アサリと干潟の砂の関係
砂の割合を利用して行う「泥選別」
荒瀬ダムが出来てから、干潟が後退しただけでなく、砂が少なくなったというのは、多くの漁師さんが証言されるところですが、アサリと砂の関係について、漁業者に聞いてみました。
アサリの漁期について
八代漁協の場合、アサリの漁期は3月の終わりから、11月ぐらいまでです。8月の暑いときはアサリがすぐ弱るので、1か月ぐらい(二潮ぐらい)休みにします。冬は夜しか潮が余り引かなくなるので、あまりしなくなるということです。1か月のうち、漁ができるのは、少ない時で10日~14日、多い時で20日ぐらい。干潮の3時間に漁場に出かけ、舟の上で、生きているアサリと死んでいるアサリを選別します。その砂選別の経験から、アサリと砂の関係を説明していただきました。
アサリは砂がないと、海で溺れる
①アサリは通常砂の中に立って、水管を伸ばして呼吸をしています。少々の土砂やヘドロが上にかぶっても、水管を伸ばして呼吸をして生きることができます。
②大量に泥をかぶっても、ある程度の割合の砂が入っていると、比重の関係でアサリは浮上して、上に上がってくることが出来るので、生きていくことができます。
③ところが、砂がないと、浮上できずに窒息して死んでしまいます。
このことを利用して、アサリの選別を行います。
アサリの泥選別
泥選別とは泥選別は生きた貝と死んだ貝を振り分ける方法です。泥と砂をある割合で(感で)入れると、比重がほぼ1.4の泥になるそうです。その中にアサリをいれるのですが、
○貝殻だけのは、泥選別にかける前に、取り除きます。
○口を閉めて、死んだ貝は、泥の上に浮いてきます。
○中に泥を詰めて、死んでいる貝は、沈んだままです
○生きている貝は、水面ぎりぎりに浮いてきますが、泥の上に浮くということはなく、泥の中です。
○貝殻が割れた貝(ジョレンで傷つけた場合がほとんどで生きている)は、変な浮き方をする。経験から分かる程度。
・・・ということで、4つの場合が判別できるということでした。
泥選別の様子です。なんか旧式の方法のように思えましたので、「まだやっている漁師さんがいるのですか」と聞いたら、「新しい方法なので、みんなやっている」と。平成4年ぐらいに、金剛の漁師さんたちが有明から習ってきたそうです。これを考えた有明の漁師はすごいといわれます。
今金剛では1日60kgに収穫制限されていますが、選別するのに、20分ぐらいだそうです。それまでは、左の掌に10個ぐらいづつアサリを載せて、右手で死んだ貝をなどを取り覗いていたといいますので、見ただけでは死んでるかどうかわからず(中に泥だけ詰まっていたりする)とても時間がかかっていたそうです。
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