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2009年2月20日 (金)

球磨川河口のアサリと荒瀬ダム

cancer球磨川河口のアサリ

球磨川河口では4月になるとアサリ漁が始まります。私たちが河口の干潟で自然観察をしていても、アサリはよく目につきます。Asari1

輸入物のアサリに比べると、八代海のアサリは表面の模様はとても変化があり、美しさを競っているように思えて、「もっと違う模様はないか」と考えながら、干潟の観察をしています。

特に、稚貝の時はコントラストがとても鮮やかで、1cmにも満たない稚貝はとても可愛く、何度見ても感動するものです。Asaritigai

cancer必死で生きる稚貝

産まれて、海水に放出されたアサリ(幼生)は、2週間ぐらいはプランクトン生活をしています。熊本県立大学の堤裕昭教授によると、アサリの幼生は産まれた干潟に戻ってくるよりも、他の干潟で産まれた幼生が潮の流れに乗って、他の干潟に降りる方が多いということです。すなわち、球磨川河口のアサリは、他の干潟で産まれているとのこと。干潟に定着するころのアサリは僅か0.2mmほどで、砂粒より小さく、肉眼では見えません。干潟で流されないように足糸を出すのですが、泥干潟では、しがみつくものもありません。稚貝が定着するためにも砂が必要です。また、その後も大きくなるためには、成長に適した環境が必要です。

cancer稚貝の段階で死んでいる球磨川河口のアサリ

荒瀬ダムが出来てからアサリは段々取れなくなりましたが、河口の漁業にとっては、それでもアサリは大きなウェイトを占めていました。それが、平成13年にはばったり取れなくなりました。八代市が堤先生に調査を依頼して、調べてもらった結果、春には大量にいたアサリの稚貝が、梅雨の時期や台風の時期にまったくいなくなることが分かりました。Asarigyokaku

cancer原因は塩分の低下とヘドロの堆積

堤先生が調査をした結果、二つのことが分かりました。一つは梅雨や台風の大雨の時に、大量の淡水が流れ込むことによって、塩分濃度はゼロ近くまで低下していること。海水の塩分は33ですが、それが、4.6ぐらいまで低下。これではアサリだけでなく、海の生き物は生きていけません。もう一つは大量の泥―それもダム湖に堆積していた泥ですから、大量の有機物を含んだヘドロです。これが大雨の時に一気に放流されるために、アサリは窒息してしまうのです。

cancerダムの放流水と自然の大雨との違い

海面漁協の漁師さんに自然の大雨による淡水流入とダムの放流による大量の淡水流入とは、どうして違うと分かるのですかと聞いたことがありますが、以下のように説明されていました。

自然の大雨は、流木やゴミが少ない。流れてきてもバラバラにくる。しかし、ダムが放水すると、川から海に一気に流れ込んでくる淡水の一番先端にゴミや流木が集まっている。また、先端が波のように立ってくる。

ダムがない時は、砂が混じっている淡水が少しつづ流れくるので、アサリが上に上がってくる余裕があるが、ダムが放流すると、一気に大量の泥がかぶさり、その上に砂も少ないので、上にも上がれないので、窒息してしまう。また、水の勢いが強いので、一気に流されてしまう。

とても、分かりやすいですね。

cancer戻りつつある砂干潟

大量の淡水とヘドロ流入の原因がダムにあることは否定できません。しかし、3年前からまたアサリが徐々に干潟に戻ってきています。平成14年から、予定されていた荒瀬ダム撤去の準備のため冬場の3か月ゲートが全開されてきました。球磨川の河口干潟を歩いていても、以前は歩けなかった泥干潟が、どこまでも歩いていける砂の干潟に変わってきていることは実感できます。砂地を好むハマグリやオサガニなども確実に増えています。アサリが戻ってきたことと、荒瀬ダムのゲート全開の関係はきちんと調査されていませんが、調査もせずに、撤去をした時の、経済効果は数値で表せないとして、撤去の効果を考えようともしない熊本県の態度は、大いに問題があります。

今日の天気:cloud

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