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2010年2月 1日 (月)

水利権申請には八代漁協の同意も必要

pisces水利権の申請には、球磨川漁協以外への補償も必要になる

熊本県が今回の許可期限の終了に伴い、「期間延長だけの更新なので、単純更新である」と主張しようとしたのは、失効して新たな申請となれば、その手続きにあたっては、球磨川漁協だけの同意ではなく、海面漁協やダムが建設されたことによって起こるようになった水害被害者への補償も視野に入れざるを得ないからだと思われます。

そのことを理解していたからこそ、事業計画は大きく撤去から存続へと変更するにも関わらず、また、現在の水利使用規則が失効を前提になっているにも関わらず、「見解の違い」として更新手続きをしようとしたのです。

pisces海面漁協への補償が必要な理由

河川法には、水利権の申請にあたっては、関係河川使用者の同意書を添付しなければならないと書いてあります。しかし、その「関係河川使用者」とは、「法第23条から法29条までの規定による許可を受けたもの並びに漁業権者及び入漁権者である」とあり、また、政令第21条には、「河川に関し権利を有する者」として、「漁業権及び入漁権者(遊漁券などにより漁を行うもの)とする」とあり、更には水利権の解説本には、「漁業者及び入漁権者は内水面の漁業に限定され」とあるが、どこにも「内水面漁協」とは書いてありません。

内水面とはいうまでもなく、川のことを指します。では、川とはどの範囲をいうのかと言えば、一級河川球磨川においては、河口の左岸水島町の西端と右岸の鼠蔵町の西端を結んだ線で、要するに河口の先端をいいます。Photo_3

しかし、この川の河口付近の約2キロの区間には、海の漁協である八代漁協の漁業権が設定されているのです。このことは、川辺川ダム問題において住民討論集会でも、「川とはどこまでを指すのか」という質問が国交省に対して出され、当時の九地整担当者は、八代漁協が漁業権をもつ河口の部分を川だと認めざるを得なかったことがあります。また、実際この川の区間では、八代漁協が漁業を営んでいます。

pisces荒瀬ダム建設時は、八代漁協の同意を取らなかった。

河口の川の部分が無視されていたこともあるのかも知れませんが、何といってもそのころはダム建設が川や海に影響があるとは、(企業局と言えども)認識していなかったということがあると思います。同時のことを知っている元組合長にお話を聞いたことがありますが、ダム建設を作るという説明はあったようですが、「ダムが出来ても、海には影響がありませんから」というので、「それなら、よかたい」で終わったそうです。

pisces同意の対象にはならなくても、補償の対象になる。

川の区間に八代漁協の漁業権が設定されているのですから、もちろん同意の対象になります。また、仮に企業局が「海面漁協は同意の対象にならない」と突っぱねても、補償の対象になることは、河川法で定められています。

法第41条には、「(流水の使用許可により)損失を受けるものがある時は、当該水利使用に関する許可を受けた者がその損失を補償しなければならない」とあり、この場合の補償の対象は、内水面の漁業権者等に限定されていません。50年前と違って、ダムが海に与える影響を現在否定することはできません。実際、最近のダム建設等では、作る前ではなく、事前に海の漁協に対しても、補償交渉を行い同意を得るのが当然になっています。

最近の事例としては、北海道の天塩川に建設予定のサンルダムは河口から200kmぐらい離れているダムですが、河口の北るもい漁協の同意がなかなか得られず計画が進みませんでした。しかし、去年の6月ごろ補償交渉に応じ、同意成立となっています。また、黒部川の出平ダムの排砂により河口のコンブ漁に被害が出たとして起こされた裁判では、漁業者が勝訴しています。洪水時に一気に放出される濁水で、球磨川河口のアサリガ一気に流されたり、堆積する流出土砂でアサリが窒息するという被害との関係もまた否定できないのです。Photo_2

上は、上空からみた、球磨川からの濁水が八代海に広がる様子です。こういう写真を見るとき、川の影響は海まで及ばないという説明はどれほどの説得力があるのか疑問です。

pisces水利権の申請による補償負担増を考えるより撤去を決断すべき

荒瀬ダムの撤去を前提としても、短期間の水利権更新を行うのであれば、それは新たな水利権の申請であることは間違いありません。おそらく、熊本県はダムの維持管理費の負担以上に、球磨川漁協や八代漁協を含む海面漁協、水害被害者などへの補償を考えた場合、撤去する方が安いと考えたに違いありません。であれば、2年間存続するための水利権申請でも条件は変わりません。

熊本県は存続のための水利権申請より、申請を断念した方が、はるかに負担は少なく思えるのです。また、それにより漁場再生による経済効果は、どれほど大きなものになるか・・・企業局の財布ではなく、県民の財布で判断をしてほしいものです。

今日の天気:rain

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