「(委員会の最終)報告書では、撤去事業が持つ『球磨川の再生』という視点をもっと強調すべきだ」などの意見が出た。
会議に出席した蒲島郁夫知事は「国内初の本格的なダム撤去に向け、最新の知見と技術による内容の濃い素晴らしい審議ができた。費用面の検討も合わせ、慎重に撤去準備を進めたい」と話した。
今後、改めて各分野の専門家らでつくる「荒瀬ダム撤去フォローアップ専門委員会」(仮称)を設置し、技術面や環境モニタリング結果に基づく検討をする。【笠井光俊】毎日新聞
取り上げられなかった住民の意見
各マスコミをみると、有意義な審議が行われたように思えます。確かに、この日は住民からの荒瀬ダム広報等に関する意見要約も配布され、いつもより活発な意見が出されたようです。また、住民意見への言及もあり、「住民意見を興味深く拝見した」というコメントも複数の委員からあったようです。しかし、住民の意見をみると、「これ以上の土砂除去はいらないのではないか」「自然流化でいいのでは」という意見がかなりあったにも関わらず・・・一人の委員がそのことに対して指摘はされたものの、これ以上の土砂除去の必要性について議論されることはありませんでした。つまり、住民からは出された31件の意見は、どれも取り上げて議論されることもなく、一枚のペーパーにまとめられて配布されること以上の意味はないように思えました。
ただ、住民の再生への願いに言及し、複数の委員から「球磨川の再生」ということを報告書にきちんと入れてほしいという意見があり、これはとり入れられそうです。
しかし、環境モニタリングにしても、撤去の影響を調べることが目標になっており、再生するためには、どういう視点での調査が必要かという議論にまで行かなかったようです。例えば、私たちが願うモニタリングは、撤去によってどれだけの産卵場が復活するかということではなくて、そこできちんと産卵が確認され、そこで孵化した仔魚が無事八代海まで下っているのか、それを調べるためにはどういう調査が必要なのか、また下ってない時は、上流の瀬戸石ダムや下流の遥拝堰の運用をあれこれ変えながら調査をしてはどうかなど・・・実際に撤去がアユの増加につながるための環境モニタリングです。モニタリングは、委員の方々も言う「球磨川の再生」のために必要な手段であって、目標ではない・・・そういう視点での意見がほしかったと思います。
これまでも何度も主張してきましたが、荒瀬ダム撤去の方法、環境対策を決定する上において、住民との合計形成のプロセスが欠落したまま、報告書がまとめられることになったことは、とても残念です。
今後については、県は再び学識研究者を交えた「荒瀬ダムフォローアップ専門委員会(仮称)」を設置し、撤去工事の影響を把握するためのモニタリング結果の評価・検証を行い、また住民や関係団体とも十分に連絡調整を行うとしています。一方通行的な意見聴取にならず、対話というキャッチボールをしながら、進めていってほしいものです。
しかし、撤去も球磨川の再生もまだこれからです。調査結果は広く公開し、今後とも住民の意見だけでなく、広く県内外の専門家の意見を反映させながら、全国初のダム撤去を成功させてほしいものです。
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