不明な「有識者の会」の位置づけ
2月28日に開催された「藤本発電所の水利使用について助言を頂く有識者の会」の位置づけについて、藤巻河川調査官は、終了後の記者会見において、「会の位置づけがいまいち分からない。社会資本整備審議会もあるので、そこで議論すればいいのに、わざわざ作った意味は何か」と改めて問われ、「河川法38条による関係河川者への通知というのは、おそらく本邦初。初めての手続きなので、思いが至らないところがあるかもしれない。今回助言をいただき、その助言を踏まえて、我々として河川法に基づいて判断していくために、設けた」旨、その趣旨を説明しています。
この日は、企業局や九地整担当者からの説明に対し様々な視点からの質問とともに、調査の手法や関係河川使用者に関する考え方に関する意見が出されました。その中でいくつか、これまでの考え方を一歩進んだ意見もありました。その意見は、決して現行の河川法を逸脱しているものではありませんが、委員から出される良い意見については、「今後の河川行政に貴重なご助言を頂いたので、本省にも伝える」という返事です。「今後の河川行政のための助言をもらうためではなかったのでは?」と思っていると、記者からも「今回の荒瀬ダムについては、どうなんですか」と質問が飛びます。H河川調査官はその度に「現行の河川法に基づいて、対応させていただく」との回答を繰り返します。その河川法の解釈についての助言をしてるのですが、今後の河川行政に活かすという返事しかかえってきません。「現行の河川法に基づいて」ではなく、「現行の九地整の河川法の解釈に基づいて」進めていくことから広がらないのであれば、最初から「有識者の会」は何の意味もありません。
早速、本日3月1日、球磨川漁協に対して、藤本発電所の水利使用許可申請に係る関係河川使用者への通知が行われました。
※参考資料
第1回「藤本発電所の水利使用について助言を頂く有識者の会」配布資料
生かされなかった委員の意見
委員のお一人に全国水産技術者理事長の原武史氏がおられました。農学博士でもかる原氏は水産学の立場から、現場や最近の研究の報告なども踏まえ、下記のような意見を述べておられました。
○ダムの堆積が非常に大きな問題になっており、内湾の藻場に砂の供給がなくなってて、アサリなど貝類の生息量が減少している。
○最近、ダムに堆積する腐食土をある方法で海に埋設すると、藻場の再生に有効だったという報告がある。
○ダムが出来ても水の量も質も変えないのでいいんだと・・・我々は決してそうは思っていない。
・・・と具体的な話も踏まえながら(関係河川使用者が内水面における漁業権者に限られるように書かれているが、)ダムが干潟や海への土砂供給に影響を与えることを考えると、球磨川漁協だけでなく海面の漁協も意見聴取の対象に入るのではないか」旨の指摘をされました。
しかし、それに対して九地整は将来の河川行政に参考にしますという結論をもって、それ以上の議論にはつなげませんでした。
終了後のH河川調査官の記者会見←長文です
―荒瀬ダムは法23条、24条の許可期限が3月末で切れるという状況がある中で、有識者の会の動きはどう関係するのか。
H:24日の熊本県の申請を受けてすることになったが、スピーディにやっていきたい。3月の31日で第23条、24条が失効すると、無許可の工作物になるので、それについては河川法に基づいて適切に対応していきたい。
―手続き上、期限前に手続きを終えることは無理だということか。
H:通常の手続きでも何カ月もかかる。今回は関係河川使用者の同意がないという前例がない申請になっている。なので、3月31日に手続きを終えるのは相当難しい。
―4月1日以降の荒瀬ダムの存在に対して、速やかに撤去を求めるというようなことはあるか。
H:前例がないので、法の何条に基づいてするかということも慎重に考えないといけない。一方で3月31日で法23条、24条は失効するが、並行して熊本県からは同条の申請があっているものに対して審査中という立場もある。総合的に考えて、河川法に基づいて判断していく。
―4月1日以降は無許可の構造物になることを考えると、24条だけを審査するということはないのか。
H:セットで申請されたものを、24条だけを取り出して別に処分するということはできない。
ー県が24条だけを申請してきた場合は、今セットで申請されているものとは別に、24条だけを先行して審査するということでいいのか。
H:熊本県の考えもあり、まだ仮定の話。ただ、この時期になって、別途申請したことによって、4月1日までの許可するということを補償するものではない。
―「損失をうけないことが明らかでないために、法38条により通知するというが、今の段階で、明らかに想定される損失とはどのようなものか。
H:「損失をうけないことが明らかでない」とは、どんな損失があるか分かってないということ。通知を受けた関係河川使用者がそれぞr応じて損失について意見を申し出てもらえればと思う。
―通知がないと関係河川使用者は意見が出せないのか。
H:河川法に基づくと、38条の通知をしたものが、39条の意見の申し出をすることができるとなっている。
―この会議の位置づけは?
H:初めての手続きで思いが至らないところがあるかもしれないので、その助言も踏まえて、判断していくために設けたもの。
―今日の会議でどういう風に変わったかというと、何も変わっていない。
H:第1回目ですから・・・。
―もう法律はきっちり全部決まっているわけですよね。では、わざわざ意見を聞いても、それが反映さっるわけではなく、法律に基づいてやりますという話では。
H:39条の意見が出されると、損失ってなんだと、損失の度合いとか考慮が必要になる。法律には単に無味乾燥に損失としかないてないので。今後どのような意見の申出があるかによって、有識者の助言が大切になると思う。
―土砂供給による損失を委員が言われたが、そこは考慮されないのか。
H:どんなものを損失と言われるかによって考えないといけない。関係河川使用者にもその損失はあるのではないか。
―それ以外には出さないのか。海面漁協にも。損失があるかどうか分からない状況で通知を出すわけですから。
H:損失が分からない状況にあるのはマル2番(政令21条:河川に関し権利を有する者は漁業権者及び入漁権者とする)。その方たちが39条で意見を書いていただいて、それを委員に助言を頂きながら、損失について比較考慮していく。
―今日の会議では、38条の通知を出す人をもっと増やしてはどうかという風にも聞こえた。その助言を受け止めてはどうですか?
H:何度も言ったが、現在の河川法に基づいて手続ことになると思う。
―有識者の人たちに河川管理者の対応の説明があった。基本的に国交省のその考えを認めて頂いたということか。
H:ご理解いただいたと思う。
―球磨川漁協の損失という意味合いが出た後での委員の助言が、国の審査の判断に重く関わってくるというのでいいか。
H:損失に関する判断というのもあるが、もう一つ、行政手続きに関する審査、公益性とか確実性とかいうものを企業局に聞いていくことになる。
―関係河川使用者の意見で、具体的な損失に関する根拠が出されると思うが、金額と言うものを具体的に求めるのか。
H:定量化、数字化することまでは求めていない。その申し出を受けた時は比較考慮しないといけないので、改めて質問をさせていただく。
―失効してもすぐ撤去できるものではないし、違法であろうが、違法でなかろうか、ダムは残る。その間の損失については、前提とされていないという「話で阿多っと思うが、どう対応するのか?
H:いつまでに撤去されるのかというのは、現行の水利使用規則では明確になっていない。24日に企業局が申請してきたのは、24年の3月31日まで発電させて下さいというもので、現行の水利使用規則とは許可の期間が違う。結局ダムが存続して「いる期間はそういうところで伸びる。そんなことも比較検討して、確実性とか公益性とかを含めて総合的に審査・判断して、許可・不許可の処分をすることになる。
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