2012年8月 1日 (水)

ダム撤去とウナギの増加(荒瀬ダムとアメリカのダム撤去の場合)

2010年4月にゲートが全開されて、球磨川は確実に変化しつつありますが、川以上に変化を見せているのが、干潟です。今回はウナギに関する部分についての報告です。

piscesゲート全開後のウナギの増加

Photo_22002年の冬季から毎年約2ヶ月ほど土砂除去や護岸修復工事のためにゲートが全開されていましたのが、その数年経過したころから漁業者から、少しアマモ場が増えている感じがするという報告を聞いていました。2010年にゲートが全開されるころにはそれは顕著になり、漁師さんからは今年はアマモ場に休憩しに来るウナギを狙ったタカンポ漁師が数十年ぶりに8人復活したと聞きうれしくなりました。

更に2011年度は更に増え、それまでは毎日30kg程市場に入ってきていたのが、1日150~200kgと実に5~7倍に増えました。私が八代に来て依頼初めて、スーパーの店頭に並んでいるのを見た時は本当に驚きました。

今年は去年ほどではないようですが、それでもウナギ漁は順調なようで、他所が減少している分、市場価格キロ6000~7000円の高値で取引きされているようです。

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↑地元のスーパーに並んだ地元産ウナギ

pisces確実に増えているアマモ場

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↑国交省の調査によっても、2009年と比較して2011年には河口のアマモ場は3倍程度に増えていることが分かります。

piscesアメリカでもダム撤去でウナギが急増

バージニア州のダム撤去で、ウナギが急増したというニュースがありました。それによると撤去2年後から急激に増え始め、その後も順調に増えているとのことです。

以下、そのニュースのウナギに関する部分の要約です。

「ダム撤去でアメリカウナギが上流に戻る」 http://bit.ly/Oj9hLK  

American Eels Return to Mountain Streams After Dam Removal 

 アメリカウナギの生息域は少なくなっているが、バージニアの大型ダムの撤去後その数が増えつつある。

 米国地質調査研究所、米国野生動物庁、および国立公園庁の研究者が発表したばかりの研究報告書によると、ラッパハノック川のエンブレイダム撤去で、アメリカウナギの数が100マイル上流の水源地域で増えている。 

アメリカウナギは、産まれたサルガッソー海から大西洋の沿岸に沿った南アメリカの北部からグリーンランドまでの川にたどり着くまで長距離を移動するがダムはウナギの移動を遅らせたり、阻害したりする。 

この研究以前には、アメリカウナギにダム撤去がどう影響するか殆ど知られていなかった。研究では、2004年の大型ダムの撤去の前と後にシェナンドア国立公園の川の中でウナギの量を調べた。それによると、ダム撤去の2年後にウナギの数が急激に増えており、その後殆ど毎年増加しているのが分かった。

 

シェナンドア国立公園でウナギが戻ってきたということは、他の生息域において減少しているというという事実と著しく対照的だ。 

「私達の研究は、ダム撤去の恩恵が遠く上流にまで及ぶということを示している」「アメリカウナギは数十年も減少していたので、それが故郷の川に沢山戻り始めているは嬉しい」とナサニエル・ヒット博士(USGSの生物学者、及び主執筆者)は話す。 

アメリカウナギは現在米国野生動物庁が絶滅危機種保護法で絶滅の恐れのある種としてが指定しようと考えている。ダムなどの移動を阻害する構造物は、この50年の間に、広い範囲においてウナギ減少の原因と認識されるようになった。 

報告書の著者たちは、ダム撤去は、源流域において観察されるように、メスの成熟を促し、ウナギ保存のために長期的な利益をもたらすだろうと仮定している。

 

米国野生動物庁研究所の生物学者、及び共著者であるシーラ・エイラ‐は「この研究は、ダム撤去のアメリカウナギの数にとって直接の恩恵があることを示すと共に、東海岸の川の再生事業の継続の重要性を示している」と話す。

 

シェナンドア国立公園におけるアメリカウナギの回復はまた公園資源の管理のためにも重要な意味がある。「公園のウナギの数は、回復を示し続けている」「この研究は、公園の生態系は公園の外まで広く繋がり、下流域のの保存が上流に重要な恩恵を与えるという事実を明確に示している」と研究者ジェブ・ウォフォードは話している。 

※エンブレイダムは1910年に建造された、高さ22フィート、幅800フィートの発電ダムで、2004年に撤去されました。 

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羨ましいのは、アメリカでは、ダム撤去による影響について、流域全体を視野にいれるのに対し、日本ではまだダムの上下流の限定された範囲に限られていることです。また、荒瀬ダムのゲート全開でウナギが増えていると漁業者や私達が言っても、日本では「ダム撤去との因果関係は認められない」で片付けられるのに対し、ハッキリとダム撤去との関係を認める結果となっていることです。

ともあれ、9月から始まるダム撤去と撤去後のウナギの生息数や生息域に注目していきたいと思います。

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2012年7月 7日 (土)

荒瀬ダム撤去工事、9月スタート-住民説明会開催

7月6日、坂本において住民説明会がありました。主に本年度の具体的な工事計画とモニタリング調査の結果報告と質疑です。

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雨の中地元の方を中心に多くの方が参加されています。請負業者のフジタ・中山建設の担当者も参加されており、いよいよ工事がはじめるのだなという実感をよりいっそう強く感じます。
240706_2←9月からの撤去開始を報じる地元紙です。報道関係者もいつもより多いように思いましたが、全国への情報発信もほしいところです。

fullmoon本年度の工事予定について

本年度の主な工事は、①9月から洪水吐きゲートの右岸側の一枚の撤去開始、②水位を下げるための低下設備の設置工事開始です(赤矢印)。そのために堰堤は、9月1日から堰堤一般通行禁止となりますが、国道219号線と対岸の県道の交通規制はありません。どちらも車の利用が多いため、事業者も対応に大変神経を使っているようです。また、後の質疑応答でも、安全に関する関心がとても高いように思いました。

fullmoon水位低下設備

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工事前にダム上流の水位を下げるために設置されるもので、中央付近の2箇所に設置されます。これにより、水位は約8m下がり、ほぼ撤去後の水位になるという説明でした。設置後は基本的に常時開放ですが、流速は2~3m/秒と早いため、アユ等の遡上には無理があるとの説明でした。来年の3月から2週間程かけて徐々に水位は下げられる予定です。

fullmoon工事の様子はライブカメラで

工事の様子は、下流側に2台、上流側に1台設置予定のライブカメラで配信予定です。また工事の進捗状況や現場内のトピックス等を紹介するためのホームページの開設が予定されています。

fullmoon住民からの意見

説明後、質疑応答の時間がありましたが、もう念願かなって工事開始が待ち遠しいという気持ちが強いのでしょうか、以前のような喧々諤々の質問・意見は少なく、ただただ全然に配慮して、できれば工事計画を前倒ししてでも早く終了させてほしいという思いが強いように思いました。出された主な意見・質問は次のようなものです。

・県道の離合場所設置については、交通の渋滞を起こさないように作ってほしい。

・河川内の工事期間は下流のアオノリの採捕時期と重なるので、濁水対策を十分にしてほしい。

・出来ればライブカメラを、撤去現場だけでなく、河川内の変化が見える場所にもう一台付けてほしい。

・現場を見たいという人も増えると思うので、見学場所等は?→見学会の開催なども予定している。また、八代市が道の駅内に見学場所の設置を考えている。

・上流側の土砂除去計画は?→出水後の土砂情況を把握して検討していく。

・アユがどのくらい増えたということもモニタリングしてほしい。漁民の聞き取りなどもしてはどうか?→ やりたくても、予算と人員の確保に限度があるので、理解してほしい。

・情報公開をもっとしてほしい。→情報公開は十分に考えてやっていくつもり。

・国交省、電源開発関係の工事もあるので、十分に連携ととってやってほしい。例えば本年度は利用するトラックが5台と少数にしても、合計が多くなる可能性があり、安全度の問題も出てくる。

・説明会を今日の一箇所だけでなく、地区でもやってほしい。

・生物多様性再生回復モデル地区に指定されたことを今後にどう反映させていくか?→モニタリング調査などの実施においても、その視点でやっていく予定。

・現場だけでなく、下流の要所(坂本橋や中谷橋など)にも交通誘導員をおいてほしい。

・河川内の立ち入り禁止区域は(川遊びや釣など)?→時と場所によるので、そのとき時に判断したい。

・魚道とあゆみ館の撤去はするのか?→魚道は道路を支えている側面もあるので、そのままに。あゆみ館については決まっていない。

※水位低下設備設置に関する質問も多くありましたが、上の報告に集約されています。

-ともかくも、9月からいよいよ始まります。前例のない大型ダムの撤去です。企業局も試行錯誤しながらの実施になることは仕方ないように思います。企業局もすごく慎重に進めようとしていること、情報公開にも積極的に実施していこうと努力している姿勢は評価されていいものと思います。住民や全国からの感心も高まることと思います。そこから出される多くの意見をまたフィードバックさせて、企業局とともにこの撤去を成功させようという姿勢が、住民にも求められているような気がします。起こった失敗も躊躇することなく公表し、一緒に対応を考えて行けたら、素晴らしい前例となるような気がするし、球磨川の再生にも繋がっていくものと思います。

本当にその日が待ち遠しいものです。

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2012年5月31日 (木)

エルワ川のダム撤去に日本も学ぼう!

artエルワ川のダム撤去はエルワ川再生プロジェクトの一環

1000近くのダムが撤去されているアメリカにおいても、大型ダム撤去に突入したのは、去年の9月から撤去工事が始まったエルワ川の2つのダム-エルワダムとグラインズキャニオンダムが初めての事例となります。(詳細は過去ブログをご参照下さい)

川の規模も撤去された2つのダムの規模も、球磨川と撤去予定の荒瀬ダム、及び上流の市房ダムの規模とそう変わりません。しかし、エルワ川のダム撤去と球磨川のダム撤去を比較すると、その目的や撤去の過程、撤去に関する関心の高さなどについては大きな開きがあります。

一番の違いはエルワ川のダム撤去が、ただ単に老朽化したダムを撤去するという撤去だけを目的としたものではなく、エルワ川の再生のためにはダム撤去が必要だと判断していることです。そのためにダム撤去がその費用の5~6倍を再生事業に費やすというエルワ川再生計画の一環となっています。

そのために、モニタリング調査も河口域も含めたエルワ川流域全体に及んでいます。サーモンの追跡調査やカワウソの生息域の変化の調査など生物のモニタリング調査の対象や範囲も多岐にわたります。このタム撤去で得られた様々なデータが、今後のダム撤去を含む河川政策に大きな影響を与えるだろうと、行政のみならず多くの研究者が注目する現場となっています。

こういう調査以上に荒瀬ダム撤去の現場からみて、羨ましいのは、このダム撤去が貴重なデータを得る機会だという視点だけではなく、住民や行政が全米初のダム撤去をどれ程楽しみにしているのかをうかがい知ることができる多くの取り組みです。

そのいくつかを紹介です。

art展示会「River Story」開催

6月1日から9月末まで、4ヶ月にわたって、エルワ川の再生をテーマに絵画や彫刻、写真、様々なアート作品の展示会が開催されます。ダム撤去の工事と並行して、明日からの開催に向けて地元はその準備に全力をあげてきました。地元や国内の有名なアーティトの作品が展示される予定です。詳しくは、HP:River Story on Exhibit をご参照下さい。

1↑昨年9月11日の撤去祝賀会の会場のスタージに利用された作品や多くのアーティストの作品が展示される予定です。2

xmasダム湖後の裸地への緑化事業

ダムの撤去作業と並行して、水位が下がって出現する裸地を緑化するための準備が2006年から進められてきました。オリンピック国立公園のスタッフだけでなく多くのボランティアの手によって、在来植物の種の採取や播種作業、ポット苗づくりを実施してきました。

今年植えた植物が根付いたという出来事がニュースで取り上げられていましたが、水位が下がって外来植物の侵入を好き放題に許している荒瀬ダムの現場からみると、とても羨ましく思うと同時に、自然を再生することに対する両国の姿勢の違いを改めて認識せざるをえませんでした。そのニュースの内容を簡単に紹介です。 Peninsula Daily News 2012 April 1

=ダム湖だったところに在来の植物が根付く=

去年の11月から3月、植物の休眠期間中に植えられた種が秋に成長を始めると、いろんな調査が実施され、どこにどのような植物を植えるのがいいのか、緑化に必要な種を決定するのに役立てられる。地元のワシントン大学や他の大学の大学院生たちが、植物名のタグつけ作業をしながら、再生計画をたて実行しているが、同時に観察や学習の機会となっている。

4月になるとエニシダやヒメフウロ、日本原産のタデの仲間、外来のブラックベリーなど、歓迎されない外来種が侵入を始め、除草作業や除草剤の散布が必要になる。これらの作業がエルワダムのダム湖、及びグライン図キャニオンダムのダム湖だったっところ、及びその中間地点で続けられている。

libra環境教育の場としての利用

エルワ川は現在、川の再生に関する環境教育の場として様々なプログラムが企画され、国内外の学生たちを受け入れています。

=学生たち、エルワ川研究所で調査= 

Students explore Elwha River 'laboratory'

先週、シアトルの高校2年生30名がオリンピック公園に付随している科学ハンズオンラボで週を過ごした。河川生態学に関係する科学技術を学べる施設である。学生たちはクララム族の養殖サーモンに関するフォーラムに参加したり、水質の測定方法を学んだり、カヌーでの探検を経験したりする。

また、ダムサイトトから河口、またクラインズ・キャニオンダムとそのダム湖だったところに行く機会も与えられる。エチオピアから参加していた15歳の交換留学生は故郷に帰ったら、ここで学んだ河川生態学の知識を役立てたいと話した。諮った溶存酸素の値が、魚にとっていい状態ではあるが、理想的ではないこと、また、ダム湖に堆積した100年分の土砂がどのように排出されるかなどについて説明を受けた。

インストラクターのミラー氏は 「エルワ川の再生プロジェクトが、どの程度成功するか、またそれがはっきりするまでどの程度の期間がかかるのか誰にも分からない。それだけに科学の教育者にとってはまたとない機会になるだろう」と言う。

活動の休憩時間に二人の学生が熱心に議論をしていた。クララム族の人工孵化場が長期的にみて、川の将来にいいのか悪いのかということについてだった。一人の学生は、それで生計を立てている職業漁師のために早く数を増やす必要があると主張。もう一人の学生は「野生のサーモンが時が経てば、川にとってだけでなく、漁師にとっても長く良い結果をもたらす」と主張した。

それを見て、インストラクターのミラー氏は、学生たちが自分たちの意見を発展できる程に河川生態系について十分学ぶことができたと微笑んだ。

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これらの取り組みはエルワ川だけで可能というわけではなく、荒瀬ダム撤去の現場にも同じように与えられたチャンスに他なりません。折角の機会を十分に生かそうという発想が行政や事業者にないのは、大変残念ですが、住民レベルでも企画できるプログラムも十分考えられます。日本初の大型ダム撤去の機会を是非全国の皆様に生かした様々なアプローチを考えてほしいものです。

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2012年5月28日 (月)

荒瀬ダム撤去フォローアップ専門委員会(第3回)

5月25日に、荒瀬ダム撤去フォローアップ専門委員会がありましたので、傍聴してきました。回を重ねるごとに、議論も活発になり、委員からの提案も反映され、モニタリング調査の方法や調査項目など段々改善されているように思えます。

簡単な報告です。

日時:平成25年5月25日(金)午前10時

場所:くまもと県民交流館 パレアホール

libra委員のメンバー

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委員の数名の交代がありました。座長はこれまで同様県立大学の篠原亮太先生です。

この日は平成23年度のモニタリング調査の結果報告と今後の計画提案、それに関する質疑応答です。

libra平成23年度の報告(総括)

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流水環境の回復が一番顕著と報告されている百済木川とは、荒瀬ダムの上流1km程上流左岸で球磨川に合流している支流です。ゲート全開前は、おびただしい土砂が堆積し、赤潮やアオコの発生などここが一番汚いところでした。土砂の除去作業もかなり行われてきましたが、ゲート全開後の水位低下で現在は上流からの綺麗な水が流れています。底生動物の種数の増え方も現在ここが一番顕著で、特にきれいな水を生息域とするカワゲラやカゲロウなどが大幅に増えています。。それに合わせてトウヨシノボリやゴクラクハゼ、ウナギ、アユなどの回遊性の魚類も確認できるようになっています。

それと、流水環境への回復の兆しが見られると報告されている西鎌瀬は、水位低下により出現した流水区間と今だダム湖になっている区間の中間に当たる地区で、鎌瀬という瀬が復活しています。広い河原も水位低下直後は表面を泥が覆っていましたが、今はレキ河原となっています。23年度の報告では「露出した陸域では今だ植物が定着せず自然裸地が多い」とされていますが、現在はかなりな外来植物が侵入しています。今後この地点の植生がどう変化していくかは、ダム建設前の河原を再生できるかという視点でみれば、興味深いところです。

libraアユの産卵場嬢の環境調査結果について

5箇所(遥拝堰下流、横石付近、下代の瀬、中谷場所上流、坂本支所付近)でアユの産卵に関する調査(八代河川国道事務所報告書)結果の報告がありました。それによると、どの地点、どの調査日においても「卵確認されず」とあります。県においては、調査地点の紙跡や粒度組成の調査は行なっていますが、産卵の確認に関する調査は実施されていないようです。

流域住民が球磨川の再生を望む大きな理由の一つはアユの再生です。産卵の確認に関する調査をして始めて産卵場が再生されたといえるので、是非調査を実施してほしいものです。また、アユが増加するかどうかは、産卵された孵化した仔魚が無事海まで下って、翌春遡上してくるかです。産卵と翌年の遡上量の関係がわかるような流下調査なども下流で是非実施してほしいものです。

libra向きな姿勢を感じるフォローアップ委員会

回を重ねるごとに、委員の皆様も自分の専門以外の部分も把握されて来られているのだと思いますが、書く調査調査項目の調査地点のズレやに対する指摘や生態系という広い視点でのご意見も多くなってきました。個人的な意見ですが、今回の委員会でいいなと思ったところを記述してみました。

・企業局の説明担当者も回を追うごとに、現場の状況を把握して、勉強して会議に臨んでいるのが分かる。委員から出される提案や質問に対しても、きちんと対応しようとしているのが分かる

・情報開示に関するメモが配布されたが、モニタリングの調査の生データや工事及び調査の報告書も希望に応じて対応するとの明記がある。また、今後ライブカメラの設置を検討するなど、情報開示を積極的に行おうとする姿勢は評価できる。

・委員からも個別の調査のみにとらわれることなく、各調査対象の関連が分かる相関図を求める意見や、物理的環境と生物的環境の相関がわかるような調査ポイント・時期の剪定を求める意見がでるなど、生物の多様性の回復の検証につながるような意見が多く出されている。

・アメリカのエルワダム撤去の紹介も委員からあったが、日本初のダム撤去であるということを認識した委員の発言もあり、この委員会のムードがいい方向に向かっている印象を感じた。

libra今後、改善してほしい点

モニタリング調査は、あくまで撤去工事が河川に与えるマイナスノ影響の把握とそれを軽減するための調査になっており、この調査の結果を球磨川や干潟の再生のためにどう生かすかという視点がないのは残念なところです。そのために調査の範囲も瀬戸石ダムから遥拝石までに限定されています。実際、干潟をみていると、下線部分より干潟の変化が顕著であるように思えます。

また、現場の声が調査に生かされる仕組みができておらず、傍聴はできるものの意見を言える場すらないのも残念なところです。住民代表を参加させるとか、地元でモニタリング調査の説明会を行い、そこで意見を伺うという手続きもほしいところです。

libra平成24年度の工事計画

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本年度から始まる工事は、水位低下維持装置の設置から始まりますが、現在工場で門を製作中とのこと。完成次第現場でゲート設置と放流路の掘削などを行い、来年の3月ぐらいからこの設備により水位を低下させるそうです。また、来年に入ると、一番右岸のゲートの撤去に入ります。

ともかくも、いよいよ始まるダム撤去に地元の期待は膨らんでいます。

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2012年4月 7日 (土)

桜満開の下、多くの人が集った”荒瀬で遊ぼう”

  3月31日と4月1日の両日に亘って開催された荒瀬ダム撤去記念イベント”荒瀬で遊ぼう”が終わりました。スタッフの一人として参加しましたので、後整理でブログに報告する時間もなく1週間が過ぎました。

舟出浮き、自然保護セミナー、前夜祭、河童レース、カヌー遊びと盛り沢山の内容に、どれも参加者が多く、1日は道の駅に1200人ほどの人が集まりました。写真で紹介したいのですが、写真を撮る暇もなく、大した写真はありませんので、他の方のブログも合わせて、紹介したいと思います。

heart自然保護セミナー

Nec_0179s 31日坂本中央公民館で開催された自然保護セミナー「球磨川の再生を考える」は、高橋勇夫先生の「球磨川と鮎の再生を考える」は、天然鮎を取り戻す試みに関する他漁協の事例などの紹介だけでなく、球磨川において鮎を再生させるための示唆に富んだお話で、大変有意義な学習会になりました。また、自然保護協会の大野正人さん(保護プロジェクト部長)からも「荒瀬ダム撤去と生物多様性の地域づくり」について話題提供をいただきました。遠くからの参加や、地元球磨川漁協の方たちの参加もあり、質疑応答では熱心な意見が出されました。

heart前夜祭

今日のご馳走はみんな地元の方による手作りです。猪汁、鮎の塩焼き、シカ刺身、シカ骨のスペアリブ、田楽、焼そば、カレー、食べきれないぐらいのメニューとなりました。

P1070798s 木村元坂本村村長さんの挨拶

P1070798ss 鮎の塩焼き

P1070804s シカ刺し

P1070820s 全国から来られた皆さんや地元の皆さんからの荒瀬ダム撤去や川に関する熱いスピーチが続きます。

P1070827s火を囲んだ団欒は、夜通し続いていました。

heart河童レース、その他

荒瀬ダムの堰堤より上流に1500匹の河童を投球し、ゲートをくぐらせて、道の駅までの約1kmほどの距離を河童が競うというイベントです。ゲートを河童がくぐるというのは、後にも先にもないことだと思います。この様子も残念なことに、忙しくて見ることが出来ませんでした。

晴れと桜とイベントの相乗効果で参加者が予想以外の人数で、準備した飲食ブースは早い段階で売り切れで、参加者には申し訳けなかったです。P1070835s 開会式。荒瀬ダム撤去を祝うスピーチやメッセージが披露されました。

P1070839s  河童のスタートを待つ参加者。でも、ここからは遠くて見えませんでした。

29dp9989s 猪の丸焼き(写真提供:作田和秋様)。会場では猪の丸焼き実演、みんなに振舞われました。

P1070841s 河童が張られたロープに誘導されて、順番に到着します。しかし、多くの河童は、下流からの風に煽られてなかなか辿り着くことが出来ませんでした。

Nec_0205s表彰式。午後からの表彰式は、賞品盛り沢山で、思わぬ時間がかかってしまいました。一位、二位はパタゴニアさん提供の高額ジャケットだったのですが、なんと広島から参加された方の河童が2着ともさらっていきました。尺鮎引換券、球磨川のアオノリ、素敵なバッグホルダーなど、10枚には1枚の確率だったようです。

※入賞した河童の番号は、こちらから。参加券を買って参加されてない方は、お手元の参加券をご確認ください。

Nec_0209s 八代市長も駆けつけて、スピーチ。ダム撤去を公約に当選した市長だけに嬉しそうです。

heartカヌー遊び

Photo カヌースタッフとして参加してくれた㈱ハッピーサプライズさんのHPに楽しそうな写真がいっぱいアップされていますので、ご訪問ください。小さな子供さんでも楽しめるように準備、対応して下さったカヌーの皆様、ありがとうございました。

heartその他、荒瀬で遊ぼうに関するWEB紹介

①動画

自然保護セミナー1(講演:自然保護協会)

自然保護セミナー2(講演:高橋勇夫―球磨川と鮎の再生を考える)

自然保護セミナー3(質疑応答)

前夜祭及び4月1日イベント

ブログ「石木川守り隊」 荒瀬ダム撤去~前夜祭~

やまばば日記「月夜の散歩」 荒瀬で遊びました

「荒瀬せ遊ぼう」公式HP

・・・全国から集まってくれた皆様、スタッフとしてお手伝い下さった皆様、ありがとうございました。

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2012年3月 2日 (金)

荒瀬ダム撤去記念イベント“荒瀬で遊ぼう”開催予定

heart荒瀬ダムの撤去、いよいよ来年度から工事開始

平成14年に撤去が決定し、紆余曲折あったものの、水利権が失効し、ゲートが全開されてから2年が経過し、平成24年度から撤去工事が開始予定です。振り返ってみれば10年とはあっという間にも思えますが、本当に今か今かと待っていた撤去開始は、住民にどれほどの喜びをもたらしていることでしょう。

撤去工事が始まる前にと、3月31日、4月の1日は、ゲート全開により流れが蘇った荒瀬ダム下流の球磨川において、撤去記念イベントが開催予定です。

heart撤去開始イベント荒瀬で遊ぼう (内容詳細はこちら

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 ※会場までの地図、アクセス、河童レースの賞品などについてはこちら

heart盛り沢山の内容。是非ご参加下さい

one31日 午前10時 舟出浮きPhoto_3

舟出浮きとは、漁師さんの舟で沖に出て、定置網の漁場・漁を見学、捕獲された新鮮な魚介類を沖合の無人島で料理していただくという観光漁業です。昔大名遊びとして始まったものが現在まで引き継がれてきたものです。普段は舟一艘を出してもらうためにはグループでないと難しいのですが、今回は1名からでも申し込めます(最低実施人数は6名です)。この機会にご家族やお友達をお誘いご参加下さい。

◆料金:5000円(お一人)※飲み物は持ち込みになります。

◆出発時間:午前10時 出発は球磨川河口右岸にある鼠蔵の漁協です。各自お集まり下さい。(事前の申込みが必要です)

two31日 午後3時 自然保護セミナー「球磨川の再生を考える」Photo_4

◆時間:3月31日(土)午後3時

◆会場:坂本中央公民館(坂本駅前)

◆講師:高橋勇夫さん(たかはし河川生物調査研究所)

three31日 前夜祭

地元有志の方による、地元産の食材をふんだんに使った手料理で、みんなで荒瀬ダム撤去を祝います。参加費は皆様の御志して結構ですが、持ち込みも大歓迎です。Photo_5

four4月1日 午前10時 河童レース

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 ※参加券が必要です。購入方法はこちら

five4月1日 午後2時① エコツアーPhoto_7

six4月2日 午後2時② カヌー遊びPhoto_8

eight4月2日 午後2時③ 釣り・石切り等川遊び

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nineその他、詳細については下記をご参照下さい

荒瀬で遊ぼうホームページ

H23年“荒瀬で遊ぼう”の様子

荒瀬で遊ぼう twitter

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2012年2月 3日 (金)

「荒瀬ダム」感謝の会 開催

2月3日、熊本県主催の「荒瀬ダム感謝の会」が開催

今春から撤去工事が開始されるのを前に、熊本県が「荒瀬ダム、55年間ありがとう」と感謝の会を開催しました。内容は、建設時の事故による犠牲者への献花、地域代表者に対する感謝状の交付、知事や八代市長による挨拶などです。

55年ダムにより苦労の歴史を強いられてきた住民からすれば、撤去を祝う会を欲したこともあり、この会に参加するかどうか思案した方もおられたようですが、そこは一つの区切りとして参加したというのが、素直な気持ちだと思います。

前日の昼間から雪が降り、真っ白な雪化粧の中、式典は行われました。

one雪の中の荒瀬ダム

P1060353s上流からみた荒瀬ダムです。今日は、まず、このダムの左岸にある慰霊碑の前で、建設当時、事故等で犠牲になった工事関係者に対して献花が行われる予定です。

P1060351ss 荒瀬ダム傍にある荒瀬ダムの管理棟の壁には「荒瀬ダム、55年間ありがとう」と書いた大きな横断幕が張ってありました。事業者にしてみたら、当然の気持ちを書いてあるのでしょうが、地元住民の目線ではないようにも感じます。

P1060370s 会場の道の駅坂本から見た荒瀬ダムです。雪の中で物言えないダムを見ていると、撤去を待ち望んでいる気持ちは間違いなくても、やはり、「お疲れ様でした」と声をかけたくなりました。

P1060380s 会場である大きなテントも、雪にすっぽり覆われています。午前10時間からの開始予定ですが、この雪のため、熊本県知事など参列者の到着も遅れているようです。

two式典の前に

P1060411s 式典が始まる前の5分程度、蒲島知事は道の駅の中で、これまで撤去運動を続けて来られた住民の方と面談の時間を取られ、「今まで、迷惑をかけてすみませんでした」という趣旨の発言をされたようです。

three式典

P1060418s まず、蒲島知事からの挨拶で始まります。延80万人という人が工事に関わったこと、12名の方が犠牲になったこと、荒瀬ダムが果たした役割、荒瀬ダムの記憶を忘れないでほしい、と荒瀬ダムに対する感謝の辞が述べられました。

その後、国会議員、県会議員、市会議員、八代市長など主な招待参列者の紹介がありました。その他、この日の招待参加者は、企業局OBや荒瀬ダム地域対策協議会委員の皆様方です。

P1060438s 八代市長の挨拶です。「ゲートが全開されて、水が本当にきれいになりました」で始まった八代市長は、荒瀬ダムが県内で果たした役割を評価しながらも、地区住民には水害や振動被害などの苦難、またアユの激減を招いたこと、住民の反対運動の末、平成14年に潮谷前知事が撤去を決定し、蒲島知事の時代になって撤去工事開始までこぎつけた運動の歴史などを踏まえながら、挨拶をされました。市民の苦悩をきちんと受け止めた発言に、住民からは拍手がありました。

P1060443s 校区会会長、地域振興会会長など、住民代表への感謝状の授与です。これには、一般参加していた地域の住民からは、「顔も知らん、見たこともない人も多いのに、何で住民代表なのか」「ダムにどんな貢献したのか知らん」という声があちこちから聞こえてきました。確かに、荒瀬ダムに感謝の会であれば、ダム建設に積極的に尽力されたとか、ダム撤去運動を引っ張ってきた方たちに、立場の違いはあれ、ダムの歴史に大きな影響を与えた方たちにこそ、感謝状を送ってしかるべきだという思いがしました。現在、荒瀬ダムの評価がどうであれ、建設当時はバラ色のダム計画として、地元も期待しており、そのために奔走された方の苦労を否定する人はいないのではないかと思われます。

P1060428s テントの周りは、大勢の取材陣で取り囲まれていました。日本初のダム撤去、今後はますます全国の注目を浴び、現地を訪れる報道関係者も増えていくのだと思われます。

P1060450s 終了後、地元の新聞の取材を受ける住民Hさん。これまで住民運動の代表として表に立ってこられました。また、Hさん以外にも、ダム撤去運動の原動力になった旧坂本村村長さんや漁業の反対運動を引っ張ってこられたKさんなども参列しておられましたが、「荒瀬ダム、55年間ありがとう」と書く主催者企業局からすると、彼らは感謝の対象から外れるのも仕方がないことだと思ったりしました。

four参加者の感想

終了後、参加していた一般の住民の皆様の感想を聞いてみました。当然とは言え、荒瀬ダムに感謝の言葉は聞かれないものの、「やはり一区切りには間違いない。知事も本当にほっとされた顔をされていた」「しかし、今からが始まり。みんな一区切りで終わったと思ってほしくない」。一番多かったのは、やはり、住民代表とされた地区代表への感謝状授与への不満です。

ある参加者は、「知事選を前にした知事のパフォーマンス」ときっぱり。それと言うのも、やはり、この住民代表への感謝状授与にあるようです。「招待したのが、議員や企業局OB,地元代表とされる町内会長など、選挙に役立つ人ばかり」「代表の80%は、これまで、推進反対関係なく、ダムに対する発言も行動も何もなかった人。ダム問題では顔も見たことがない。こういう人に感謝状を送るのは、選挙があるから。それ以外理由がない」と。

蒲島知事の意図がそこになかったにせよ、感謝状はダムで苦労して来た人ー作るのに苦労した人であれば、それはそれで納得する、という彼の言葉は説得力がありました。

これは、知事も企業局も、今後の撤去工事をスムーズに進めるためにも、少し配慮があれば、「荒瀬ダムのこれまでに感謝する会」として相応しい式典になっただろうという思いがしました。

ともあれ、一つの区切りとなった1日でした。

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2011年12月29日 (木)

ダム撤去工事により川に戻りつつあるエルワ川(アメリカ)

アメリカのエルワ川において、今年の9月に開始された二つのダム撤去開始から3ヶ月が過ぎました。エルワダムとグラインズキャニオンダムのダム本体は半分程が撤去され、上流の堆積物もかなり下流に流されました。その現在の様子を12月25日のシアトル・タイムズが記事にしていますので、紹介したいと思います。

20111228 ↑撤去開始から3ヶ月が過ぎた現在のエルワダム

   ※撤去の経過については、こちらをご参照下さい。

川に戻りつつあるエルワ川(シアトルタイムズ記事)

Lake Aldwell Reservoir starting to resemble a river from dam removal work on the Elwha River system

Photo (↑アドウェル湖)

オリンピック半島の上の東フアンデフカ海峡に注ぐエルワ川にある2つのダムの撤去について、エルワクララム族からニュースがアップされていた。

アドウェルダム湖は、再び川に戻りつつある。しかし、これは魚の遡上を妨げていた二つのダムの撤去が9月に始まってから、エルワクララム族が、大きな期待を持って見てきた、エルワ川の変化の一つにしか過ぎない。

11月1日までに、高さ108フィートのエルワダムは48フィート、高さ210フィートのグラインズキャニオンダムは32フィートの高さまで撤去された。

ダム湖からの水は、ダム下流とダム湖の水文地質を変えながら、撤去中のダムから溢れ出している。ダム撤去が始まる前には、自由に水が流れているのは、ほんの5マイルだけであった。

「エルワダムは約40%が壊され、背後のアドウェル湖は、もうダム湖ではありません」とクララム族の生息地プログラムマネージャのマイク・マックヘンリー氏は話す。
「川のようになりつつある。南端のデルタは更に露出し、堆積物は下流に流されています。」と。

更に、作業員は、100年間存在していた残骸ををアドウェル湖から取り除き、ボートがダムに近づかないように設置されていた防止柵も取り除かれた。流木は、川の下流の鮭の生息場所に役にたつであろうという理由で、下流に流されてきた。

「11月末に大きな降雨があったので、川のある地点においては、10,000立方フィート/秒の流量があり、それがタイナミックな変化をもたらしたのです」とマクヘンリー氏は語る。

クララム族は、河口近くでは、干潟に良質な砂の堆積がわずかながら増えているのに気が付いている。クララム族の環境コーディネイターのマット・ビーネ氏は「河口から海峡に吐き出される良質の堆積は、撤去工事中と比較してずっと顕著で、その形状も一日のうちに変わります」という。

「私達は、干潟に重要な土砂の堆積はまだ確認してないけれども、小さな粒子により濁りの程度が高くなっているのに気が付きます。」「ダムの撤去は、予定より進んでいるようであるけれども、川により、より大きな流れが発生するまで、干潟に重要な土砂堆積を見ることが出来るとは思っていません。」とのことである。

約100年の間、魚は 魚道のない二つのダムによって、上流に遡上することができなかった。

2000万立方ヤードを超える沈殿物がダムの背後に堆積したが、その殆どは、今後下流に流されて、河床に変化を与えることになると思われる。

二つのダムは連邦政府によって所有されており、オリンピック国立公園は撤去の先頭に立っている。

3億5000万ドルと見積もられているダムの撤去ととエルワ川の生態系復元プロジェクトは、米国における過去最大のダム撤去プロジェクトである。プロジェクトは、2013年までに終了予定。

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エルワ川で起こっている河川や河口の変化は、荒瀬ダムのゲート全開により現在起こっている球磨川や河口干潟の変化とほぼ同じようなもののように思えます。ただ、エルワ川は二つのダムを、川の再生のために撤去するのに対し、球磨川は荒瀬ダム撤去そのものが目的になっており、上流には瀬戸石ダム、下流には遥拝堰を抱えていることから、今後の川の再生においては、双方に違いが出てくるように思います。

日本発のダム撤去が、川の再生にどのような影響を与えるのかを考える上において、今後共日米の二つの川に注目していきたいと考えています。

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2011年12月 5日 (月)

荒瀬ダム撤去の許可申請許可証、交付される

apple12月5日、待ちに待った撤去許可書交付

知事が撤去を表明し、撤去に向かって準備が進められていたものの、地元にしてみればなかなか安心できないのが事実です。今日、9月に申請を出していた撤去許可申請に対し、国から許可証が交付され地元はホッとしています。

Kabasima_2 今日の県議会冒頭に、来年4月に予定されている知事選挙への出馬の意向を問われ、知事は出馬の意向を表明しました。荒瀬ダムの撤去決定に至る経過には、潮谷前知事が決定した撤去を翻し、その後水利権更新が困難となり撤去決定を行うなど、二転三転あったものの、続投して、責任持って撤去工事を進めてほしいというのが、地元の正直な気持ちだと思います。

自民党の村上寅美県議からは、「12月県議会に提案されている、来年度の撤去予算一七億円を認めれば、国からの補助がでなくなり、県民の理解が得られないのでは」旨の質問がありました。蒲島知事は、「今後も国への要望、コスト削減、企業局の運営努力を行う。また環境省の交付制度の利用も期待している」と撤去費用削減に努めると説明しました。

一昨日3日に開催された県と県選出国会議員の意見交換会において、民主党の松野頼久衆議院議員も、荒瀬ダム撤去費用について「荒瀬ダムは環境省の事業として、自然回復型の公共事業として確保したい」と述べています。

ともかくも、日本初のダム撤去に向けてまた大きく一歩前進しました。

■■NHKニュースから■■

荒瀬ダム撤去 正式に決定

八代市にある県営荒瀬ダムについて国は5日、熊本県に対してダムの撤去工事を許可する許可書を交付し、既存のダムとしては全国で初めて撤去されることが正式に決まりました。
八代市にある県営荒瀬ダムは熊本県が昭和29年に一級河川の球磨川に建設した水力発電専用のダムです。
その後、ダムは老朽化し、平成14年に県はダムによって流域の環境が悪化しているという地元の声を受けていったんダムの撤去を決めましたが、平成20年には財政難から撤去計画を凍結していました。
しかし、撤去凍結に対する地元の反発や、川の水を使う権利「水利権」の更新に地元漁協の同意が得られなかったことから、去年2月、再び県はダムの撤去を発表し、ことし9月に河川管理者の国に撤去工事の許可を求めて申請書を提出していました。
国は今月2日付けでダムの撤去工事を許可することを決め、5日、国土交通省の八代河川国道事務所で熊本県に許可書が交付されました。
これで荒瀬ダムは既存のダムとしては全国で初めて撤去されることが正式に決まりました。
県では来年度から6年かけて荒瀬ダムの撤去工事を行うことにしています。
国から荒瀬ダムの撤去工事の許可が下りたことについて、蒲島知事は「国をはじめ関係者に感謝を申し上げる。地元や県民との約束である来年度からの荒瀬ダム撤去に向け準備を進めていきたい」というコメントを発表しました。

12月05日 18時28分

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2011年11月10日 (木)

球磨川のアユの1年と放流事業

球磨川は尺鮎で知られた1級河川です。昔は本当に沢山のアユがいたようです。春になると川を真っ黒に染めて遡上してくる稚鮎の群れは今も流域の人の心の中に刻み込まれているようです。ダムが出来て、減少の一途をたどるアユを取り戻したいという強い思いも、川辺川ダム反対・荒瀬ダム撤去行動の大きな原動力でした。

今は、球磨川漁協の手による掬い上げ・放流・孵化事業等によって、天然アユは何とか守られています。今年の実績は天然遡上が約129万尾、人工孵化事業等合わせて合計約248万尾です。その事業についての紹介です。

P1040987s ①球磨川の河口から約5kmのところにある球磨川堰です。冬季を八代海で過ごした稚鮎は春3月頃に遡上してきます。この球磨川の魚道を登ってきたところを捕獲して、放流しています。

P1020798s

P1030455s②魚道を登ってきた鮎は、左にあるプールに誘導されます。掬い上げ事業は3月の中旬頃から5月の中旬頃まで行われます。この頃のアユの大きさは、一番子で8cm前後、大きいのは9~10cm程、二番子、三番子と小さくなり、3~5cm程です。この一番子が尺鮎まで育つといいます。

P1030516s ③プールに張ったネットをたぐり寄せて、稚鮎を網で掬います。

P1030519

P1000320s ④バケツリレーで、待機しているトラックの水槽に移します。このトラックで、流域の30数カ所の放流場所に運びます。迅速に放流する必要があるので、鮎に最大の配慮もしながら、トラックのスピードはかなり早いようです。

Dscf1531s ⑤トラックからホースで川に放流します。時には、地元の子供達対象にした放流体験イベントなども実施しています。

P1060952s 

2003_05290018 ⑥6月の解禁を過ぎると、あちこちで鮎掛をする人たちの姿を見ることができます。また、全国からも尺鮎狙って多くの太公望が集まります。

P1020317s⑦7月初旬頃のアユです。大きいものはすでに20cm程に成長しています。

S ⑧海から遡上してくるだけの鮎では足りないので、人工孵化作業も行なっています。秋になると、木枠の箱(写真)にシュロの葉を引いて、その上で受精させた卵が発眼するのを待ちます。

P1050087s ⑨2週間ぐらいで発眼しますので、その前に、河口の球磨川堰に移動させ、そこで孵化を待ちます。付加した仔魚は魚道を下って、不知火海にたどり着きます。生まれたばかりの仔魚は遊泳能力はないために川の流れ任せです。

Photo_2 ⑩落鮎時の婚姻色が出たアユでサビアユと呼ばれます(上メス、下オス)。22~23cmから27~28cmという大きさに成長します。30cmを超えるアユの体型は、サバに近い感じです。産卵を終えると、一年という短いアユの一生は終わりになります。

P1040300s_2

Photo  ⑪産卵の季節は、落鮎漁の時期でもあるため、下流では投網や刺し網をする漁師さんの姿を見ることができます。八代の投網漁師の中でも、海でも投網をしている千反の漁師さんの投げ方は、舟の上から5~6mの海の底で開くように投げるという投げ方で、とても豪快です。

漁協の努力にも関わらず年々鮎は今も減り続けています。荒瀬ダムの撤去で瀬や淵が再生され漁場は増えるかもしれませんが10km上流にある瀬戸石ダムにより鮎は遡上できず、また鮎が産卵のため下降できないという現状は変わりません。球磨川漁協は平成26年の瀬戸石ダム水利権の期限が切れるため、水利権の更新に反対を表明しています。

荒瀬ダム撤去を実現した流域住民からも、瀬戸石ダム撤去を求める声がでるのは当然の成り行きだと思います。住民にとって荒瀬ダム撤去は目的ではなく、球磨川再生の第一歩なのです。

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