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2010年1月

2010年1月30日 (土)

「荒瀬ダム撤去へ」大きく動く!

cancer突然の「荒瀬ダム撤去へ」記事に地元沸く

昨日の午後2時30分過ぎに、「荒瀬ダム撤去へ」のニュースが飛び込んできました。「3月31日に藤本発電所の水利権は失効し、ゲートは全開することになる」という前原国交大臣の発言があり、県は対応に苦慮していることは明白でしたが、こんなに早く方向転換が考えられていたとは思いもかけませんでした。その背景がどうであれ、地元が喚起したのは間違いありません。夕方のテレビでは、地元の代表の方のあふれんばかりの笑顔を見ることができました。Img2023

新聞にもあるように、「県が追い詰められた結果としても、ダム撤去は地元の民意にこたえるものだ」なのです。知事不在中(シンガポール出張)の出来事とは言え、知事の与り知らぬところで、撤去が検証されていたわけではないと思いますので、大きな転換です。知事の正式発表が待たれるところです。

cancer気になる今後の「2年間の更新」方針

ただ、今後の具体的対応については、「2年間の期限付きで水利権を更新し、その間にダムの撤去費用や撤去後の流域の安全を確保する技術にめどをつけ、2年後に撤去したい」(読売新聞1月30日)、「撤去を条件に2年間のダム存続について漁協などの同意を得る考えだ」(毎日新聞、同日)とあることから、県はすぐ撤去に入る考えはない様子です。

これでは、7年前の更新と同じで、それが2年に変わっただけです。2年後の撤去前提が完全な撤去の約束にならないことは、今回蒲島知事が簡単に撤去の約束を、撤回し存続に方向転換したことからも、明らかなのです。また、地元の水害体験者や振動被害者はこれまで何度も企業局に掛け合い、やっと理解してもらえたと安堵したら、担当者が代わって、「前任者からきいていません」「そういう解釈は今はしていません」など、簡単に約束を反故にされてきた経緯があります。

蒲島知事が、また2年後の撤去を前提に、同意が簡単に取れると思っておられるのでしたら、それはそれこそ「甘い見通しに」過ぎません。

cancerもし、2年間の更新をするのであれば、それは単なる期間延長ではなく、新たな水利権申請である。

3月31日に、水利権が失効するのは間違いありません。もし、撤去の準備のためとはいえ、2年間藤本発電所が取水の許可を得たいのであれば、やはり漁協の同意を得て、新たに申請しなければなりません。漁協が同意しないとなれば、国交は許可しないか、もしくは、許可の是非について、許可基準に従って、審査を行うことになるのです。つまり撤去前提であれ、存続前提であれ、許可申請をした後の手続きは一緒です。つまり、補償に関する協議を終えて、補償が済むまで、取水はできないのです。

であれば、その間発電できないのは、どちらも一緒です。もし、今回、新たな同意取得やゲート全開を長期間行うことにより、その間の生じる維持管理費や補償のために撤去へと方向転換したのであれば、2年間水利権を取得するため申請を行い、許可が出るまでは、同じだけの負担を強いられることになると考えるべきです。

また、企業局が「2年間の更新」と、「更新」という言葉を使っている限り、撤去を前提にという言葉は信用できません。「3月31日で水利権は失効する」とをきちんと認めた上で、更に「撤去のために新たな2年間の水利権の申請をしたい」という言葉でなくては、説得力はもちません。

しかし、それも漁協の同意をえることは困難に思えます。蒲島知事は、すぐ水利権の申請を断念し、使用廃止手続きを行い、撤去事業に踏み切ってこそ、今回の撤去への方向転換は評価されるものとなることでしょう。

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2010年1月28日 (木)

荒瀬ダムの発電は利益をもたらしているか?

moneybag「荒瀬ダムの純利益は計算できない」と説明されてきたけれど

荒瀬ダムの発電による利益について、市民団体はこれまで何度も「いくらあるのか」と訪ねてきました。しかし、その都度、「売電は8発電所全部で行うので、個別の発電所毎に計算できない」として、荒瀬ダムがもたらす純利益について明らかにしようとしませんでした。

ところがここに来て、「発電が停止すれば、九州電力への売電で得ている月5千万円~6千万円の収入を失うことになる」(熊日1月18日) 「失効した場合、年間7億の電気事業収入が損失となる」(朝日1月20日)「4月以降、発電できなければ毎月数千万円の売電収入が得られなくなる」(読売1月21日)と、藤本発電所の収益の大きさを強調しています。今まで個別の発電所毎の収入や利益は計算できないという説明が事実なら、この発言は根拠なく発言していることになります。

moneybag各発電所毎の収益が計算できないわけはない。

しかし、企業局や蒲島知事が、全く根拠なく話しているわけではありません。隠していただけです。何故なら、各発電所毎の発電電力量及び供給電力量は分かっており、kWhあたりの電力単価も分かっているからです。その中で藤本発電所の実績供給電力量が全体に占める割合を計算して、それを全体の純利益から割り出せば簡単に分かることです。それを何故か計算できないと伏せてきたのです。

moneybag荒瀬ダムの発電量は全体の発電量の26.2%

発電電力量と供給電力量(企業局平成20年度決算書)の資料です。Img2019

これによると、平成20年度の藤本発電所の発電による発電量は、全体の26.2%となります。もちろん、年によって違います。多い時は30%ぐらいありました。しかし、撤去が決定した後の冬季のゲート全開による発電供給量減少の影響のせいでしょうか、ここ数年は30%を割り込んでいます。なので、もし、存続をすれば、30%まで回復するということはあるかもしれません。

moneybag多い荒瀬ダムの維持管理費(人件費を除く)

以下は、同じく平成20年度の決算書にみる損益決算書の中の、営業費用に関する報告部分です。Img22018

荒瀬ダムの電力供給量は平成20年度で全体の約26%ですが、維持管理費(人件費を除く)は全体の約35%と他の発電所に比べ、経費が大きくかかっています。これも、撤去のための準備費用がもしかしたら影響しているのかもしれません。平成19年度は、全体の45%を占めていました。かなり効率が悪い発電所といえます。今一番優等生の発電所は、緑川発電所で、全体の収益の約46%を稼いで、経費が占める割合は約19%なので、優等生です。

moneybag荒瀬ダムの純利益約3000万円は数字上の話

平成20年度の全発電事業による収益は20億2479万円で、純利益は1億1534万円です。藤本発電所が占める割合は、実際の供給量26%からすると、藤本発電所がもたらす収益は5億2600万になり、純利益は約3000万円はあると考えてもいいかもしれません。そう考えれば、知事がいうように「年間7億円の収入」「毎月数千万の収入」という説明は正しいようにみえます。(阿蘇の風力発電所も利益を上げているとすれば、藤本発電所が占める割合はまだ少なくなりますが、風力発電は赤字と分かっていますので、無視します)。

しかし、この年間5億にも上る収入が利益をもたらしているか、3000万円は本当に藤本発電所により生み出されているか、というと、別の検討も必要なように思います。

全体の収益は20億2479万円ですから、そのうち藤本発電所がその26%の5億2644万円を稼いでいるという計算は正しいと思います。しかし、人件費を除く維持管理費は、5億963万円もあるのです。つまり、現時点では、稼いでいる金額のほぼ同じ金額が維持管理費がかかっていることになるのです。人件費は全くここからは捻出できていないということです。

計算上は約3000万円も稼いでいることになるのですが、実際は維持管理費でみんな消えて、人件費は他の発電所が稼いでいる収入をあてていることになります。

moneybagゲート全開になれば、維持管理費の負担は膨大になる

蒲島知事は、ゲート全開になれば、その維持管理費が大きな損失になると言っていますが、まさにその通りです。現在でも維持管理費を稼ぐのがやっとで、収益は一つももたらさず、人件費は他の発電所に頼っているところに、維持管理費まで他の発電所がら負担しなくてはなりません。でどころは、全体の純利益(1億1534万円)しかありません。水利権の再申請となれば、その負担に、漁業者や水害被害者への補償金の問題も出てきます。海と川の関係を否定できない現在において、海面漁協への補償の必要性は、否定できません。

強引に申請をすれば、許可までの審査、補償の終了まではは5カ月以上もかかり、その間のダムの維持管理費は大きくのしかかることになり、県財政どころか、企業局の存続如何の問題に発生することは間違いありません。

蒲島知事は、今そういう岐路に立たされていることを肝に銘じて、ダム撤去の英断をすべきなのです。

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2010年1月27日 (水)

社会資本整備総合交付金をダム撤去費用に!

scorpius「内容が分からないので、撤去には使えないかもしれない」??

1月20日の記者会見において、蒲島知事は、前原大臣が提案した社会資本整備総合交付金の利用について、「内容が分からないので、撤去には使えないかもしれない」し、道路にしか使えないかもしれません」「使用のための用途も分からない状況にあります」と答えています。

前原国交相が荒瀬ダム撤去にこの交付金を使用したらどうかと提案したのは、1月14日です。前原さんは、この交付金について説明もしないで、使ったらどうかと提案したのでしょうか。また、荒瀬ダムには使えないかもしれないという前提で、利用をすすめたのでしょうか。

前原大臣が知事に提案したということは、「撤去の関連事業に使用したいと具体的計画をたてて申請すれば、許可しますよ」ということをほのめかしていたと捉えるのが普通です。撤去事業への利用を進めて、利用できないという結論が出たときであれば、「だまし討ちにあった」と怒っていいと思います。

こういう提案があれば、「どういう事業に使えるのか」と早速確認するのが当然の行為です。「使途も不明」という発言がでること自体、撤去を真剣に考えてない証です。

scorpius「社会資本整備総合交付金」について

実際、1月6日の時点で、この交付金についてはネット上に公開されていますした。http://kawabegawa.jp/tr/arase/syakaiseibi-kouhukinn.pdf

前原大臣との会談のあと、記者会見まで、蒲島知事は、前原大臣が間接的に撤去費用を補助する方法を提案したのに対し、この交付金について何も調べなかったのです。

蒲島知事は「使途も明確でない」とコメントしていますが、これによると、対象事業も「国交省が所管する住宅・社会資本整備に関する事業全般」とあり、政策分野には「水の安全・安心基盤整備」も含まれています。また、前原大臣は、「かさ上げとか堤防整備に利用したら」と具体的に提案しているのです。交付率は「現行の事業で適用される国費率を基本」とありますが、「対応する原稿事業がない場合は2分の1」とです。しかも、3~5年継続して使用できます。Photo_2 蒲島知事の記者会見は聞けば聞くほど、「荒瀬ダムの撤去など考える気は毛頭ない」ということを県民にさらけ出しているように思えます。また、真剣に考えてないので、その発言は矛盾だらけになっているのではないでしょうか。

更には、「使いたい事業はたくさんある」と言われていますが、「撤去をしたい」という気持ちで、何度も要望に上京されたのあれば、荒瀬ダム問題の解決は県政の優先課題であったのではないでしょうか?他の使いたい事業もみんなリストアップしても、その中に荒瀬ダムが入る可能性はないのでしょうか。

荒瀬ダムの撤去費用は約71億円です。そのうち本体の撤去に関するものは30億円で、残り40億円は土砂除去費用や護岸の補修、環境対策費です。最も大きいのは護岸の補修費の14億円です。どれも対象事業の可能性はあります。それを検証もしようとしない姿勢は全く解せません。

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2010年1月26日 (火)

蒲島知事の記者会見は矛盾だらけ(2)

cancer「更新」と「新規の水利権申請」がごっちゃになっている記者会見

記者会見の最初から最後まで、蒲島知事の中では、県が主張する「水利権の更新」と、国にが「水利権は失効するので、新たに水利権の申請をする場合の申請」がごっちゃになったままのようです。マスコミにも矛盾を突かれています。

―同意を得なければ、申請という手続きにはいれないと思うが

知事:同意を得られるように努力しますが・・・

―同意をえるということは、先ほど国が言った失効は受け入れなれないということに矛盾していませんか?

知事:うん??えっと・・・(と、違う話題に入っていく。質問の意図が分からないようです。)

つまり、今まで単なる更新には漁協の同意はいらないといっていた知事は、これまで漁協の申し立てに「漁協の同意は必要ないので、同意がなくても申請する」といってきたのですが、「同意を得る努力をして申請する」ということは、国の失効の判断を認めたことなので、マスコミはそこを質問したわけです。

こういう、ごちゃまぜになった発言が随所に見られます。

少し、水利権の見解の違いを整理します。今許可されている(3月31日に失効する)水利権を「現水利権」、2月までに申請すればまた許可されると思っている水利権を「水利権A]、国が新たに申請なさいということで許可の可能性がある水利権を「水利権B」とします。このAとBは全く違うものです。国はBは許可できませんと言っています。しかし、現水利権の更新はできないのですが、県は許可期限がきれる前に手続きをすれば、水利権Aがもらえると思っていました。水利権Bは新しい手続きですから、架空水利権Bの更新期間もなにも関係ないのです。早く申請すれば、それだけ早くもらえるかもしれません。しかし、「水利権Aを取得するためには、漁協の同意が必要ですよ。」「漁協の同意がない水利権の申請が前例がありませんよ」と国は言っているのです。

失効を認めたくなければ、水利権Aが取得できるという主張を押し通し、漁協の同意を得ずに2月末日まで申請をしてみたらいいのです。国は失効しますといっているのですから、更新は認められないでしょう。それからまた水利権Bの許可を得るために、漁協の同意を得て、水利権の申請手続きをしなければならなくなり、よけい時間がかかります。漁協の同意を得て、申請を行うことは、水利権Bの許可を申請するということになり、一番の早道です。すなはち、失効を認めることに他ありません。逆にいうと、漁協の同意がない水利権の申請を国交が受け付けた場合は、県の主張を認めたことになります。しかし、その後は河川法の38錠から43条にしたがって、手続きが進んでいくことになるので、同意が得ていない分、審議に長くかかるのは間違いありません。

マスコミにも、今回の国の見解があったことについて、「新政権に変わったからといって、河川法の解釈が変わったわけではない。水利権の解釈を含め、あらゆる場合を検討したと思うが、検討が不十分でかなっかた」と問われていたが、まさに不十分であったか、解釈が間違っていると知っていて、それを押し通そうとしたかのどちらかしかありません。

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2010年1月25日 (月)

蒲島知事の記者会見は、矛盾だらけ(1)

diamond1月20日の蒲島知事の記者会見に見る思い違いはどこからくるのか?

1月20日の定例記者会見は、35分ぐらいの時間の最初の3分ぐらいは水俣病問題に関するものでしたが、後の25分は荒瀬ダム問題に質問が集中しました。しかし、蒲島知事の発言は矛盾だらけのもので、それが水利権などに対する理解不足からくるものなのか、または、もともと前原大臣などや、住民を含め他人の話を勝手に解釈する傾向にあるのかは、定かではありませんが、きちんと反論しておく必要があります。今回の記者会見の内容について、数回に分けて反論を述べたいと思います。Photo

http://www.pref.kumamoto.jp/site/kibs/2010-ch5-0120.html

diamond失効する水利権の対処は、県営住宅の契約と同じか?

知事は水利権の許可期限が切れたら、即失効になることにを県営住宅の契約に例えて以下のように説明しています。

―3月31日までに、審査が終わらなければ自動的に失効するというのは、財産権を取り上げるようなもの。例えば、県営住宅で、お金を払えないときは出て行ってもらえますというような契約があった場合、また、「何かあった時は、ご相談ください」と言われえ、一生懸命対応しているときに、「3月31日になりましたから、出て行ってください」と言われたようなもの。担当者がそうしたら、私なら、「ちょっと待て」と言う、そういう状況に似ている(発言の要約です)-

県営住宅の例えだけ聞いたら、蒲島知事の言い分は正しいように思います。しかし、それば、平成15年前に潮谷元知事が言ったときは正しいということです。潮谷前知事は撤去をしたい(県営住宅を出ていきたい)、しかし、今お金がないから、7年間待ってくれといって、前回の水利権の許可期限が切れる前に、更新のお願いをしたのです。7年間できちんとお金をため、撤去計画も提出します(県営住宅例でいうと、7年間のうちに次の引っ越し先を見つけ引き払い、たまった家賃の返済計画も立てます)という約束のもとに、水利権更新を許可してもらったのです。前回が例外的に、延長を認めてもらったのです。

蒲島知事の理屈でいえば、3月31日までに「まだ、県営住宅に住ませてください」という手続きをすれば、さらに賃借契約が延長され、また、その次の契約期間の許可期限が切れる前に、延長の許可をとれば、賃借契約が結ばれることになります。県営住宅に住んでいる方は大喜びのことでしょう。

diamond水利権は財産権であっても公的な権利である。

確かに、水利権は物的財産権としての性格を有しています。発電のために、流水を排他的に利用するという意味においては、私権的な財産権です。しかし、権利の設定や、許可の取り消しを行うのは河川管理者である国交大臣です。今回のような河川法や水利権の許認可に係るものは、いうまでもなく公権的な性格を有していることを表しています。

県営住宅で、蒲島知事の温情によりずっと住み続けられたとしても、それはそこに住む住民の財産ではありません。蒲島知事の例えは、そこの部分だけみれば、正しいように思えますが、前後の説明とはとても矛盾しているし、また通用する理屈でもありません。

diamond「老朽化したダム」に荒瀬ダムが入らないのは、大臣の矛盾か?

蒲島知事は、もう一つ驚いたことに、「老朽化したダムに、荒瀬ダムが入らないと」前原大臣が発言をしたことを取り上げています。しかし、これまでダムの老朽化について、国交省の見解は、「コンクリートダムは老朽化しない」という説明であったことを県は知っているはずです。ましてや、水利権の許可期間については、100年ルールというものがあります。そういうルールをダムを管理する企業局が知らないわけはありません。潮谷前知事は平成15年に撤去する時にも確か老朽化という言葉を使った記憶があります。しかし、潮谷元知事が言ったのは、ゲートや発電機の取り換えにお金がかかるという意味で、老朽化という言葉を使われたことは当時の発言録などからも分かることだと思います。

また、自分が費用を出して撤去をするのに、老朽化という言葉を使うのと、人に費用をださせるときに老朽化をいうのであれば、当然老朽化の基準は相手が決める基準です。蒲島知事の「老朽化」という発言は、都合の良い時に年寄りを主張する高齢者が、都合によって「まだまだ若い」と権利を主張しているのと同じように聞こえます。なぜなら、それほど老朽化したダムを、「まだまだ使えるので壊すのはもったいない」と何がなんでも存続させようとしているのは、知事なのです。

diamond河川局の通達に従えば、失効しないのか?

蒲島知事は、国交省から言われてきたこととして、「6が月前から1か月前までの間に申請しなさいとなっている。これは河川局長の通達になっている。通達に沿って、2月末までに申請しなければならない」旨の発言をしています。しかし、これも間違いです。河川局長の通達は、あくまで普通の更新により水利権更新許可がされた場合で、この河川局長の通達の内容が更新条項として水利使用規則に書かれています。しかし、これまで説明してきたように藤本発電所の水利使用規則には、「許可期限が切れる前に更新しなさい」旨の記述はなく、あるのは、「今の許可期限が切れても許可は予定しません」という意味の「許可期限が到来したとき」という失効条項が書いてあるのです。

他の発電所に約束された条件、藤本発電所には通用しないのです。平成15年の水利権更新の際に、使用権者(企業局)も許可権者(国交大臣)も、今年3月には撤去を前提として許可されたものだからです。

ですから、水利権申請は2月一杯にしようが、3月に入ってから申請をしようが違反にはなりません。新たな水利権の許可申請を行うのに、いつまでにしなければならないという規定はありませんので。

蒲島知事は、水利権が切れたら、ゲートを開けてダムをそのまま残しておくのは法律違反になると、説明をされてきましたが、今でもそう主張されるのであれば、即刻撤去してほしいものです。もっとも、国交省は「法律の範囲内」という説明をしてきたように、すぐ撤去命令は出さないことでしょう。少なくとも「最低5カ月」は。

国に支援をお願いするのであれば、老朽化以外の理由があるはずです。荒瀬ダムは県営とはいえ、当時の国策によって建設し、そのことによってどれだけ地域の経済や流域の治水に悪影響を与えてきたか、きちんと主張すれば、「コンクリートより人」を主張し、「ダムによらない治水対策」を協議している球磨川こそが、新政権の河川行政の転機になることは間違いないのですから。

つづく・・・・。

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2010年1月24日 (日)

“失効ではない”と企業局は説明するけれど

apple「許可期限の満了」と「失効」

最近の新聞から、この失効に関する知事、及び企業局の発言を拾ってみると、

◎知事:許可期限の満了であり、水利権自体が失効するのではなく、期限内に申請すれば消滅はしないと解釈していた(1月20日 RKK放送)

◎県:水利権は半永久的に取水することを前提に許可されており、違法行為などがなければ権利を失うことはない(1月21日 読売新聞)

・・とあります。しかし、1月23日のブログで紹介したように、まず藤本発電所の水利使用規則は、撤去を前提として、今年の3月末で水利権を放棄する意思を示して、それが認められて国が許可したものであることを示しています。

確かに、企業局のいうように基本的に水利権は目的である発電事業が継続して、更新をしつづける限り失効することはありません。しかし、車の運転免許が更新すれば、運転する能力がある限り運転できますが、免許を取り上げられる場合があるのと同じうように、水利権も消滅する場合があり、それが水利使用規則に失効条項として掲げられるのです。

apple水利権が消滅する場合には、どのような場合があるか

企業局は水利権が消滅について、「違法行為がなければ消滅することはない」と主張していますが、水利権はそれ以外の場合にも消滅します。「水利権実務一問一答」には、「水利権が消滅する場合」として、11の場合が掲載されています。その一つは、企業局が言うように、「瑕疵ある流水占用の許可として取り消された場合」(法第75条第1項第3号)です。JR東日本の違法取水による許可取り消しがこの例にあたります。しかし、消滅するのは瑕疵によるものだけではありません。

消滅する場合に、「解除条件の成就」というものがあります。これは、「水利使用規則で定められた失効規定に該当することとなった場合(標準水利使用規則第16条)。すなはち、藤本発電所の水利規則の(失効)の条文には、まさしく、この失効規定に該当する「この水利使用が廃止されたとき」「許可期限が到来したとき」のいう条項がはっきりと記載されているのです。Photo_2

apple平成15年の「7年間の許可」は撤去を前提とした特別なものである

前回の水利権更新が、発電事業の場合に認められる30年の許可更新であったのであれば、「単純更新である」という企業局の言い訳も通用するかもしれません。しかし、平成14年河川局は、この「おおむね30年原則」に当てはまらない場合を類型化して、特別に水利権の短縮を認めています。

その一つが「再開発、水没(除却を含む)等による水利使用内容の変更及びその時期が確定しているもの」で、かつ「都道府県知事の意見によるもので、ここに掲げる類型に該当するもの」です。この「おおむね30年の原則」に関する取り決めがあったからこそ、平成15年に、熊本県知事による「撤去をしたいから、期間を7年にしてほしい」という主張が認められたものと言えます。

何より、今回の更新は「事業計画」の大きな変更で、単純更新と主張するのは、あまりにも無理がある

前回の水利権更新における申請書の事業計画概要です。Photo

申請書には何度も「7年後は撤去する」という言葉があります。存続となれば、この事業計画が根底から変わるのですから、許可期間が変わるだけの単純更新と主張するのは、あまりにも無理があります。

漁協など地元の主張を無視してでも、存続したいという意向がありありです。

今後も、企業局及び蒲島知事はなんとか荒瀬ダムを存続させようと、法の解釈を捻じ曲げて、水利権の申請を行おうとすることが予想されます。しかし、今前原大臣の見解も国交省の見解も、すべてのマスコミ報道を見る限り「荒瀬ダムの水利権は3月31日で失効する。4月1日からはゲート全開することになる」と一致しています。これまで、市民団体が「今年3月で水利権は失効する」と主張してきたことに対し、県は「見解の違いだ。後は国が判断すること」と居直ってきました。そうであれば、国の見解は出されたわけですから、蒲島知事も潔く認めて、水利権の更新を断念してほしいものです。

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2010年1月23日 (土)

荒瀬ダムの水利権が3月31日で失効する理由

moon2荒瀬ダムの水利使用規則は、ダム撤去を前提に許可されたもの

「水利使用規則」というのは、水利権の許可の条件を記したもので、いわば免許証のようなものです。荒瀬ダム(藤本発電所)が平成15年に7年の水利権が許可された場合の水利使用規則を以下に置いてあります。

藤本発電所「水利使用規則             http://kawabegawa.jp/tr/arase/suiri-kisoku.pdf

この中には、(目的)や(取水口の位置)(許可期限)などの20の条文・条項があります。この中の、(許可期限)(ダムの撤去)(失効)という条文に注目してみると、標準水利使用規則や他の発電所の水利使用規則にはない、特別な記載があることに気がつきます。

moon2更新条項がない、許可期限

藤本発電所の水利使用規則の(許可期限)は以下のようになっています。Photo

普通の水利使用規則には「許可期限の更新の申請は、許可期限の6カ月前から1カ月前までの間にしなければならない」という、いわゆる更新条項が付されています。しかし、藤本発言所の水利使用規則がありません。更新することを前提としていないからです

moon2(ダム等の撤去)という条文がある、藤本発電所の水利使用規則Photo_2

この(ダム等の撤去)という条文は、標準水利使用規則や、他の発電所の規則にはみられないものです。「ダムの撤去を行おうとするときは、撤去計画を作成のうえ、河川法上必要な許可の申請をしなければならない」とあります。水利使用規則は許可の条件ですから、本来ならすでに、撤去計画を作成し、許可の申請が進んでなくてはなりません。

実際、国交省からは「早く用途廃止届け」を出すように通知があったようですが、企業局はしようとせず、国もそれを放置してきたという事実もあったようです。

moon2水利権の放棄が前提となっている、失効条項

藤本発電所の水利使用規則には、撤去を前提として申請し、撤去を前提として許可したことを示す特別な条項です。(失効)のなかにある「この水利使用が廃止されたとき」という条項は、「許可期間の更新の許可を予定しない場合」に掲げられる条項です(河川6法「河川法の施行について」別添第1)。また、同様に「許可期限が到来したとき」という条項は、「許可期間の更新の許可を予定しない場合」(同別添第1)に掲げられる条項です。   Photo_3      

つまり、藤本発電所は前回平成15年に水利権を更新する際に、「7年後は更新の許可は予定していません」として企業局は許可の申請を行い、国交省も、「分かりました。こちらも許可は予定しません」ということを明記してあるものなのです。

藤本発電所の水利使用規則はあくまで撤去を前提として許可されたものにかかわらず、企業局は普通の更新と同様に、「許可期間内に更新すれば、許可される」といいます。それが通用するのは、前回も普通の更新・・・つまり、事業計画の変更もなく、発電所の更新に与えられる30年という許可期限の更新申請をした場合です。申請の時に必ず届けなければならない事業計画概要そのものが、前回は「7年後に撤去する」ということになっているにも関わらずです。失効することは明らかであるにも関わらず、「期間だけの更新なので、漁協の同意は必要ない」と、存続させようとしたのです。悪質極まりないというのは、いいすぎでしょうか。

つづく・・・・

※当面は、藤本発電所の水利権について、書き込みをしていきたいと思います。

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2010年1月20日 (水)

JR東日本違法取水による水利権失効は荒瀬ダムと同じ事例

pisces「失効」と「許可期間の終了」の意味が分かっていない蒲島知事

今日のマスコミ報道によると、蒲島知事は前原大臣が荒瀬ダムの水利権が3月31日で失効すると発言したことに対し、「許可期間が終わったら水利権が失効するというのはおかしい」「受け入れていない」と述べています。失効することを知っていて、「おかしい」と言うのか、知らないで「おかしい」と言うのかは分かりませんが、ここまで来ると存続のためになりふり構わずの姿勢にしか見えません。もしかしたら、知事は本当に「失効」の意味と「単なる水利権の許可期間の終了」なのか、その違いを本当に知らないのかもしれません。しかし、傍には法律に詳しい企業局の担当者も入れ知恵しているはずです。知らないでは済まされません。

今の荒瀬ダムの水利権は、運転免許に例えれば、3年おきの免許更新の期間が切れるのではなく、免許証事態が取り上げられるーそういう状態であり、もう一度運転するためには、試験を受けなおさなければならないのです。そのための前提が、地元の同意なのです。運転免許を取り上げられるのは、違法行為をした場合やいろんな場合があります。荒瀬ダムの場合は、前回の免許更新する時に、「ダムは撤去しますが、今撤去できないために、7年間だけの免許をください」という申請をして、「それなら了解します」と特別にもらった免許だからです。だから、存続する場合に課せられる厳しい環境対策なども多めに見てもらっているのです。

違法をして免許を取り上げられた場合と失効の意味は全く同じです。また、失効後に改めて免許を取得する手続きも同じです。その例として、去年水利権を失効したJR東日本の信濃川発電所の水利権があります。

pisces信濃川発電所の水利権失効と現状

JR東日本は許可された取水量よりも過大な水量を10年近くにわたって取水していたことが発覚し、去年の2月に水利権が失効しました。現在、改めて水利権を取得するために、地元の同意を得るために協議を続けています。JR東日本は同意取得だけでなく、過去の清算も行うことをこ明言しています。

JR東日本の水利権の再申請について、記者会見で質問を受けた金子前国交大臣は、次のように答えています。「再申請を頂く必要がある訳ですけれども、水利権者との調整が前提になっていますので、「信濃川流域の住民を始めとした皆様のご理解を一刻も早く丁寧に取り付けられるようにして下さい。」とJR東日本には申し上げたところです。」すなはち、失効した場合は、「水利権者との調整が前提になっている」と明確に述べているのです。金子大臣は自民党政権下の大臣です。それでも、水利権が失効した場合の手続きは正しく認識しておられました。現政権下で、地元の同意を得ずして、水利権再申請したとしても、許可が下りる見込みは全くないと言っていいでしょう。

また、これまで蒲島知事は、「水利権が更新できない場合、放置しておくのは法律違反」「法律違反はできない」という見解を示してきました。蒲島知事の法律の知識では、4月1日に水利権が失効したら、すぐ撤去をしないと法律違反をすることになります。このことからも、蒲島知事は法律を都合よく理解して、自分の都合よく利用してしていることが分かります。

※宮中ダムの写真は、ゲート全開されている写真を含め下記から見ることができます。http://snipurl.com/u4sfh 

発電が停止したためにゲート全開している宮中ダム http://www.suiryoku.com/gallery/niigata/jrsinano/jrsinano.html

piscesアユやサケの遡上が増えた信濃川

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信濃川発電所の水利権失効を受け、信濃川発電所が取水している宮中ダムのゲートが全開されてから1年近くになります。自然の水量が、30数キロにわたって戻ってきた結果、自然の生き物にもう変化が起きています。ダム建設以来生きたサケの遡上が確認できなかったダムの上流で今年は160匹のサケの遡上が確認されています。アユも例年の5倍に増えたという報告もあります。

今回の水利権失効を機に、今、宮中ダムがある十日町では「信濃川のあるべき姿」を求めて、行政、関係機関、住民が参加して議論が始まっています。

熊本県においても、強引に水利権を更新することは断念し、住民とともに球磨川の再生を求めて議論することこそ、蒲島知事に求められているものだと思います。

今日の天気:suncloud 

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2010年1月19日 (火)

荒瀬ダムの水利権、3月31日で失効!

happy01 法に適った前原大臣の判断に地元沸く!

荒瀬ダムの水利権の許可期限が、今年の3月末日で切れることに対して、これまで熊本県企業局及び蒲島知事は、「水利権は更新さえすれば、また継続して荒瀬ダムの取水は可能である」「期間だけの更新なので、漁業者や地元の同意は必要ない」として、強引に水利権の更新を行うつもりで準備をしていました。存続にこだわり、こういう強引な進め方をする一方で、蒲島知事は前原大臣に対し、何度も「撤去のための財政支援」をお願いしてきました。

一方、住民は「7年前に与えられた水利権は、7年後に撤去する前提で与えられたもので、その期間が終了すれば、水利権は失効し、効力を失う」「その後もダムからの取水を行うのであれば、新たに水利権を申請しなければならない」と主張してきました。県は、見解の違いと突っぱね、何がなんでも存続ありきの態度を崩そうとはしませんでした。

蒲島知事は、今月1月14日再度、前原大臣の判断を求め上京します。また、同日、地元坂本町の住民も前原大臣との面談のために上京します。蒲島知事のダム存続の意向は固く、前原大臣に対するそれまでの要請行動も単なるパーフォーマンスにしか県民には見えず、また前原大臣は子弟関係にあり、非公開で行われる交渉にあまり期待はしていませんでした。

ところが、前原大臣の発言は、「荒瀬ダムの水利権は3月末日で失効する」「4月1日にはケゲート全開することになる」「再度、水利権を申請するのであれば、漁協の同意が必要で、許可されるには5カ月はかかる」というものでした。Img003s

報道だけみると、「期限までの許可 無理」とあり、改めて申請を行えば再び許可が与えられるような印象があります。しかし、また蒲島知事は「例え、漁協の同意が得られなくても、更新手続きをする」という強気の発言をしています。しかし、「地元の同意がないままの更新申請は前例がない」(国交省河川環境課)というように、地元球磨川漁協が絶対反対の立場をとっている現在においては、申請しても許可される見込みはありません。

angry「だまし討ち」してきたのは、蒲島知事の方である!

また、撤去費用支援に対しても、前原大臣はきっぱりと断っています。これも当然のことといえます。荒瀬ダムより老朽化したダムは多くある現在において、荒瀬ダムだけに撤去費用を出す名目は現時点では見いだせなかったようです。その代わり、前原大臣は社会資本整備総合交付金の活用を進めます。これに対して、蒲島知事は「だましうちにあった気分」とコメントしていますが、地元住民はみんなお門違いもはなはだしいと憤慨しています。撤去を心待ちにしていた住民に対し、荒瀬ダム存続をマニフェストにも謳うことなく当選し、就任後ダム存続を突然表明した知事にこそ、住民は「だまし討ちされた」という思いを持っていたからです。

また、前原大臣は、パーフォーマンストは言え、何度も撤去支援の要請行動を繰り返す知事に対して、撤去費用を捻出するアイディアとして、社会資本整備総合交付金(仮称)の利用を提案したのです。大臣自らのこの提案は、「知事が申請すれば、承認しますよ」ということを暗に言っているにほかありません。その提案を検討することなく、「漁協の同意が得られなくても更新する」という発言に、県民は改めて知事の本意がダム存続であったことを最認識したことでしょう。

happy01「見通しが甘かった」のではなく、当然の判断を誤った蒲島知事

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その翌日の新聞の見出しには「県見通し甘すぎた」の文字が躍っていました。財政支援がもらえるかもしれないという期待が甘すぎたということかもしれません。しかし、「地元住民からすれば、法では水利権は3月末で失効するけど、書類上の手続きさえすれば、国交省は許可してくれるはずだ」という判断こそが甘かったのだと反省すべきです。そもそも、単なる更新であっても、地元の漁協の同意なしで、許可されたことはないと国交省の担当者も事前に確認されていました。それを強引に申請しようとしたのは、蒲島知事です。

同意が得られなくても申請すると蒲島知事は述べていますが、そういう強硬姿勢はますます事態を混乱に陥れていくことは容易に想像がつきます。

現在、効力を持っている水利規則に従えば、県は撤去計画を立て、国交省の許可をえなければならないことになっています。

4月1日からのゲート全開は、50年もダムに翻弄されてきた地元住民にとっては、長かった冬が終わり、春の訪れを告げるものです。春の小川ではありませんが、ゲートが解放され、勢いよく流れだす・・・夢にみた光景が現実のものになろうとしています。

蒲島知事は、これ以上地元を混乱に陥れることがないように、ダム存続をあきらめる英断をしてほしいものであす。

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