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2010年6月29日 (火)

荒瀬ダム撤去後の地域の課題

present第1回荒瀬ダム撤去地域対策協議会開催

荒瀬ダムの撤去にあたっては、水位低下などに伴い、地域に新たな問題が生じます。実際、ゲートが全開され、水位が低下するとすぐに、一部の地域に井戸枯れが生じました。現在、給水車による給水活動が行われています。その他にも様々な問題が予想されるため、その問題把握や対応策を考えるための「荒瀬ダム撤去地域対策協議会」が設置され、6月29日第1回の会合が開催されました。

メンバーは、熊本県(副知事、企業局長、八代地域振興局長)、八代市(市長、市議会議長、企画振興部長、坂本支所長)、関係団体(球磨川漁協、八代漁協、鏡町漁協、土地改良区連合、南部土地改良区の代表)、住民代表(市政協力員7名)です。これまで撤去を求めるために運動をしてきた市民団体や環境団体の代表が入ってないのは、解せないところもありますが、地域の生活に密接に関係がある問題を主に協議するということが目的だとしています。

今日の協議会では、主に平成18年八代市から提出された要望書「荒瀬ダム撤去に関する諸対策について」の内容を元に、課題として熊本県が整理した項目とそれぞれに対する現在の取り組み「地域課題への取り組み状況」について説明があり、それに対する質問や新たな要望、問題の指摘などが委員から出され、それを今後改めて整理していくという認識を共有することを確認して終了しました。この協議会は平成23年度までの予定とし、今後は、各項目ごとに関係部局や関係団体と部会で協議し、次回の協議会にその結果を報告するということになりました。

present協議会で出された意見や質問など

これまで出された課題は、「地域課題への取り組み状況」に整理されてありますが、その後の2年間やゲート全開後に明らかになった問題もあり、委員からは様々な意見が出されました。今回は各意見に対してその都度協議をするというのではなく、問題解決のため、新たな課題も合わせて今後整理するための意見収集の意味合いが強いやり取りになりました。今日、新たに出された意見や質問の要約の主なものです。

委員:社会資本総合交付金から本年度は902万円が捻出されるというが、いくら要望した結果なのか。

事務局:本体撤去工事以外について計画書を提出した。初年度ということもあり、結果として百済木川の泥土除去や環境モニタリングの費用として902万円が提示された。今後も交付金の別枠など求めていく。

委員:遥拝堰上流の堆積が増えれば、利水に影響がある。その対策は。

事務局:異常な堆積はないと予想しているが、あった場合は国などと協議をしていきたい。

委員:私たちの目標は、昔の球磨川を取り戻すこと。そういう施策がほしい。

事務局:意見を踏まえで、もう一度再検討したい。

委員:以前は法面は、草が生えていて、滑っても川の水で怪我することはなかったが、今はコンクリで水もないので、滑って危ない。安全対策を考えてほしい。

事務局:現場を確認して対応を考えたい。

委員:撤去費用をみると、嵩上げ費用や水位低下維持装置で10億円を超えると思う。本当に必要な事業か。

事務局:下鎌瀬から中津道は、設計洪水量6550トンが来たら、撤去した場合でも冠水する。撤去してもすぐ水位は下がらないので、堆砂の除去と道路の嵩上げはする計画。また、まだダム上流には湛水区域が残っている。工事の邪魔にならないように、水をどちらかに流す必要がある。また、上流からの急激な流れ出しを防いだり、堆砂の除去もしやすくなる。平成15年の専門家委員会の時に、いろんな利点があるので、必要ということになった。

委員:藤本発電所をあとどうするのか気になる。

事務局:現時点では、一応解体して埋め戻すということになっている。荒尾市の産業遺産の例もあるし、今後どうするのかは、議論させてほしいとは思うが、現段階では撤去となっている。

委員:ゲート全開して、油谷川、深見川合流点は水の流れが早くなって、水が引くのも早くなっている。きちんと検討することが必要。

委員:昔は、2世帯に一つは川に下りる道があった。今は、テトラポットがあったりして、出水時の舟の管理など難しいので、進入路をつくってほしい。テトラポットもどうするか考えてほしい。

事務局:設置した道路管理者と話し合う必要がある。撤去しても護岸に影響がかいかどうか確認する必要がある。

顧問:出された課題を、早急に行うもの、撤去と同時に行うもの、撤去後にするものなど色分けする必要がある。八代の要望をます色分けして進めてほしい。

顧問:今行われている撤去技術研究委員会後撤去計画を策定するとあるが、この協議会の意見は反映できるのか。

顧問:環境調査は遥拝堰までとしているが、影響は不透明だと思う。八代海まで調査すべき。その辺は柔軟性をもって、撤去計画を策定してほしい。

顧問:地域の生活に支障がでないようにと地域対策を行うといっているが、地域対策費は総事業費に含まれてないという。30億足りないと言っているのに、地域対策はいくらかかるか不明。予算の担保はどうするのか。

事務局:飲み水は協議会が出来てからでは遅いので、先行させている。それ以外は国の事業としてできるのか、管理者としてするのか、まさに暗中模索。我々も悩みながらやっている。頂いた意見を整理していきたい。

present撤去計画策定に至る過程の問題点

地域対策協議会や荒瀬ダム撤去技術研究委員会の資料や内容をみると、撤去計画の策定するにあたっての問題点も浮き彫りになってきます。

住民の意見や疑問に十分応えた上での撤去計画の策定になっていないいうことが一番の懸念材料のように思います。地域対策会議に市政協力員が住民代表として出席することに異論はありませんが、市政協力員が地域や状況をすべて把握しているとも限らないし、住民が抱える多くの疑問や意見をすべて代弁してくれるとは限りません。これまでに、荒瀬ダム問題に取り組んできた地域外の市民団体や環境団体、また研究者の意見など幅広く聞いてほしいものです。

今日の説明でも様々な課題の対応について、「撤去技術研究委員会において検証」という説明が目立ちましたが、研究委員会の方の議事録や傍聴を通して、そういう議論が未だ行われていないものが殆どです。住民には「撤去技術研究委員会で検証している」と説明し、委員会では「住民の意見は地域対策協議会で聞いて、反映させる」と説明するようではいけません。地域対策協議会が次回開催されるのは、秋です。一方、委員会は7月には終了します。地域の意見を聞くことなく委員会は終了し、撤去計画が策定されるようなことはあってはならないことと思います。

また、本日より荒瀬ダム撤去に関する意見募集が7月14日まで実施されますが、県の現在の撤去に対する考え方も知らず、環境調査の報告等のデータ開示ないままで、どれ程の県民が意見を述べることができるかも疑問です。日本初のダム撤去です。多くの専門家や技術者の知恵を積極的に借りることも重要なことのように思います。

意見を本当に聞く気があるのでしたが、まず説明会を実施すべきです。また、研究委員会に反映させるというのでしたら、第2回委員会での配布資料や議事録の公開などが求められます。

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