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2010年6月27日 (日)

荒瀬ダム撤去に際する砂礫除去の必要性について

virgo思った以上に流出している堆積土砂

ダムを撤去する場合において、堆積土砂の処理は大きな問題の一つであることは間違いありません。熊本県の撤去費用91.8億円(H20年PT試算)のうち、必要な堆砂土砂・」砂礫の除去費用は27.7億円に上り、すでに11.9億円が支出され、残事業費は15.8億円となっています(H20年試算時)。Pt_2  

確かに、平成14年撤去が決定した折にゲートが下げられ、露出した堆積土砂はヘドロで覆われ、そのすざましい臭いでダムサイトには近寄りがたい程でした。しかし、その後の泥土除去事業や平成14年度以降の冬季のゲート全開及び4月1日以降のゲート全開により、かなりな量の土砂が除去されるか、もしくは流下しています。

今後の土砂除去事業の内容は、堆砂対策(佐瀬野地区10.0万㎥。約3.4億円)、浸水被害軽減対策(鎌瀬・与奈久地区6.0万㎥。約3.9億円)、環境対策費(泥土除去9.5万㎥。約8.5億円)に上ります。

多くの地元の方のご意見を伺いましたが、みんな「後は自然流下で問題ない」という意見が殆どです。場所によっては、「ダム建設前と殆ど同じぐらいまで減少している」と言われます。こういう除去事業が必要かどうかも検討するのが、「荒瀬ダム撤去技術研究委員会」の役割の一つのように思いますが、現時点において、審議された形跡はありません。また、国からの技術面・費用面について話し合う「荒瀬ダム撤去に関する国と熊本県との検討会議」における役割とも考えられます。どう費用を支援するかだけでなく、その事業が本当に必要か否かについても、検証を重ねてほしいものです。

これまでの土砂除去事業においては、業者からの圧力に屈して必要以上の経費を除去作業に支出したという話も聞こえてきます。県は土砂除去について、その説明責任が求められています。

virgo堆積土砂の除去については、住民との合意形成が不可欠

先の「撤去技術研究委員会」で、M委員が「アメリカでは撤去をするときにコストをミニマムにするということを目標にしている。すなはち、一時的に環境にダメージを受けても、コストミニマムを目指す。また、下流の漁業関係、環境を守るのは難しいので、多少お金がかかってもやるという選択肢もある」旨の意見を出されています。しかし、これを受けて議論が発展することはありませんでした。荒瀬ダムにおいては、漁業者も沿川住民も「これ以上の除去は必要ない」と主張しているのです。お金がないという熊本県は、お金がないことを理由にして、撤去作業を遅らせるのではなく、撤去の手順、範囲や量については、地元の方たちの意見も踏まえた議論や合意形成の過程が不可欠です。

virgoダム稼働時よりも流下土砂の影響は少ない

ダムが発電のため貯水をしている時は、ゲートを閉じて水と共に土砂も貯めこんでいました。それが洪水時に一斉にゲートが開けられ、一気に下流に流れ出すので、度々甚大な被害を下流に与えてきました。実際、平成14年度に初めて全ゲートが全開された時は下流のだけでなく、不知火海の漁協者も対岸まで押し寄せた濁水の帯に「こんなに酷い放流は見たことがない」と話していました。このように、酷い被害を出す泥土流下が今後起こるとは、一挙にダムを撤去するということをしない限り考えられません。

現在は越流部(エプロン上端)まで水位がありますが、洪水時には堆積土砂は巻き上げられながらかなりな量が流下するものと思われます。また、越流部の撤去も一気に行われるわけもなく、少しづつ撤去されるものと思われますので、土砂の流下具合とその影響を確認しながら、段階的に撤去作業を行うことも技術的に可能だと思われます。

泥土や砂礫の除去が今後も本当に必要か、また、除去する場合の方法・程度についてはまだまだ議論の余地があるように思えて仕方がありません。

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