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2010年2月26日 (金)

過去の清算なき、水利権の申請

taurus荒瀬ダムの一番の弊害

荒瀬ダム建設前は、旧坂本村は大水時の出水の状況は違うにしても、各家庭は出水時を考えて家の建て方にも工夫がありました。浸水常襲地の家はどこも浸水を前提にして、2階建てにしたり、床や柱には水に強い建材を選び、水位の上昇に合わせて対処できるように、工夫を凝らすことで先祖代々、水の傍に暮らしてきました。水が来ることを前提に家を建て、水害を理由に引っ越す人もなく、一番浸水頻度が高かった坂本地区も家は増える一方で、村一番の繁華街となり、旅館も集まっていました。

他の家が浸水しそうになると、その心配がない家の人たちは、いつでも家財道具などの移動の手伝いなどができるようにスタンバイしていました。水とのつながりは人々のつながりでもあったのです。

最も大きな荒瀬ダムの罪は、助け合って暮らしていた地域の人々の絆をも断ち切ってきたことです。ダム建設後の水害被害について、当初は企業局は自然災害であるとして補償金を出そうとしませんでしたが、徐々にダムの影響を認めざるを得なくなり、少しづつ対応するようになります。しかし、補償を待てずに、自己資金で新築、嵩上げ、移転をしたりする人がいる一方、立て直す資金もなく村を離れる人、新築したばかりの家を失い、その借金だけを返すだけの人生に終わる人がいます。

また、昭和57年の水害を機に認められた背水線補償により、嵩上げや移転・新築に対し補償が出るようになり、全額支給で対策が講じられたところもあります。対策事業も終わったところ、まだ終わらないところがあります。先に自費で嵩上げしたところでは、その費用の補助が出されていなかったり、対応に大変なばらつきがありました。

taurus未補償の人たちに対して協議の場をつくるべき

説明会がある度に、企業局にこうした補償の在り方について、企業局に強い意見を言うHさんも、補償の問題で置き去りにされた地区のお一人です。Hさんの地区ももう高齢者ばかりで、若いHさんはいつも地区を代表して意見を言います。しかし、そういうHさんに対して、「ここはそういう場所ではない。個別の案件は別途話し合いをしてくれ」と会場から声が飛ぶことがあります。当然です。しかし、企業局はそういう当然の場所を設けてこなかったら、Hさんはこういう説明会を利用して、企業局に質問するしかないのです。

ダムが撤去される解決できる多くの問題があります。しかし、一方で撤去=すべての問題解決ではなく、撤去されても、企業局にこういう問題を解決する責任がなくなるわけではありません。

taurus前例のない同意なしの水利権申請を認めるべきではない

ダムサイトの振動被害に対しても同様です。ダム建設以来ダムサイトの集落では屋根瓦が落ちる、壁のモルタルが落ちる、壁にひびが入る。何より家中の建具の振動音で眠れない日々が続くなどの被害がでましたが、いまだに車が通る際の風圧で起こるとして、放流被害を認めないどころか、補償金一つでません。みんな自己資金で振動に強い家づくりを進めてきました。そういうことが、企業局への不信感となって、撤去前提とは言え、2年間の水利権申請を認める気にはなれないのです。

更に海面漁協に対しても、海までは影響がないとして、今回も同意を得る努力すらしていません。

こういった補償のあり方を含めた過去の被害の検証や清算をきちんと行わずに、新たに水利権を申請しようとすることに大きな問題があります。

現在、不法取水により水利権を失った信濃川発電所についは、事業者のJR東日本は過去の清算を含め、漁業者や地元住民を交え、協議を重ねています。地元の同意なくして水利権が申請された事例は過去前例がなく、金子前大臣もこのJR東日本の水利権申請について、2009年3月13日の記者会見において、「再申請を頂く必要がある訳ですけれども、水利権者との調整が前提になっています」として、JR東日本に対し、地元の理解を得るのが先決であることを明確にしています。前原国交大臣も、荒瀬ダムの水利権申請を悪しき事例としないよう、賢明に対処してほしいものです。

今日の天気:cloudrain

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